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第四十四話 昨日の敵は今日も敵
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生命力溢れる 青々としていた樹々の葉を色鮮やかな秋の色に塗り替えてしまうような、秋色の深まりを感じさせる秋風が窓を叩く。
何処か物悲しくて哀愁さえ感じさせるが、彩り美しく染まった樹々達が並ぶ景観と、風と共に歌う声が心の色彩まで豊かにしてくれる。
そんな秋の声が一枚の楓と共に風に運ばれて二人の元まで届き、少し肌寒い朝の到来を告げた。
「…ん~ どっから入って来たんだこれ…」
飛んで来た楓がショウの顔に当たり目を覚ました
「しかしよく寝てるなぁ… さむっ」
ショウが先に目を覚まし、横で安らいだ顔で眠っているエメをみて幸せを感じていると、寒さを感じ彼女に抱き着いた
「ぅぅん… お兄ちゃんおはよう」
目をこすりながら朝の挨拶をする
「起こしちゃった?」
「大丈夫エメもそろそろ起きる所だったから… でも寒いからもうちょっと抱っこして」
エメが俺に更にピトっとくっつく。 庇護欲のおばけ!
「いいよー。 裸同士だとあったかいね」
「そうだね。 昨夜はお楽しみでしたか?」
「どっかの宿屋の店主みたいなのやめろよ」
「だってお兄ちゃん凄かったもん…」
エメは昨夜を思い出してはにかんだ
「一度で二度おいしい感じに燃えたんだ」
「エメをひつまぶしみたいに言わないでよ」
「あれは一度で三度おいしいもんだよ」
「そうだっけ? それでお兄ちゃんはどっちのエメがよかったの?」
そう俺は大人のエメも、合法ロリ<ここ大事>のエメも両方味わいつくしたのだ
「どっちも別物だからね… 比べるものじゃないよ」
従順に奉仕してくれる巨乳美女も最高だし、好奇心旺盛で色々したがるロリっ子も可愛い
思い出したらまた…
「あーお兄ちゃん元気だねー」
密着しているのですぐに気づき、指先で突きながらちょっと嬉しそうだった
「じゃあこっちのエメはまだ一回足りてないからもう一回して?」
「もう朝だよ?」
「我慢出来ないくせに パクッ」
「うっ ちょ…ま…」
エメは一日でかなり上達していた
「じゃあ俺も!」
「お兄ちゃんそこは… ゃん… だめだょぉ~…」
俺達は朝だというのに激しく交わってしまい朝食に遅刻してしまう。
◇ ◇ ◇ ◇
俺達は城で朝食をご馳走になりそのまま冒険者ギルドへ向かう事にした。
帰ってくる迄に屋敷の方の掃除も済ませ引き渡せる状態にしておいてくれるらしい、至れり尽くせりだ。
「あのね、お兄ちゃん昨日凄いんだよ!」
「わーバカそういうのは人に言うもんじゃない!」
エメが目をキラキラさせて昨日の事をみんなに言おうとしたので必死に止めた
「えーでもルーお姉ちゃんとフララお姉ちゃんも知ってるじゃん。 イレスお姉ちゃんだって時間の問題だし」
イレスティが顔を紅潮させ俯いている
「…エメ、ショウが居ない時に話そう」
「そうよエメ、秘め事の話は女同士の方が盛り上がるわ」
ガールズトークってやつだな? あれの内容ってかなりえぐいらしい。 聞きたいようで聞きたくないな
「兄さんはあんなに綺麗な星降る夜を、腰振る夜にしてしまうなんて本当に兄さんですね」
上手くねぇよ! 後最低の事をお兄さんっていうのやめろ!
