67 / 138
第六十二話 コスプレイヤーは、普段一般人というコスプレをしている
しおりを挟む
「さてそれじゃあ…」
「一旦戻りましょう」
「え?何で?」
「もしあなたの予想通りなら貴方が入国した事は知られない方がいい。 警戒されるわ。 それに私はアンデッド、あの大司祭みたいに私をアンデッドだとすぐに判別出来る人間がいたら面倒よ?」
「言われてみればそうだね、それじゃあ作戦会議といきますか」
「【転移】」
「…おかえり。 もう着いたの?」
「着いたよ、それで作戦会議でもしようと思ってね」
リビングに転移すると戻った事に気付いたようでルーがソファーから声をかけて来た
「ご主人様その首の跡はどうなさったのですか? 治さなくてよろしいので?」
俺が帰った事に気付いて、慌てて戻って来たイレスティが心配そうに俺の首をなぞった
先程フララに締められた首にはしっかりと手形が残っている
「これは戒めです…」
先程のホラー体験を思い出しながら首をさすった
そうしているとみんながテーブルへと集まって来た
「さてと、リンデ、ダルシエルの警備体制はしっかりしてるのか?」
「えぇ、その日に入国した者の情報は上とも共有してるし厳重よ、普通の国とは違い嘘を見抜く神聖魔術を使う神官がいるわ」
俺の魔法で偽装してもバレる可能性があるな
「アンデッドは入国出来るの?」
「まず無理ね、出来たとしても一瞬でアンデッド感知に優れた者がわんさか集まってくるわよ」
コスプレイヤーに群がるカメコみたいなもんか。 高校の時に、隣の席の女子に友達との写メ撮ってと言われて、つい舞い上がりすぎてついローアングルで撮影したらいつの間にクラスの女子みんなが俺を見下してたんだ… 馬鹿どもめ! お前達が見下している限り俺はローアングルでお前達を見上げてもいいというご褒美を与えられ続けているという事だ!
「ってなるとフララの小型アンデッドを使って街中探す訳にはいかないか…」
「それじゃあ私が輝人の核を埋められた魔物を探すよ、私の共鳴なら見つけれると思う」
レデリが手を上げながら協力を申し出た
「闇雲に探しても仕方ないしそれがいいか…」
野生のコスプレイヤーより同人誌即売会のコスプレイヤーっていうしな。 え?言わない?
「身動き取りやすいように少人数のがいいな、俺とルー、エメとレデリで行くか、必要になったらフララとルチルも【眷属召喚】で呼ぶよ!」
「わかったわ」「了解なのじゃ」
2人は納得してくれた様だ
「ちょっと待って私は?」
「お前なぁ、密入国するんだぞ?」
俺は思わず眉間に皺を寄せてしまった
「わかってるわよ、でも自分で確認しないとスッキリしないわ! イタッ! 何よこれ!」
ふふふついに引っかかったな、いつものテーブルにドンと手を置き立ち上がる癖を止めさせるく為に、樹魔法で棘を作っておいたのさ! ざまぁ!
「あんたの仕業でしょ?!」
「お、俺じゃねぇーし!」
「…ショウ。私の代わりにストリンデ連れてって。」
ナイス助け船!
「ルーがそう言うなら… 魔術使えないかもしれないけど大丈夫か?」
俺は渋々納得する
「当たり前じゃない、魔術が使えない紅血砂漠の聖女よ?」
「そういやリンデは歩いて砂漠を抜けれるような脳筋聖女だったね」
「…何急に褒めてるのよ、な、何もでないんだからね! あ、代わりにヒエル様の素晴らしい教えを…」
リンデは褒められたのが嬉しいのか顔を赤くしながら誤魔化すように聖書を取り出そうとした
褒めてないんだけど…
「結構です…」
「ふん! いつか神罰が落とされても知らないから!」
リンデは顔をプイっと背けた
「はいはい、それは怖いこって。 じゃあ今日は休んで明日出発にしょう!」
その後はみな思い思いに時間を過ごして一日が終わった
◇ ◇ ◇ ◇
「すっかり秋も終わったなぁ…」
夜のうちに雨が降り、窓から見る中庭の樹々の葉々は役目を終えて地へと返っていた
「もう冬だね… お兄ちゃん、エメとの魔法も冬バージョンになるからね」
「了解」
エメがすっと俺の中に入っていく、樹魔法は基本的にその季節に付随する魔法だ、エメが中に居れば自然と何が出来るかは把握できる
「それじゃあレデリ、リンデ、行くよ」
「はいよー」「準備出来てるわ!」
レデリもリンデもいつでも行けるみたいだ
「…気を付けて。」
「何かあればすぐに呼びなさい」
「気を付けて行ってらっしゃいませ」
「わらわに留守は任せるのじゃ!」
このメンツなら残しても何も心配がない
「じゃあ留守の間頼むね、行ってきます!」
そうして俺達はダルシエルのすぐそばの砂漠まで転移した
「それでどうやって入るつもりなの?」
「とりあえず【イリュージョン】」
「何も変わらないよ?」
「周りの人達には別人に見えてるよ」
「レデリは金髪の美女に、リンデは…赤毛のゴリラに」
うほ
「何でゴリラなのよ?!」
リンデが眉間に皺を寄せいつもの様に顔を近づけて抗議してくる。
美人なんだから気安く顔を近づけて来るな!
