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寿司

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悪役令嬢、友達が出来る

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 まだ心臓がバクバクいっている。
 彼氏いない歴=年齢の私には刺激が強すぎるよ……。   

 授業も頭がぼーっとなって集中出来なかったし、レベッカ探しもいまいち捗らなかった。
 ロキのやつ、とんでもないことしでかしてくれたわね。

 そして馬車に少ない荷物を積み込みながら私は一人煩悩に囚われていた。

 しっかし嵐のようだった学園生活も終わりかー。あんまり満喫することなく終わってしまったなと感傷に浸る。

 ミラン先生という強力な味方をゲット出来たことは不幸中の幸いか。

 しかしあれからレベッカの姿は見てないし、彼女の協力を得るのは難しそうだ。そんなことを思っていると

「ねえ」

 そうそうレベッカの声ってこんなんだった……。鈴を転がしたような可愛い声で……。

「ねえ聞いてるの? 」

 我に帰る。そして声のした方に顔を向けると、腰に手を当てた気の強そうな少女が眉を吊り上げてそこに立っていた。

「ちょっと来なさい」

「え、は、はい」

 私に拒否権などない。私はとぼとぼと彼女に付き従うことになったのだった。

◇◇◇

 案内されたのは学園内のカフェ。夕方にもなると人の姿はなく、私たちだけがぽつんと目立つ。

「奢るわよ、何でも頼みなさい」

「えっとじゃあこのチーズケーキと紅茶で」

 かしこまりましたと店員さんが応える。レベッカはミルクティーだけを頼んでいた。

「遠慮ないわねぇ、まあいいけど」

「すいません、甘いもの食べたくて」

 店員さんの姿が消えると、早速レベッカが話を切り出した。

「貴女がエミリアのお姉さんって本当かしら? 」

 いきなり核心をついてくる娘だなと私は思った。

「本当ですわ。妹がお世話になりました」

「お世話!? 冗談じゃないわよ!! 」

 バン、とレベッカが強くテーブルを叩く。テーブルの上におかれたお冷やが勢い良くこぼれた。

「ご、ごめんなさい。ついカッとなってしまって」

 すぐに頭を冷やしたのか、レベッカは慌てて紙ナプキンでテーブルを拭き始めた。

「お気になさらないで、もしかして妹が何かトラブルを……? 」

 するとじわりと彼女の目に涙が溜まり始めた。
 さっきとは一転し、今にも泣きそうな彼女に私は少し驚く。

「……好きな人を傷つけられたの」

「好きな人を? 」

 するとレベッカは堰を切ったように話始めた。自分とルドガーは幼なじみであること、しかしある日エミリアが転校してきてからはルドガーは彼女ばかり気にするようになり、心を奪われてしまったと。
 そして付き合うか付き合わないかやきもきしている内にエミリアはなぜか学校を辞め、姿を消してしまった。
 そのことに深く傷付いたルドガーを見ていられないという話だ。

「まぁ幼なじみという立場に甘えて告白しなかったのは私の落ち度ね。でも何も言わずに姿を消すなんて……ルドガーが可哀想」

 この話だけ聞くとエミリアが凄く嫌なやつだな……。と思う。
 そして私はレベッカにどう話をしようか考えていた。
 エミリアとエドワードの話をして良いものか……。

「それでねお姉さん、エミリアはどこにいるの? 今何をしてるの? ルドガーに……教えてあげたくて」

 何て良い子なんだろう、私は目頭を押さえた。好きな人のためにここまでしてあげるなんて……。

 ここは隠していても仕方がない。私はエミリアと姉妹になった経緯と、エドワードとエミリアの関係について彼女に話した。

 話を聞き終えたレベッカは顔を真っ赤にしてぷるぷる震えていたが拳だけは強く握り締めていた。

「何よそれ……4股の末、エドを選んだってこと……? 」

 あ、これレベッカさん相当お怒りのようだ。

「そんなことルドガーに言えるわけないじゃない……あの女……」

「で、私はエドワードの婚約者ですの」

 はぁ!? とレベッカが言い捨てる。
 この怒りぶり、彼女は信用しても良い気がする。

「実はエドワードとエミリアの浮気を疑っていてね、それを調査していますの」

「あの女、婚約者がいる男を狙うなんて最低だわ! 許せない! 」

「それでレベッカさんは何か知らないかしら? 二人の浮気を暴露して追い込みたいと思ってるんですけど」

「暴露? 」

 私は1/1に行う逆断罪イベントについての計画を彼女に話した。

「へえ、面白そうじゃない」

 顔を歪ませるレベッカ。うん、彼女もやはり悪役令嬢だ。

「たくさんの人が集まるパーティで二人の悪行をバラしてやるって訳ね。イリアさんも相当悪どいわね~」

 ははは、と苦笑いを浮かべる。
 でも嫌いじゃないわとレベッカは言葉を続けた。

「私もぜひ協力させて頂戴。あの女にルドガーを傷付けたことを後悔させてやりたいの」

 レベッカは鞄から何かを取り出した。 

「それは? 」

 レベッカに促されてそれを見ると、ルドガーとエミリアの写真だった。

 手を繋いでいるもの、二人で遊んでいるもの、そしてキス写真。

 やだ、レベッカさん……怖いよ。

 私の顔色を察してかレベッカが弁解する。

「あら、別に私がストーカーして撮った訳じゃないわよ。これだけ学園には生徒がいるんですもの、誰かしら見てたっておかしくないわ」

 つまりレベッカの取り巻きたちが撮ったものなのか……。
 恐ろしい娘だ。絶対敵にはしたくない。

「あんまり見せつけてんじゃないわよ、ってことよ」

 レベッカはパチンとウィンク一つ。

「心強いわ。よろしくレベッカさん」

「レベッカで良いわよ。私もイリアって呼んでも良いかしら? 」

 構わないわ、と私は答える。
 こうして私はレベッカ=タリスマンという強力な味方兼初めての友達をゲットした!
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