他にもくだらない事を楽しく談笑していたのだが、市場付近を通った時のレデリの顔は暗く沈んだ物に感じた。
「レデリ、どうかしたの?」
「この街には… 仲間の気配を多く感じる…」
輝人は核同士が共鳴するんだっけ? 俺は埋め込んだだけだから何も感じないけど…
「レデリ、お前が辛いならここを拠点になんてしなくてもいい。」
「辛い訳じゃないよ。 なんていうのかな… 心に風が通り抜けるみたいな… この季節の風みたいに何か切ない風。」
レデリは腕を後ろで組み、秋風に桜色の髪を靡かせながら言った
「一過性の物だから気にしないで、それにどこに行っても私達の核の気配はするから一々気にしてられないよ」
そう彼女は笑うがどこか物悲しさを覚える
「なぁ本当に無理しなくても…」
「兄さん、あんなちゃんとした錬金室があるんだよ? 私はむしろあそこ以外はなしだね」
「わかったよ。」
俺がしぶしぶ頷くと、レデリが小走りに前の方に出た
「早くギルドいこー どんな屋敷か楽しみ!」
レデリが元気そうに声を出すが、お前本当に元気なのか?
「…ショウ、レデリを気にかけてあげてね」
「あの子まだ16なのに両親や仲間も殺されて、唯一の肉親の兄は自分の為に命を落とした。 本来あんなに元気が方が不思議な位よ」
「強い子、というよりは強がっているように思えます。」
前の方を歩くエメとルチルのロリ組と楽しそうにはしゃぐレデリを見て、ルーとフララ、イレスティが俺にさりげなく言う
「あぁ、わかってるさ。 レデリが嫁に行くまでしっかり面倒見るよ」
俺は決意を新たにした。
そのうちに俺達は冒険者ギルドにつき門をくぐると俺達の魔物を査定してくれた受付嬢がこちらに気付き声をかけて来た
「あ、蒼炎の魔法使いさーん!」
受付で冒険者の対応をしていたが、カウンターの下から赤く×が書かれた札をだし、俺達の元までやって来る。
そんな受付嬢の行動をみて、あれがこの前ソードドラゴンを少人数で倒したっていう奴か? 思ったより弱そうだな。 うっひょー美人ばっかり。 あの若さで二つ名持ちってすげーな。 俺達の憧れのラアナちゃんを! などなど聞こえるか聞こえないか位の声量で冒険者達が話して居る
そ、そんな… 俺の話は…などと先程まで対応してもらっていた男が涙目になっていた
「あの… 仕事中なのに、放り出していいんですか?」
「あれは仕事ではありません、終わってから食事しようとか、今度何処かへ行こうとかただの迷惑行為です」
受付嬢は腕を組んでとても不満そうだ
「そうですか… 今日は昨日報酬を取りにきました。」
「わかってますよ! あ、それとショウさん、ルーメリアさん、エメさん、レデリさんはステータスカードおいて行って下さいね、ランクが一つ上がるので」
呼ばれた四人はカードを受付嬢に手渡した
「それじゃあ報酬はギルドマスター直々に渡すそうなので、お部屋へどうぞ」
「わかりました」
トントン
「ショウです、昨日の報酬を取りに来ました」
「入ってください」
「失礼します。」
「ようこそ。 昨日はお疲れさまでした」
ギルマスは優しそうな笑みを浮かべ簡素な机とは対照的にとても頑丈そうな椅子に座り仕事をしている最中だった
「昨日の報酬ですが、魔物の素材が白金貨500枚に、指名の依頼料が白金貨10枚、中を確認してください」
俺達はどしりと重い袋の中を手分けして数えたが間違いはなかった。 現在の貨幣価値に換算して五億一千万である。 圧倒的金持ち!
「問題ありません、丁度510枚でした!」
「それは良かったです。」
ギルマスが何度が頷く。 この人の癖ちょっと特徴的だよなぁ
「それより昨日は大変でしたね、エグバードさんもあの場にはいたんですよね?」
「ええ勿論ですよ」
「僕なんて敵を追いかけて行ったのにまんまと逃げられてしまいまして」
「実力者の全力の逃げを捕らえるのは至難の業ですしね」
ギルドマスターがうんうんと頷く
「ギルドマスターってその頷くの癖ですよね?」
「そうですか? 気付きませんでしたよ」
「昨日の奴も俺を分析して頷いてたんですよね、魔術に長けたやつでね、魔術の勉強をしようと思いましたよ。」
俺が頭を掻くと一枚の楓がローブの袖から出て来た。 朝飛んで来たやつ以外にもどっかから入ってきたのか?