『お兄ちゃん、流石にゴリラゴリラゴリラ位がいいんじゃない?』
それただの学名で結局ゴリラだからね?!
「わかったわかったから! もう一回やるよ、脳筋のイメージが強すぎてゴリラが…【イリュージョン】」
俺はリンデの肩を両手でつかみ近づいた体を押し返した
「で、どうなったの?」
「赤毛の美人になったよ」
「元の私とどっちが美人?」
「…元のリンデ」
「へぇ美人って認識してたんだ」
リンデがニヤニヤした顔を見ていた
うぜー
「ゴリラの中ではトップクラスだと思ってるよ」
「何ですって?!」
パンパン
「はいはい、今日はフララ姉さんが居ないから私がこれやらないといけないのか…」
「「何で面倒くさそうなんだよ!」なのよ!」
「…そういう所でしょ…」
レデリがやれやれとため息をついた
「で次は?」
リンデの機嫌はまだ戻っていないが先に進める
「【ステルス】【フライ】」
俺は二人をガバっと両脇で抱え空へ飛び出した
「兄さんどこ触ってるの? 私達まだ一緒にお風呂に入っただけなのに…」
「ちょ、ちょっとあんた! そこは… ぁん… だめぇ…」
何で俺が脇腹触っただけで変質者みたいになってんだよ、つかリンデ、お前脇腹性感帯かよ、こんな形で知りたくなかったよ…
俺は静かに人気のない場所に着地し、二人を下ろした
「兄さんのエッチ… こんな所で妹になんてことするの?」
「あ、あんたねぇ! 聖女を汚すなんて神を冒涜してるのと一緒よ?!」
君たちの脇腹はあれかい? 出し入れできる所なのかい?
「お前らなぁ、悪ふざけはいい加減にして真面目にやれ!」
「はぁ今後の付き合いが不安だなー」
「私は聖女… まだ汚されてない… 私は聖女」
レデリが胸を両手で抱え、リンデはショックなのか四つん這いだ
俺が物陰からひょいっと頭をだし周りの様子を伺う
「にしても何か不気味だなこの街、白過ぎだろ。 街全体が病院みたいな雰囲気だな」
「そりゃそうよ、年がら年中重症軽傷問わずここへ助けを求めてくるのよ?」
「お前も四つん這いになる位苦しいなら心の病を見て貰えよ」
「誰のせいだと思ってるのよ!」
「俺のせいなの? じゃあ責任取らないといけないの?」
「ば、バカ言わないで、誰があんたみたいな女誑しに!」
否定したいが現状があれなので否定できない…
「私はヒエル様のような高尚な方と結婚するの」
キラキラと恋する目で膝を付け祈りを捧げ始めた
「はいはい、そのあたりにしてくださいねー。 兄さんあっちの方から核の気配を感じるよ」
レデリは塔の方を指していた
「流石俺のレデリ、脳筋ゴリラ聖女と違って優秀だ」
「俺のレデリっていうのは非常に不服だけど恋人だから我慢するとして」
…この子は本当に俺が好きなのだろうか? 相変わらずゴミを見るような冷たい視線だ。
「早くいくよ、遊びに来たんじゃないんだから」
「「はいすみません…」」
俺達はシュンとしながらも、塔の方に向かいながら街を探索する事にした。
情報を集める為にも【ステルス】は解いてある
「何か思ったより静かな街だな」
「人が余りいないように感じるね、ストリンデさんいつもこんな感じなの?」
「いえ、そんな事ないわ、もっと人も多くて賑やかなんだけど…」
リンデも困惑してるようだ
「おねーさまー!!!」
と前から大きな声を出しながらこちらに走ってくるシスター服の様な物を着た少女が見えて来た
「何だあれ?」
「う、あれはまずいわね…」
リンデあからさまに嫌そうな顔をして俺の後ろに隠れるように下がった
「この辺りでお姉様の気配…そして匂いが… クンカクンカ」
少女が鼻をピクピクさせながらリンデの近くまで来る
ピト
「お姉様! あれ? でも見た目が…」
「こっちへ来なさい!」
リンデが少女を連れて建物の隙間へと入った
「はぁ…やっぱりお姉様だったのですね、いくら姿を変えても私にはすぐわかりますよ!」
