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第2章
第91話 復活のメリスなるか?
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狭いダンジョンの通路。
「破ッ」
裂帛の気合と言うのは、凛とした透き通った声。
相手は巨大な魔物。 1つ目の大鬼――――すなわち、サイクロプス。
凶暴なまなざしと鋭い牙。異形の体躯が特徴的。
――――いや、何よりも特徴的なのは、目だろう。
その弱点である目に洗礼されたエルフの剣が通り抜けた。
「少し傷が浅いようですね。私の知るサイクロプスより強いですね」
エルフの剣士――――メイヴ・ブラックウッドは戦いながらも、冷静に分析する。
(この場所、風の流れと同様にダンジョン内の魔素が流れていますね。ですから、ダンジョンの主とは同じ魔物が生まれやすいのでしょ)
「ぐあああああああああ!」と突進してくるサイクロプス。
荒々しい姿勢で巨体を揺らしている。その岩のような肌からの攻撃を受けて無事な者は存在しないだろう。
だが、それは彼女に届かない。舞いのように避けメイヴ。
すり抜けるように避けと同時に剣を振るった。
しかし、それは罠だ。 サイクロプスは自らを切り裂かれるように隙を見せ――――
「――――ッ! 最初から私を掴むための動きですか。このサイクロプス……戦闘思考も高い!」
巨大な五本指から逃げるように飛ぶメイヴだったが、衣服が掴まれた。
そのまま地面に叩きつけるように魔物は彼女を振り上げる。
彼女を救おうと動き出すのは、彼女の仲間である2人。しかし、メイヴは――――
「安心してください。この程度なら心配はありません」と仲間を止める。
それから、手をサイクロプスの目へ向けて――――「小炎《イグニ》!」
火の魔法が放たれた。
彼女、メイヴは剣士ではない。魔法剣士である彼女は、魔法も操る。
直撃を受けたサイクロプスは苦悶の表情を浮かべながらも、なおもメイヴを離さない。
地面に叩きつければ、勝敗が決するのだ。 掴み取った勝利を痛みなんぞで手放すと事は魔物の本能が拒むのだろう。
「――――残念ですが、地面に衝突するまでの時間。私なら100を超える剣撃をあなたへ与えられます」
有言実行。
彼女に地面につく頃には、サイクロプスの剛腕から力が抜け去りる。
水たまり。それも赤い液体でできた水たまりが地面にできる頃。
メイヴは握力が失られたサイクロプスの腕から脱出するには、十分だった。
優雅に着地した彼女。 背後では巨体が沈み、地面が揺れるほどであったが、もはや彼女は振り返りもしない。
ダンジョンは再び静寂に包まれた。 メイヴは勝利の喜びと疲労感に満ちた表情を浮かべる。それから、強敵である倒れた怪物に敬意を捧げたのだった。
「大丈夫か? 回復薬は」と近づいてくる彼女の仲間。
行動を共にするにS級冒険者たちとは違う顔ぶれ――――ユウト。
それから、もう1人。 フードで顔を隠しているのはメリスだった。
メリスは、顔が赤く呼吸が荒くなっている。 明らかに不調の様子だった。
「お前も大丈夫か?」と回復薬を差し出そうとするも、メリスは断る。
「いらないわ。そんなことより、本当に良いの? 姉さんも……私の支配下にはいる事になるのよ?」
「俺は、彼女を信じるよ。メイヴが信じているお前の事もな」
「……本当に馬鹿ね。私はあなたを殺そうとしたのよ?」
「友達と殺し合うことなんて珍しいことじゃないさ。……冒険者ならな」
「あなたも……」とメリスは言葉にしなかった。 「誰か、友達を殺したの?」と言葉を飲み込んだ。
そんな2人の様子をメイヴはどう勘違いしているのか?
「すっかり、2人とも仲良しになりましたね。良い事です」
「違う」とユウトとメリスは声を合わせた。
あの後――――
メリスは魔導書同士の戦いに敗北。 力を大きく失われた時を狙われ、レインから襲われていた。
破れて力を失った魔導書使いを完全に仕留めることで、より多くの力を奪おうとしていたのだ。
ユウトとメイヴの強力により、レインを何とか追い払ったメリスだった。
しかし、彼女の減退は大きく、日常生活ですら困難なほどに消耗していた。
彼女の容体を回復させる方法はただ1つ。 再び、魔導書使いとして再起の道を進む事。
そのため、メイヴはユウトの激しい反対を押し切り、自らをメリスの支配される事により、この戦い――――第一次魔導書大戦に参戦する事になったのだ。
さしずめ、今日は試運転。 それと、メリスを回復させるため、それに必要な力を得るために、隠しダンジョンの攻略を目指している。
ユウトは、何か起きないか? メリスがメイヴを裏切り、あるいはよからぬ事を考えつかないか?