ギルドマスターは一瞬楓を見て目を見開いたがすぐに元に戻った
「…ふふふ流石ですね」
ギルドマスターは頷きながら含み笑いをしていた
「ありがとうございます」
魔術の勉強は多分自分の為にもなるしな
「それでどこまで?」
んー魔術は一通り学びたいな、魔法オタクの俺としては全部知りたいが。
「一応全部ですね」
「ふふふ… 昨日の騒ぎはあれを隠す陽動だという事もまでバレているわけですか、それではもうあれは押さえられて使えませんね」
ん? 何の事?
「その楓は最後の警告という意味なのでしょう? 外には剣聖と最高宮廷魔導士、つまり逃げ場はないと言いたいのですよね?」
ちょっと待て話が見えてこない! 確かによく見れば外に兵士が集まっちゃいるがなんでだ?!
「こんな時の為に緊急脱出の方法位は持ってますよ、少しダメージは受けますが致し方ないでしょう。 ショウさんとはまた会いそうですね。 その時は…」
「 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 【アースメイル】」
「 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 【エクスプロージョン】」
魔術?! 何故今?!
「結晶魔法【輝結界】」
俺は瞬時にみんな入る結界を展開する
エグバードの座っていた椅子の下に大爆発起こり、戦闘機の射出座席の様に外に飛び出しそのまま何処かへ行ってしまった。
「どっか行ったな…」
「…行った。」
「行きましたね」
「行ったわね」
「いっちゃったねー!」
「行ったね」
「いったのじゃ!」
みんなで穴の開いた天井を見上げ呟いいた。
「エグバードはどうした?!」
剣聖の男が慌てて部屋に入って来るなり俺達に問いかけた
「椅子に乗って飛んできましたけど…」
俺はわけもわからず混乱した頭で答えた
「私達の動きに気付いて逃げよったか… すまんショウ伯爵。 私達がもう少し自重していれば」
剣聖の後に入って来た宮廷魔導士は申し訳なさそうな顔だ
「しかしやっぱりお前さんが言った通り、エグバードが昨日の仮面襲撃者の一人だったな!」
え?! 何それ?! マジ?!
女性陣の視線が俺に集まる。
俺は首を静かに横に振った…
「とりあえず城に一旦戻りましょうショウ伯爵。」
「わ、わかりました。」
「…また。」
「またね」
「またやっちゃった」
「またですか」
「またか」
「またなのじゃ」
皆が呆れ顔だ。
俺は何もしらんぞ!
◇ ◇ ◇ ◇
城の戻ると王との謁見が待っていた。 今日も王族が全員いる。
「すまんなショウ伯爵。 昨日エグバードが襲撃者の一人とそなたから聞いたのでな」
そんな事いつ俺が言った?!
「しかし良かれと思って兵士を向かわせたのだが、その動きで察知されてしまうとは…」
「は、はぁ…」
「エグバードは取り逃がしてしまったが、そなたのおかげであれは押さえる事は出来た。」
だからあれってなんだよ! みんな勝手に話勧めてるけど俺が一番わかってないんだからな!
そういやー些細なすれ違いは良くあったな、例えば、中学の時斜め前に座っている女子とよく目があったので勇気をだして話しかけてみた事があった
『も、もしかして気になるの?』
『うん、笹山君よくわかったね』
『そりゃ流石にね…』
『私自分からは言えないから… 目で伝えようと思って…』
『わかったよ俺も男だ… 俺でよければ付き合って』
『………何言ってるの?』
あのゴミを見る冷たい目は一生のトラウマだ。
その子は俺の延長線上にいるサッカー部のキャプテンを見ていたのだ… 憎むべしサッカー部! 廃部すべしサッカー部! 俺の心臓は岬君よりガラスで出来てんだよ!
俺は昔を思い出し羞恥心で跪きながら自然と拳をドンドンと床に打ち付けてしまっていた
「ショ、ショウ伯爵まことにすまない… 怒りを鎮めてくれ。 お詫びといってはなんだが大図書館のすべての書物を読めるように司書に言っておこう!」
ん? 何かわからんが過去の傷がぶり返して痛みを誤魔化す為に床を殴ってたらいい権利もらえた!