少女は胸元に抱き着いて、顔を赤らめニヤニヤしながら顔をぐりぐりと押し付けていた
「はぁあんたって子は…」
リンデが疲れた様に溜息を吐いた
「リンデこの子は?」
「むぅ。 そちらこそ誰ですか?」
白いシスター服の様な物を着た少女はリンデに抱き着いたままこちらを振り向き、頬を膨らませた
「僕は…」
「やっぱり聞きたくありません!ベー」
少女が目をギュッと瞑り舌を出した
「何でだよ!」
「だってあの綺麗で聡明で慈悲深くてその優しい笑顔はまるで人を優しく照らす太陽の様に美しかったお姉様を、こんな砂漠を歩いて超えてしまう様なゴリラに変えたのは貴方なんでしょ?!」
「そのゴリラ要素は元々のもんだ! 俺のせいにするな!」
「そんなまさか! お姉様はゴリラゴリラゴリラだったのですか?!」
少女は両手で頬を包み、表情は青天の霹靂といった様子だった
ドン ドン
二人の頭に鉄拳が落ちる
「いい加減にしなさい」
「「はい…」」
「はぁ…」
レデリのため息が虚しく当たりに響いた
「この子は私と同じ修道院に居たモルガーナよ、まぁ妹みたいなもんね」
「はい、皆にはモルガって呼ばれてます、でもお姉様! 妹なんてとんでもない。 私は妻になるのです!」
腰に手を当てドヤ顔だ
「はぁ… 女同士じゃ結婚できないでしょ… いつまで言ってるの…」
「お姉様だって昔は約束してくれました!」
「モルガそういうのって子供の時の約束で…」
「お姉様を誑かしたゴミカス野郎の貴方には名前で呼んでほしくないです」
俺が優しく屈んで話かけると、モルガが冷たく言い放ち顔をプイっと背けた
「兄さんがゴミカスっていうのには全面的に同意するけど、誑かしてはないよ」
ゴミカスの恋人の貴方はなんなんですかね?!
「兄さん?! こんな冴えない兄の妹がこんなに可愛いはずがない!」
俺は魔法かけても冴えないのね… 冴えない彼氏の育て方を誰か教えてくれ…
「ねぇモルガ、最近ダルシエルで何か変わった事あった?」
らちが明かないと思ったのか流れをぶった切って会話に割って入って来た
「んー…特には思いつきませんねぇ…」
『お兄ちゃん、嘘かもしれないよ、何でも喋らせる寄生型の植物に…』
『止めろ止めろ! 物騒すぎるだろ!』
『試してみたかったのに…』
なんて危ない大精霊だ!
「しいていうなら、入信者さんが最近やたら多い事ですかね? それにその入信者さん達も規則通り洗礼を受けるんですけど、なんかみんな大人しいというか元気ないというか…」
「洗礼… それって大司祭様が行ってるのよね?」
大司祭って事はドウガさん、リンデのお父さんだよな
「はい、その通りです。」
「洗礼の間で行なってるの?」
「いえ最近は人が増えすぎたとかであそこの塔の中でやってますよ」
レデリが指さした方角とも合うか…
俺がレデリとリンデの顔を見ると二人共頷いた
するとリンデがそっと顔を俺の耳に近づけて口を開く
「あそこは許可なく入れないし、気配察知に優れた者も多いから貴方の魔法でも難しいわ」
「むぅー 私を差し置いてお姉様と内緒話ですか?」
モルガは涙目になってむくれていた。 よくよく見ると可愛いな、14歳とかそのあたりかな?
するとリンデがポンと手を叩いた
「ねぇモルガ、私を新しい入信者としてあそこに連れて行ってくれない? モルガなら問題ないよね?」
「お姉様の頼みなら別にいいですけど、それなら元の姿で入ればいいのでは?」
その通りだ…
「違うのよ、実はね大司祭様にサプライズがあるの、明日は二人の結婚記念日だからね、色々リサーチしたくて姿を変えて大司祭様に近づこうってわけ」
平然と嘘つけるタイプだなリンデは、全く言い淀まないしもっともらしい、やっぱりこいつ全然聖女じゃねー 実はただのコスプレイヤーじゃないのか?