その監視役として同行しているのだった。
そして、隠しダンジョンの通路先、光りが見える。
おそらく、このダンジョンを住み家とする使徒の居場所。 この先には闘技場がある……
「破ッ」
裂帛の気合と言うのは、凛とした透き通った声。
相手は巨大な魔物。 1つ目の大鬼――――すなわち、サイクロプス。
凶暴なまなざしと鋭い牙。異形の体躯が特徴的。
――――いや、何よりも特徴的なのは、目だろう。
その弱点である目に洗礼されたエルフの剣が通り抜けた。
「少し傷が浅いようですね。私の知るサイクロプスより強いですね」
エルフの剣士――――メイヴ・ブラックウッドは戦いながらも、冷静に分析する。
(この場所、風の流れと同様にダンジョン内の魔素が流れていますね。ですから、ダンジョンの主とは同じ魔物が生まれやすいのでしょ)
「ぐあああああああああ!」と突進してくるサイクロプス。
荒々しい姿勢で巨体を揺らしている。その岩のような肌からの攻撃を受けて無事な者は存在しないだろう。
だが、それは彼女に届かない。舞いのように避けメイヴ。
すり抜けるように避けと同時に剣を振るった。
しかし、それは罠だ。 サイクロプスは自らを切り裂かれるように隙を見せ――――
「――――ッ! 最初から私を掴むための動きですか。このサイクロプス……戦闘思考も高い!」
巨大な五本指から逃げるように飛ぶメイヴだったが、衣服が掴まれた。
そのまま地面に叩きつけるように魔物は彼女を振り上げる。
彼女を救おうと動き出すのは、彼女の仲間である2人。しかし、メイヴは――――
「安心してください。この程度なら心配はありません」と仲間を止める。
それから、手をサイクロプスの目へ向けて――――「小炎《イグニ》!」
火の魔法が放たれた。
彼女、メイヴは剣士ではない。魔法剣士である彼女は、魔法も操る。
直撃を受けたサイクロプスは苦悶の表情を浮かべながらも、なおもメイヴを離さない。
地面に叩きつければ、勝敗が決するのだ。 掴み取った勝利を痛みなんぞで手放すと事は魔物の本能が拒むのだろう。
「――――残念ですが、地面に衝突するまでの時間。私なら100を超える剣撃をあなたへ与えられます」
有言実行。
彼女に地面につく頃には、サイクロプスの剛腕から力が抜け去りる。
水たまり。それも赤い液体でできた水たまりが地面にできる頃。
メイヴは握力が失られたサイクロプスの腕から脱出するには、十分だった。
優雅に着地した彼女。 背後では巨体が沈み、地面が揺れるほどであったが、もはや彼女は振り返りもしない。
ダンジョンは再び静寂に包まれた。 メイヴは勝利の喜びと疲労感に満ちた表情を浮かべる。それから、強敵である倒れた怪物に敬意を捧げたのだった。
「大丈夫か? 回復薬は」と近づいてくる彼女の仲間。
行動を共にするにS級冒険者たちとは違う顔ぶれ――――ユウト。
それから、もう1人。 フードで顔を隠しているのはメリスだった。
メリスは、顔が赤く呼吸が荒くなっている。 明らかに不調の様子だった。
「お前も大丈夫か?」と回復薬を差し出そうとするも、メリスは断る。
「いらないわ。そんなことより、本当に良いの? 姉さんも……私の支配下にはいる事になるのよ?」
「俺は、彼女を信じるよ。メイヴが信じているお前の事もな」
「……本当に馬鹿ね。私はあなたを殺そうとしたのよ?」
「友達と殺し合うことなんて珍しいことじゃないさ。……冒険者ならな」
「あなたも……」とメリスは言葉にしなかった。 「誰か、友達を殺したの?」と言葉を飲み込んだ。
そんな2人の様子をメイヴはどう勘違いしているのか?
「すっかり、2人とも仲良しになりましたね。良い事です」
「違う」とユウトとメリスは声を合わせた。
あの後――――
メリスは魔導書同士の戦いに敗北。 力を大きく失われた時を狙われ、レインから襲われていた。
破れて力を失った魔導書使いを完全に仕留めることで、より多くの力を奪おうとしていたのだ。
ユウトとメイヴの強力により、レインを何とか追い払ったメリスだった。
しかし、彼女の減退は大きく、日常生活ですら困難なほどに消耗していた。
彼女の容体を回復させる方法はただ1つ。 再び、魔導書使いとして再起の道を進む事。
そのため、メイヴはユウトの激しい反対を押し切り、自らをメリスの支配される事により、この戦い――――第一次魔導書大戦に参戦する事になったのだ。
さしずめ、今日は試運転。 それと、メリスを回復させるため、それに必要な力を得るために、隠しダンジョンの攻略を目指している。
ユウトは、何か起きないか? メリスがメイヴを裏切り、あるいはよからぬ事を考えつかないか?
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