「ありがとうございます。」
「それといつでも城に遊びに来るとよい。 娘達も喜ぶのでな」
「まぁお父様ったら。 いつでもいらして下さいねショウ様」
「ショウ様、おいしいお茶とお菓子を用意して待っておりますわ」
二人の姫がニコニコ陽だまりの花の様な笑顔で嬉しそうだが、俺の嫁達のメラメラと燃える何かが刃物の様に突き刺さり背筋が凍る
その後も王子や王妃達にいくつかの爆弾を投下されながら華麗に躱しては、躱した先に鬼が待っているという鬼畜モードをなんとか終えて屋敷のカギを貰う事が出来た
もう俺この城来たくない…
◇ ◇ ◇ ◇
「ここが俺達の家かー! でかいな!」
目の前には大きな門、その門の先には大きな庭が広がっており池のような物まである。
秋の色に染まった樹々達がとても綺麗だ。
屋敷は二階建てで部屋がいくつもあり、この人数では使いきれないだろう
「なぁイレスティ、かなり広いけど一人で大丈夫なのか?」
「ええ今の人数なら問題ありません」
執事やメイドの都合をつけてくれると国王に言われたのが、イレスティが断った。 何かプライドがあるのだろう
「それに増えてもフララ様のレイスメイドもおりますので。」
「あー確かにそうだね」
「…ショウ足りない家具が多い」
「ちょっと買いに行った方がいいわね」
「わかった、じゃあみんなで行くか!」
「兄さん、私はちょっとスラムに用事があるんだけどいいかな?」
「何でスラム?」
「ちょっと必要な素材があるんだけど、表にはないんだよね。」
「だから闇ルートか。 じゃあ俺も行くよ一人じゃ危ないからね」
「ありがとう」
「じゃあ俺達はスラムに行くから、家の事は任せたよ!」
「「「「「了解」」」」」
そうして俺達はスラムに向かうのだが、スラムでの出会いがあんな事をもたらすとはこの時点で誰も気付くことが出来なかった…
何処か物悲しくて哀愁さえ感じさせるが、彩り美しく染まった樹々達が並ぶ景観と、風と共に歌う声が心の色彩まで豊かにしてくれる。
そんな秋の声が一枚の楓と共に風に運ばれて二人の元まで届き、少し肌寒い朝の到来を告げた。
「…ん~ どっから入って来たんだこれ…」
飛んで来た楓がショウの顔に当たり目を覚ました
「しかしよく寝てるなぁ… さむっ」
ショウが先に目を覚まし、横で安らいだ顔で眠っているエメをみて幸せを感じていると、寒さを感じ彼女に抱き着いた
「ぅぅん… お兄ちゃんおはよう」
目をこすりながら朝の挨拶をする
「起こしちゃった?」
「大丈夫エメもそろそろ起きる所だったから… でも寒いからもうちょっと抱っこして」
エメが俺に更にピトっとくっつく。 庇護欲のおばけ!