「流石お姉様! 家族の事を思うがあまり変装して密入国迄して大司祭様に近づこうっていうんですね?」
?!
俺は思わず【身体強化】して背中に亜空間を広げ刀を握っていた
「どうしたんですかショウさん? ただの冗談じゃないですかー」
屈託なくモルガは笑っていたが、さっきの漏れた魔素の流れは明らかに攻撃的だった… いくら大好きだからと言って魔法にかけられたリンデを見抜けるのか? それに…なんだ?何が引っかかってる?
「ちょっと背中がかゆくなっただけだよ、それで頼めるの?」
もしかしたら罠の可能性もあるが、最悪転移で逃げればいい。 転移できる事は流石に知らないはずだ
「勿論お姉様の為ですからね! 行きましょうお姉様! あ、腕組みますからね!」
ニコニコとリンデと腕を組み楽しそうに話す二人は本当に仲のいい姉妹のようだ
「レデリ、あの子信用できると思うか?」
「ストリンデさんの事大好きみたいだし怪しい所あった?」
レデリは何も感じなかったみたいだ… 俺の思い過ごしかな?
そうして俺達はモルガに連れられ、新しい入信者として塔の中に入る事が出来た
入ってからレデリの様子がおかしい、拳を強く握りプルプルと肩を震わせまるで怒りを抑えているような様子だ
「どうした?」
「兄さん… ここ… 物凄い数の輝人の核がある。 何千何万数えられない」
クソ、一番嫌な予想が当たったか… そんな場所にいるのは辛いよな… そっとレデリを抱きしめた
「どうしたんですか?」
モルガが様子がおかしい俺達に問いかけて来た
「ちょっと具合がわるくなっちゃっただけだよ」
レデリは苦笑いでモルガに言った
「ほら俺の言った通りだっただろ? 嫌な予想は大体当たるんだよ、朝食べたあれは古いから当たるかもって言っただろ」
ストリンデは俺のその言葉でハっとしたようだ。 レデリは今日朝ごはんを抜いていた
「すみませーん!」
「どうしました?」
モルガが声を出すと兵士が駆けよってきた
「この方が具合悪いらしいので、医務室に連れてってもらえませんか?」
「わかりました、それではこちらへ」
俺達は兵士に後に続くが…
「お姉様はこっちですよ、大司祭様はこちらなので」
モルガがリンデの腕を引いた
「…わかったわ、じゃあまた後でね」
「了解」
「ストリンデさんまた後で」
俺達はここで別れた。
今思えば彼女に取ってここが最後の分岐点だったのだろう
何故なら彼女の向かう先に待つのは…
「一旦戻りましょう」
「え?何で?」
「もしあなたの予想通りなら貴方が入国した事は知られない方がいい。 警戒されるわ。 それに私はアンデッド、あの大司祭みたいに私をアンデッドだとすぐに判別出来る人間がいたら面倒よ?」
「言われてみればそうだね、それじゃあ作戦会議といきますか」
「【転移】」
「…おかえり。 もう着いたの?」
「着いたよ、それで作戦会議でもしようと思ってね」
リビングに転移すると戻った事に気付いたようでルーがソファーから声をかけて来た
「ご主人様その首の跡はどうなさったのですか? 治さなくてよろしいので?」
俺が帰った事に気付いて、慌てて戻って来たイレスティが心配そうに俺の首をなぞった
先程フララに締められた首にはしっかりと手形が残っている
「これは戒めです…」
先程のホラー体験を思い出しながら首をさすった
そうしているとみんながテーブルへと集まって来た
「さてと、リンデ、ダルシエルの警備体制はしっかりしてるのか?」
「えぇ、その日に入国した者の情報は上とも共有してるし厳重よ、普通の国とは違い嘘を見抜く神聖魔術を使う神官がいるわ」
俺の魔法で偽装してもバレる可能性があるな
「アンデッドは入国出来るの?」
「まず無理ね、出来たとしても一瞬でアンデッド感知に優れた者がわんさか集まってくるわよ」
コスプレイヤーに群がるカメコみたいなもんか。 高校の時に、隣の席の女子に友達との写メ撮ってと言われて、つい舞い上がりすぎてついローアングルで撮影したらいつの間にクラスの女子みんなが俺を見下してたんだ… 馬鹿どもめ! お前達が見下している限り俺はローアングルでお前達を見上げてもいいというご褒美を与えられ続けているという事だ!
