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第一章・転生したら妻にされて⁉ 16

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「陛下が大変失礼しました。赤ワインです。ユリア様が席に着いて下さって良かったです。あれは、照れ隠しなのでお気になさらずに」
「はぁ……あ、私未成年だからお酒飲めないの。ごめんなさい」
「ロン。余計な事を言うな。それよりメシにしろ。次のを持ってこい」
 ロンが代わりに謝ってきた。しかし、陛下が横から割り込むように口を挟んでくる。ロンは、やれやれと言った表情で苦笑いをすると頭を下げて行ってしまった。
 その後は、さっきと違い黙々と食べる陛下。心なしか食欲も普通に戻っていた。後でエレンが私が来たから戻ったのだろうと言っていたが。
 私は陛下の言動に戸惑っていた。話と大分違うからだ。私達の国では極悪非道で血も涙もない陛下だと聞いていた。なのに会うと、どうも真逆のタイプに思えた。
 あれは、演技? 私を油断させるための。
「ユリア様。お湯加減は、いかがですか?」
「丁度いいわ。ありがとう」
 現在お風呂に入っていた。さすが皇宮のお風呂は凄い。豪華な置物にあちらこちら金ぴか。浴室も面積にはめ込んであるやつだが、銭湯やホテルの大浴場よりも広い。
 この面積だけで部屋が出来るだろう。大理石なっているし。湯加減もいい。
「それは、良かったです。これから夜伽があるのですから綺麗になさらないと」
 よ、夜伽⁉ エレンの言葉に驚いた。そ、そうだった。
 嫁いだってことは少なくとも、陛下の夜の相手もしなくてはならない。いや。しかし、ベッドで抱かないと宣言していたじゃない?
「そんなことはしないんじゃないかしら? 陛下は私を抱かないと言っていたし。私に興味がないのよ」
 そ、そうよ。陛下は私を女だと見ていない。だから抱かれる必要もないわ。
 するとエレンはクスクスと笑ってくる。
「フフッ……ご冗談を。陛下のアレは、ただのツンデレで本音は、そんな事は思われていませんわ。今頃ドキドキしているに違いありません」
 エレンは、やんわりと否定した。そうじゃないと困るのよ⁉
 私は心の中でそう叫んだ。だって、私はまだまともな交際経験がないのよ?
 未だに片思いのままだし交際だって0。そんな夜伽だなんて夢のまた夢だ。そんな私が好きでもない男とデキる訳がないじゃない。
 しかしそんな不安を余所にエレンとアミーナは、お風呂から出た私に、さっさとセクシーな薄紫のベビードールに義替えさせる。その上にバスローブを羽織っている状態だ。
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