「いいよー。 裸同士だとあったかいね」
「そうだね。 昨夜はお楽しみでしたか?」
「どっかの宿屋の店主みたいなのやめろよ」
「だってお兄ちゃん凄かったもん…」
エメは昨夜を思い出してはにかんだ
「一度で二度おいしい感じに燃えたんだ」
「エメをひつまぶしみたいに言わないでよ」
「あれは一度で三度おいしいもんだよ」
「そうだっけ? それでお兄ちゃんはどっちのエメがよかったの?」
そう俺は大人のエメも、合法ロリ<ここ大事>のエメも両方味わいつくしたのだ
「どっちも別物だからね… 比べるものじゃないよ」
従順に奉仕してくれる巨乳美女も最高だし、好奇心旺盛で色々したがるロリっ子も可愛い
思い出したらまた…
「あーお兄ちゃん元気だねー」
密着しているのですぐに気づき、指先で突きながらちょっと嬉しそうだった
「じゃあこっちのエメはまだ一回足りてないからもう一回して?」
「もう朝だよ?」
「我慢出来ないくせに パクッ」
「うっ ちょ…ま…」
エメは一日でかなり上達していた
「じゃあ俺も!」
「お兄ちゃんそこは… ゃん… だめだょぉ~…」
俺達は朝だというのに激しく交わってしまい朝食に遅刻してしまう。
◇ ◇ ◇ ◇
俺達は城で朝食をご馳走になりそのまま冒険者ギルドへ向かう事にした。
帰ってくる迄に屋敷の方の掃除も済ませ引き渡せる状態にしておいてくれるらしい、至れり尽くせりだ。
「あのね、お兄ちゃん昨日凄いんだよ!」
「わーバカそういうのは人に言うもんじゃない!」
エメが目をキラキラさせて昨日の事をみんなに言おうとしたので必死に止めた
「えーでもルーお姉ちゃんとフララお姉ちゃんも知ってるじゃん。 イレスお姉ちゃんだって時間の問題だし」
イレスティが顔を紅潮させ俯いている
「…エメ、ショウが居ない時に話そう」
「そうよエメ、秘め事の話は女同士の方が盛り上がるわ」
ガールズトークってやつだな? あれの内容ってかなりえぐいらしい。 聞きたいようで聞きたくないな
「兄さんはあんなに綺麗な星降る夜を、腰振る夜にしてしまうなんて本当に兄さんですね」
上手くねぇよ! 後最低の事をお兄さんっていうのやめろ!
他にもくだらない事を楽しく談笑していたのだが、市場付近を通った時のレデリの顔は暗く沈んだ物に感じた。
「レデリ、どうかしたの?」
「この街には… 仲間の気配を多く感じる…」
輝人は核同士が共鳴するんだっけ? 俺は埋め込んだだけだから何も感じないけど…
「レデリ、お前が辛いならここを拠点になんてしなくてもいい。」
「辛い訳じゃないよ。 なんていうのかな… 心に風が通り抜けるみたいな… この季節の風みたいに何か切ない風。」
レデリは腕を後ろで組み、秋風に桜色の髪を靡かせながら言った
「一過性の物だから気にしないで、それにどこに行っても私達の核の気配はするから一々気にしてられないよ」
そう彼女は笑うがどこか物悲しさを覚える
「なぁ本当に無理しなくても…」
「兄さん、あんなちゃんとした錬金室があるんだよ? 私はむしろあそこ以外はなしだね」
「わかったよ。」
俺がしぶしぶ頷くと、レデリが小走りに前の方に出た
「早くギルドいこー どんな屋敷か楽しみ!」
レデリが元気そうに声を出すが、お前本当に元気なのか?
「…ショウ、レデリを気にかけてあげてね」
「あの子まだ16なのに両親や仲間も殺されて、唯一の肉親の兄は自分の為に命を落とした。 本来あんなに元気が方が不思議な位よ」
「強い子、というよりは強がっているように思えます。」
前の方を歩くエメとルチルのロリ組と楽しそうにはしゃぐレデリを見て、ルーとフララ、イレスティが俺にさりげなく言う
「あぁ、わかってるさ。 レデリが嫁に行くまでしっかり面倒見るよ」
俺は決意を新たにした。
そのうちに俺達は冒険者ギルドにつき門をくぐると俺達の魔物を査定してくれた受付嬢がこちらに気付き声をかけて来た
「あ、蒼炎の魔法使いさーん!」
受付で冒険者の対応をしていたが、カウンターの下から赤く×が書かれた札をだし、俺達の元までやって来る。
そんな受付嬢の行動をみて、あれがこの前ソードドラゴンを少人数で倒したっていう奴か? 思ったより弱そうだな。 うっひょー美人ばっかり。 あの若さで二つ名持ちってすげーな。 俺達の憧れのラアナちゃんを! などなど聞こえるか聞こえないか位の声量で冒険者達が話して居る
そ、そんな… 俺の話は…などと先程まで対応してもらっていた男が涙目になっていた
「あの… 仕事中なのに、放り出していいんですか?」
「あれは仕事ではありません、終わってから食事しようとか、今度何処かへ行こうとかただの迷惑行為です」
受付嬢は腕を組んでとても不満そうだ
「そうですか… 今日は昨日報酬を取りにきました。」
「わかってますよ! あ、それとショウさん、ルーメリアさん、エメさん、レデリさんはステータスカードおいて行って下さいね、ランクが一つ上がるので」
呼ばれた四人はカードを受付嬢に手渡した
「それじゃあ報酬はギルドマスター直々に渡すそうなので、お部屋へどうぞ」
「わかりました」
トントン
「ショウです、昨日の報酬を取りに来ました」
「入ってください」
「失礼します。」
「ようこそ。 昨日はお疲れさまでした」
ギルマスは優しそうな笑みを浮かべ簡素な机とは対照的にとても頑丈そうな椅子に座り仕事をしている最中だった
「昨日の報酬ですが、魔物の素材が白金貨500枚に、指名の依頼料が白金貨10枚、中を確認してください」
俺達はどしりと重い袋の中を手分けして数えたが間違いはなかった。 現在の貨幣価値に換算して五億一千万である。 圧倒的金持ち!