「ってなるとフララの小型アンデッドを使って街中探す訳にはいかないか…」
「それじゃあ私が輝人の核を埋められた魔物を探すよ、私の共鳴なら見つけれると思う」
レデリが手を上げながら協力を申し出た
「闇雲に探しても仕方ないしそれがいいか…」
野生のコスプレイヤーより同人誌即売会のコスプレイヤーっていうしな。 え?言わない?
「身動き取りやすいように少人数のがいいな、俺とルー、エメとレデリで行くか、必要になったらフララとルチルも【眷属召喚】で呼ぶよ!」
「わかったわ」「了解なのじゃ」
2人は納得してくれた様だ
「ちょっと待って私は?」
「お前なぁ、密入国するんだぞ?」
俺は思わず眉間に皺を寄せてしまった
「わかってるわよ、でも自分で確認しないとスッキリしないわ! イタッ! 何よこれ!」
ふふふついに引っかかったな、いつものテーブルにドンと手を置き立ち上がる癖を止めさせるく為に、樹魔法で棘を作っておいたのさ! ざまぁ!
「あんたの仕業でしょ?!」
「お、俺じゃねぇーし!」
「…ショウ。私の代わりにストリンデ連れてって。」
ナイス助け船!
「ルーがそう言うなら… 魔術使えないかもしれないけど大丈夫か?」
俺は渋々納得する
「当たり前じゃない、魔術が使えない紅血砂漠の聖女よ?」
「そういやリンデは歩いて砂漠を抜けれるような脳筋聖女だったね」
「…何急に褒めてるのよ、な、何もでないんだからね! あ、代わりにヒエル様の素晴らしい教えを…」
リンデは褒められたのが嬉しいのか顔を赤くしながら誤魔化すように聖書を取り出そうとした
褒めてないんだけど…
「結構です…」
「ふん! いつか神罰が落とされても知らないから!」
リンデは顔をプイっと背けた
「はいはい、それは怖いこって。 じゃあ今日は休んで明日出発にしょう!」
その後はみな思い思いに時間を過ごして一日が終わった
◇ ◇ ◇ ◇
「すっかり秋も終わったなぁ…」
夜のうちに雨が降り、窓から見る中庭の樹々の葉々は役目を終えて地へと返っていた
「もう冬だね… お兄ちゃん、エメとの魔法も冬バージョンになるからね」
「了解」
エメがすっと俺の中に入っていく、樹魔法は基本的にその季節に付随する魔法だ、エメが中に居れば自然と何が出来るかは把握できる
「それじゃあレデリ、リンデ、行くよ」
「はいよー」「準備出来てるわ!」
レデリもリンデもいつでも行けるみたいだ
「…気を付けて。」
「何かあればすぐに呼びなさい」
「気を付けて行ってらっしゃいませ」
「わらわに留守は任せるのじゃ!」
このメンツなら残しても何も心配がない
「じゃあ留守の間頼むね、行ってきます!」
そうして俺達はダルシエルのすぐそばの砂漠まで転移した
「それでどうやって入るつもりなの?」
「とりあえず【イリュージョン】」
「何も変わらないよ?」
「周りの人達には別人に見えてるよ」
「レデリは金髪の美女に、リンデは…赤毛のゴリラに」
うほ
「何でゴリラなのよ?!」
リンデが眉間に皺を寄せいつもの様に顔を近づけて抗議してくる。
美人なんだから気安く顔を近づけて来るな!
『お兄ちゃん、流石にゴリラゴリラゴリラ位がいいんじゃない?』
それただの学名で結局ゴリラだからね?!
