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悪の王妃19
持たされた小瓶の蓋を開けると、ふわりと花の香りがした。
子供の頃に庭に咲いていたピンク色の花の香り。
「…ごめんなさい…貴女を忘れたくないわ…けれど……けれどわたくしはもう疲れてしまったの…」
繰り返す生の中で、耐えきれずに服毒自殺をした事もあった。
けれど、大切な誰かの記憶を失くす事が毒を飲んだあの時よりも胸が痛むなんて、思いもしなかった。
ポタリ、ポタリと何かが零れる。
頬から何かが伝って落ちて行く。
「私の為に泣いてくれるんですね。優しい人」
困ったように微笑みながら、彼女はわたくしを優しく抱きしめてくれた。
「王妃様。大丈夫。私を忘れても、大丈夫。私はずっと貴女を見守っているから、きっとそのうちまた会いに行きます。覚えていなくても、また思い出を作ればいいんだから」
優しくわたくしの頭を撫でる手はとても暖かい。
お母様が亡くなって、わたくしに触れる人はいなかった。
旦那様には嫌われていたし、わたくしに触れるのは侍女のリリアンヌくらいだったから。
「さぁ、そろそろ戻らないと、死んだと思われちゃいますよ」
わたくしの涙を自分のお仕着せの袖で拭うと、手に持ったままの瓶を口元に誘導される。
「待って、わたくし、貴女の名前も知らない…忘れてしまうだろうけれど、教えて欲しいわ」
ふふっと笑って彼女は名前を言ったけれど、口に誘導された小瓶からの液体が口の中に入るのは同時だった。
と、ふわふわとして何も考えられなくなる。
「また、会いに行くね。アティ」
子供の頃に庭に咲いていたピンク色の花の香り。
「…ごめんなさい…貴女を忘れたくないわ…けれど……けれどわたくしはもう疲れてしまったの…」
繰り返す生の中で、耐えきれずに服毒自殺をした事もあった。
けれど、大切な誰かの記憶を失くす事が毒を飲んだあの時よりも胸が痛むなんて、思いもしなかった。
ポタリ、ポタリと何かが零れる。
頬から何かが伝って落ちて行く。
「私の為に泣いてくれるんですね。優しい人」
困ったように微笑みながら、彼女はわたくしを優しく抱きしめてくれた。
「王妃様。大丈夫。私を忘れても、大丈夫。私はずっと貴女を見守っているから、きっとそのうちまた会いに行きます。覚えていなくても、また思い出を作ればいいんだから」
優しくわたくしの頭を撫でる手はとても暖かい。
お母様が亡くなって、わたくしに触れる人はいなかった。
旦那様には嫌われていたし、わたくしに触れるのは侍女のリリアンヌくらいだったから。
「さぁ、そろそろ戻らないと、死んだと思われちゃいますよ」
わたくしの涙を自分のお仕着せの袖で拭うと、手に持ったままの瓶を口元に誘導される。
「待って、わたくし、貴女の名前も知らない…忘れてしまうだろうけれど、教えて欲しいわ」
ふふっと笑って彼女は名前を言ったけれど、口に誘導された小瓶からの液体が口の中に入るのは同時だった。
と、ふわふわとして何も考えられなくなる。
「また、会いに行くね。アティ」
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