「問題ありません、丁度510枚でした!」
「それは良かったです。」
ギルマスが何度が頷く。 この人の癖ちょっと特徴的だよなぁ
「それより昨日は大変でしたね、エグバードさんもあの場にはいたんですよね?」
「ええ勿論ですよ」
「僕なんて敵を追いかけて行ったのにまんまと逃げられてしまいまして」
「実力者の全力の逃げを捕らえるのは至難の業ですしね」
ギルドマスターがうんうんと頷く
「ギルドマスターってその頷くの癖ですよね?」
「そうですか? 気付きませんでしたよ」
「昨日の奴も俺を分析して頷いてたんですよね、魔術に長けたやつでね、魔術の勉強をしようと思いましたよ。」
俺が頭を掻くと一枚の楓がローブの袖から出て来た。 朝飛んで来たやつ以外にもどっかから入ってきたのか?
ギルドマスターは一瞬楓を見て目を見開いたがすぐに元に戻った
「…ふふふ流石ですね」
ギルドマスターは頷きながら含み笑いをしていた
「ありがとうございます」
魔術の勉強は多分自分の為にもなるしな
「それでどこまで?」
んー魔術は一通り学びたいな、魔法オタクの俺としては全部知りたいが。
「一応全部ですね」
「ふふふ… 昨日の騒ぎはあれを隠す陽動だという事もまでバレているわけですか、それではもうあれは押さえられて使えませんね」
ん? 何の事?
「その楓は最後の警告という意味なのでしょう? 外には剣聖と最高宮廷魔導士、つまり逃げ場はないと言いたいのですよね?」
ちょっと待て話が見えてこない! 確かによく見れば外に兵士が集まっちゃいるがなんでだ?!
「こんな時の為に緊急脱出の方法位は持ってますよ、少しダメージは受けますが致し方ないでしょう。 ショウさんとはまた会いそうですね。 その時は…」
「 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 【アースメイル】」
「 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 【エクスプロージョン】」
魔術?! 何故今?!
「結晶魔法【輝結界】」
俺は瞬時にみんな入る結界を展開する
エグバードの座っていた椅子の下に大爆発起こり、戦闘機の射出座席の様に外に飛び出しそのまま何処かへ行ってしまった。
「どっか行ったな…」
「…行った。」
「行きましたね」
「行ったわね」
「いっちゃったねー!」
「行ったね」
「いったのじゃ!」
みんなで穴の開いた天井を見上げ呟いいた。
「エグバードはどうした?!」
剣聖の男が慌てて部屋に入って来るなり俺達に問いかけた
「椅子に乗って飛んできましたけど…」
俺はわけもわからず混乱した頭で答えた
「私達の動きに気付いて逃げよったか… すまんショウ伯爵。 私達がもう少し自重していれば」
剣聖の後に入って来た宮廷魔導士は申し訳なさそうな顔だ
「しかしやっぱりお前さんが言った通り、エグバードが昨日の仮面襲撃者の一人だったな!」
え?! 何それ?! マジ?!
