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第13話 脱出(最初からそうしろ)
しおりを挟む「……きろ」
「……起きろ!!!」
「ふぁい!! 」
いつの間にかあたしは眠っていたらしい。
ルティに叩き起こされ、飛び上がってしまった。
小さな格子窓から外を覗くと、今は夜のようだ。
「もうここに用はない。出るぞ」
「え、出るって? 光の神様についての情報を集めるんじゃ……」
「もう終わった。貴様がアホ面して寝てる間にな」
いちいち嫌みな奴……。
「そりゃ良かったわね。で、成果は得られたの? 」
「ああ、おおよその居場所は分かった。ずっと北の方に行くと光の祭壇という場所がある。そこに奴は眠っているらしい」
「ずっと北ね。分かったわ。でも出ると行っても……」
あたしはどうすれば? と言おうとすると、ルティがパチンと指を鳴らした。すると鉄の格子がバラバラと音を立てて、まるでポッキーを折ったような簡単さで崩れた。
「早くしろ」
ルティに促されるまま、あたしは出口を目指した。
最初からそうしろ……!!! と言いたい気持ちをぐっとこらえた。
◇◇◇
まさかあたしたちが脱出したとは思いつかなかったのか、特に追手は来ない。おそらくまだ気が付いていないのだろう。ああちなみに見張りもルティの魔法で眠らせた。
一先ず城から脱出したあたしたちは、近くにあった茂みの中に身を隠す。
「……特に追ってきてはいなそうね」
「まあでも時間の問題だろう。いずれ気が付かれる。それにあの女はどこか他と違う」
「あの女……? もしかしてエルメのこと? 」
あたしは自分の髪の毛を掴み、ツインテールにしてみる。するとルティはそいつだ。と小さく呟いた。
「エルメという女は貴様に近い何かを感じた」
「あたしに近い……まあゲームのヒロインであるということは共通してるかな」
「ヒロイン? 」
「んー……何て言えば良いんだろ」
あたしは訝しげに眉を潜めるルティに、あたしたちはどんなキャラクターで主人公であるギルとどんな関係になるのか、ということについて説明を始めた。
こんなん妄想だろ、と片付けられそうなことだけど、全て真実なのだ。ただあたしがルティに出会ってから、色々変わってはいるみたいだけどね。
全ての説明を追えると、ルティは何だか面白くなさそうに唇を噛んでいた。
「ふん、じゃあそのギルという男の恋人になるはずだったのか貴様は」
「なるはず、というか恋人候補の一人って感じかな? 」
まあどっちにしろルーナというキャラクターは思いが通じ合っても死んでしまうみたいだけど。
「つまらん、貴様は我のもの。我だけの下僕だ」
「別に誰のものでもないし! ……なに、もしかして拗ねてるの? 」
「拗ねる? 我は神。人間のような感情など存在しないわ」
「ああそうですか……」
こういうやつなのだ。ルティというやつは。
「それよりこれからどうするの? もうあの町には戻れないよ」
「そりゃそうだろうな。進むしかあるまいよ」
ルティはそう言うと、懐から地図を取り出した。
城を探索してるときに見つけたのだ、と悪びれる様子もなく答える。
「えっと……あたしが生まれた村がここで、確かこの街がその村から少し西に行ったところにあるアレイス王国ね」
あたしは地図上で指を滑らせて、今の現状を話す。
「そして我らが目指すのはこの最北端にある光の祭壇だ」
ルティが指を滑らす場所に目を向ける。
地図で見る限り、かなり遠い。おまけにその道中では山脈だの氷雪原だの過酷な環境が待ってそうだ。
「じゃあレイズがいるのはこれかな? 」
光の祭壇とは対称的に、最南端に小さく書かれているおどろおどろしいイラスト。どうやらこれが闇の祭壇っぽい。
「みたいだな」
「どうせ両方行くんでしょ? 」
当たり前だ、とルティは笑う。
「奴等に知らしめてやるのだ。我の復活と死の恐怖を」
「はいはい」
あたしははぁと溜め息をついた。とんでもないやつと関わりを持ってしまったなぁ。
「でもルティは神様なんだから鳥にでも変身して飛んじゃえば良いじゃない。その方が早いよ」
「つまらぬ女だな貴様は」
呆れたように首を振るルティ。
思わずあたしははぁ?! と声をあげる。
「旅をしてこの世界を自分で見ることにも意味がある。生命がどういう風にどんな営みをしているか我は知らなければならない」
「なーるほど」
なんか神様っぽいこと言うじゃん。とあたしは内心呟いた。
「時間はいくらでもある。我にとって数年など刹那の時間だ」
「あたしはないよ! 女にとって数年って結構大きいんだからね! 」
「そんなものか? 」
「あったり前じゃん。恋もしたいしゆくゆくは結婚もしたい。時間がいくらでもあると思ってたら出遅れちゃう! 」
するとルティは何かを考え込むように目を伏せたのだった。
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