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エンディング後
悪役令嬢たち、お茶会をする
しおりを挟む「いやぁ、ほんと大笑いしたわ。見た? エドの死にそうな顔! 」
「見ましたわ。エミリアさんも顔面蒼白でしたわね」
紅茶を飲みながらクスクスと笑うのはレベッカとミラン先生と……私。
何この組み合わせ……? 悪役令嬢のお茶会……??
ミラン先生の屋敷にお呼ばれした私は、苦笑いを浮かべながらお紅茶を頂く。
「それにしてもイリアさんも上手くやりましたわね、王妃様になるなんて尊敬ですわ」
「ははは、ありがとうございます」
別に狙っていたわけではないんだけど……。
「それで、あの悪女と元王様はどうするんですか? 結構死刑を望む声も多いみたいですけど」
ミラン先生がくいと紅茶を一口。
「死刑なんて生温いわ! 私なら晒し首ぐらいしちゃうかも」
物騒なことを言うレベッカだが目はマジだ。あながち冗談という訳ではないらしい。
「そうねえ……私としてはもう危害を加えてこなければ何でも良いんだけど……」
「甘い! このお茶菓子より甘いわ、イリアさん! 」
バンと強くテーブルを叩くレベッカ。その衝撃でカップが跳ね上がる。
「ああいう奴は生かしとくと何をしでかすか分かんないわよ! 逆恨みで襲ってくるかも……」
まさか、と私は笑う。
「二人はいま牢屋の中よ? 厳重に監視されてるし脱獄なんて……」
「確かにそうですね。でも、油断は禁物だと思います」
ミラン先生はうんうんと頷いた。
まあ先生に言われたらそうなのかもしれない、気を付けておこう。
「そーそー! だからサクッと……」
首を掻き切る動作をしてみせるレベッカ。うーん、可憐な見た目に似合わず意外と血気盛んだ。
「まー、この話は置いといてさ……そうだ、レベッカ、ルドガーの様子はどう? 」
エミリアの件が片付いたのだ。もうルドガーも彼女に未練はないだろう。
もしかしたら関係が進んでいたり……?
「ああ、ルドガー? フッたわよ」
思いもよらぬ返答に私は思わずずっこける。
「あらあら」
ミラン先生は予想通りとでも言いだけに微笑んでいる。
「だってさ、あんな悪女の本性も見抜けずグズグズしてるとこ見てたら冷めちゃって」
「分かるわ」
ミラン先生が同意を示している。
「あんなのに固執しなくても私にはもっと良い男がいるんじゃないかと思ってね~」
「な、なるほど」
あまりの急展開についていけない私。しかし尚も話を続けるレベッカ。
「『俺は……真実の愛に気が付いた……お前が好きだ』って言われたけど、もうただのコミュ障にしか見えなくて! 好きだった頃はそんな無口なところもクールで素敵だったんだけどおかしいわ」
「レベッカさん、そんなものよ。恋は盲目ってあながち嘘じゃないわよ」
「先生も別れたの? ルイス先生だっけ? 」
ミラン先生は首を横に振る。
「うーん、私も別れようかと思ったんだけどね。でもあの後、彼何でも言うこと聞いてくれるようになったの! 」
「へえ、そりゃ良いじゃない」
「そうなのよ、まあそれなら傍に置いといても良いかなと思って、お付き合いを続けているわ」
にっこり笑顔のミラン。
怖い……! その笑顔が怖いよ!
ああ哀れなルイス先生。自業自得とはいえ一生尻に敷かれるのだろう。
「で、イリアさんはどうなの? ロキ様とはどう? 」
「ど、どうと言われても……」
「あの人格好良いわよね~、ミステリアスだし飄々としてて掴み所のないかんじが素敵だわ」
やばい、ロキ狙われてる?
思わず身構える私に、レベッカがクスッと笑みをこぼした。
「でも私のタイプじゃないわ。あら、そんな警戒しなくて良いわよ」
「ですよね……」
顔から火が出るぐらい恥ずかしい。私は照れ隠しでクッキーを一かじり。
「あら噂をすれば」
ミラン先生がちらりと門の方に視線をうつす。釣られてそちらを見ると……。
「おい、迎えに来たぞ」
「ロキ!? 」
馬車から降りてきたのはロキだった。レベッカの家から城までそう遠くはない。私一人でも十分帰れるのに……。
「女一人で帰らせるのは危ないからな」
「まだ夕方よ! 心配し過ぎだわ」
あーもー、ニヤニヤこちらを見てるミラン先生とレベッカが視界にちらついて鬱陶しい!
「あら良いじゃない、わざわざお迎えに来てくれる旦那様なんて羨ましいわ」
「ですね。はぁ、ルイスもこのぐらい気が利いてれば調教も必要ないのだけれど」
ちょ、調教……。アブナイワードが飛び出してきて思わず顔がひきつる。
「王様も来たことだし今日はこのぐらいでお開きにしましょうか」
「そうね、またお話しましょう」
ーーこうして恐怖(?)の悪役令嬢会は幕を閉じたのである。
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