女性陣の視線が俺に集まる。
俺は首を静かに横に振った…
「とりあえず城に一旦戻りましょうショウ伯爵。」
「わ、わかりました。」
「…また。」
「またね」
「またやっちゃった」
「またですか」
「またか」
「またなのじゃ」
皆が呆れ顔だ。
俺は何もしらんぞ!
◇ ◇ ◇ ◇
城の戻ると王との謁見が待っていた。 今日も王族が全員いる。
「すまんなショウ伯爵。 昨日エグバードが襲撃者の一人とそなたから聞いたのでな」
そんな事いつ俺が言った?!
「しかし良かれと思って兵士を向かわせたのだが、その動きで察知されてしまうとは…」
「は、はぁ…」
「エグバードは取り逃がしてしまったが、そなたのおかげであれは押さえる事は出来た。」
だからあれってなんだよ! みんな勝手に話勧めてるけど俺が一番わかってないんだからな!
そういやー些細なすれ違いは良くあったな、例えば、中学の時斜め前に座っている女子とよく目があったので勇気をだして話しかけてみた事があった
『も、もしかして気になるの?』
『うん、笹山君よくわかったね』
『そりゃ流石にね…』
『私自分からは言えないから… 目で伝えようと思って…』
『わかったよ俺も男だ… 俺でよければ付き合って』
『………何言ってるの?』
あのゴミを見る冷たい目は一生のトラウマだ。
その子は俺の延長線上にいるサッカー部のキャプテンを見ていたのだ… 憎むべしサッカー部! 廃部すべしサッカー部! 俺の心臓は岬君よりガラスで出来てんだよ!
俺は昔を思い出し羞恥心で跪きながら自然と拳をドンドンと床に打ち付けてしまっていた
「ショ、ショウ伯爵まことにすまない… 怒りを鎮めてくれ。 お詫びといってはなんだが大図書館のすべての書物を読めるように司書に言っておこう!」
ん? 何かわからんが過去の傷がぶり返して痛みを誤魔化す為に床を殴ってたらいい権利もらえた!
「ありがとうございます。」
「それといつでも城に遊びに来るとよい。 娘達も喜ぶのでな」
「まぁお父様ったら。 いつでもいらして下さいねショウ様」
「ショウ様、おいしいお茶とお菓子を用意して待っておりますわ」
二人の姫がニコニコ陽だまりの花の様な笑顔で嬉しそうだが、俺の嫁達のメラメラと燃える何かが刃物の様に突き刺さり背筋が凍る
その後も王子や王妃達にいくつかの爆弾を投下されながら華麗に躱しては、躱した先に鬼が待っているという鬼畜モードをなんとか終えて屋敷のカギを貰う事が出来た
もう俺この城来たくない…
◇ ◇ ◇ ◇
「ここが俺達の家かー! でかいな!」
目の前には大きな門、その門の先には大きな庭が広がっており池のような物まである。
秋の色に染まった樹々達がとても綺麗だ。
屋敷は二階建てで部屋がいくつもあり、この人数では使いきれないだろう
「なぁイレスティ、かなり広いけど一人で大丈夫なのか?」
「ええ今の人数なら問題ありません」
執事やメイドの都合をつけてくれると国王に言われたのが、イレスティが断った。 何かプライドがあるのだろう
「それに増えてもフララ様のレイスメイドもおりますので。」
「あー確かにそうだね」
「…ショウ足りない家具が多い」
「ちょっと買いに行った方がいいわね」
「わかった、じゃあみんなで行くか!」
「兄さん、私はちょっとスラムに用事があるんだけどいいかな?」
「何でスラム?」
「ちょっと必要な素材があるんだけど、表にはないんだよね。」
「だから闇ルートか。 じゃあ俺も行くよ一人じゃ危ないからね」
「ありがとう」
「じゃあ俺達はスラムに行くから、家の事は任せたよ!」
「「「「「了解」」」」」
そうして俺達はスラムに向かうのだが、スラムでの出会いがあんな事をもたらすとはこの時点で誰も気付くことが出来なかった…
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本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
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