「わかったわかったから! もう一回やるよ、脳筋のイメージが強すぎてゴリラが…【イリュージョン】」
俺はリンデの肩を両手でつかみ近づいた体を押し返した
「で、どうなったの?」
「赤毛の美人になったよ」
「元の私とどっちが美人?」
「…元のリンデ」
「へぇ美人って認識してたんだ」
リンデがニヤニヤした顔を見ていた
うぜー
「ゴリラの中ではトップクラスだと思ってるよ」
「何ですって?!」
パンパン
「はいはい、今日はフララ姉さんが居ないから私がこれやらないといけないのか…」
「「何で面倒くさそうなんだよ!」なのよ!」
「…そういう所でしょ…」
レデリがやれやれとため息をついた
「で次は?」
リンデの機嫌はまだ戻っていないが先に進める
「【ステルス】【フライ】」
俺は二人をガバっと両脇で抱え空へ飛び出した
「兄さんどこ触ってるの? 私達まだ一緒にお風呂に入っただけなのに…」
「ちょ、ちょっとあんた! そこは… ぁん… だめぇ…」
何で俺が脇腹触っただけで変質者みたいになってんだよ、つかリンデ、お前脇腹性感帯かよ、こんな形で知りたくなかったよ…
俺は静かに人気のない場所に着地し、二人を下ろした
「兄さんのエッチ… こんな所で妹になんてことするの?」
「あ、あんたねぇ! 聖女を汚すなんて神を冒涜してるのと一緒よ?!」
君たちの脇腹はあれかい? 出し入れできる所なのかい?
「お前らなぁ、悪ふざけはいい加減にして真面目にやれ!」
「はぁ今後の付き合いが不安だなー」
「私は聖女… まだ汚されてない… 私は聖女」
レデリが胸を両手で抱え、リンデはショックなのか四つん這いだ
俺が物陰からひょいっと頭をだし周りの様子を伺う
「にしても何か不気味だなこの街、白過ぎだろ。 街全体が病院みたいな雰囲気だな」
「そりゃそうよ、年がら年中重症軽傷問わずここへ助けを求めてくるのよ?」
「お前も四つん這いになる位苦しいなら心の病を見て貰えよ」
「誰のせいだと思ってるのよ!」
「俺のせいなの? じゃあ責任取らないといけないの?」
「ば、バカ言わないで、誰があんたみたいな女誑しに!」
否定したいが現状があれなので否定できない…
「私はヒエル様のような高尚な方と結婚するの」
キラキラと恋する目で膝を付け祈りを捧げ始めた
「はいはい、そのあたりにしてくださいねー。 兄さんあっちの方から核の気配を感じるよ」
レデリは塔の方を指していた
「流石俺のレデリ、脳筋ゴリラ聖女と違って優秀だ」
「俺のレデリっていうのは非常に不服だけど恋人だから我慢するとして」
…この子は本当に俺が好きなのだろうか? 相変わらずゴミを見るような冷たい視線だ。
「早くいくよ、遊びに来たんじゃないんだから」
「「はいすみません…」」
俺達はシュンとしながらも、塔の方に向かいながら街を探索する事にした。
情報を集める為にも【ステルス】は解いてある
「何か思ったより静かな街だな」
「人が余りいないように感じるね、ストリンデさんいつもこんな感じなの?」
「いえ、そんな事ないわ、もっと人も多くて賑やかなんだけど…」
リンデも困惑してるようだ
「おねーさまー!!!」
と前から大きな声を出しながらこちらに走ってくるシスター服の様な物を着た少女が見えて来た
「何だあれ?」
「う、あれはまずいわね…」
リンデあからさまに嫌そうな顔をして俺の後ろに隠れるように下がった
「この辺りでお姉様の気配…そして匂いが… クンカクンカ」
少女が鼻をピクピクさせながらリンデの近くまで来る
ピト
「お姉様! あれ? でも見た目が…」
「こっちへ来なさい!」
リンデが少女を連れて建物の隙間へと入った
「はぁ…やっぱりお姉様だったのですね、いくら姿を変えても私にはすぐわかりますよ!」
少女は胸元に抱き着いて、顔を赤らめニヤニヤしながら顔をぐりぐりと押し付けていた
「はぁあんたって子は…」
リンデが疲れた様に溜息を吐いた
「リンデこの子は?」
「むぅ。 そちらこそ誰ですか?」
白いシスター服の様な物を着た少女はリンデに抱き着いたままこちらを振り向き、頬を膨らませた
「僕は…」
「やっぱり聞きたくありません!ベー」
少女が目をギュッと瞑り舌を出した
「何でだよ!」
「だってあの綺麗で聡明で慈悲深くてその優しい笑顔はまるで人を優しく照らす太陽の様に美しかったお姉様を、こんな砂漠を歩いて超えてしまう様なゴリラに変えたのは貴方なんでしょ?!」
「そのゴリラ要素は元々のもんだ! 俺のせいにするな!」
「そんなまさか! お姉様はゴリラゴリラゴリラだったのですか?!」
少女は両手で頬を包み、表情は青天の霹靂といった様子だった
ドン ドン
二人の頭に鉄拳が落ちる
「いい加減にしなさい」
「「はい…」」
「はぁ…」
レデリのため息が虚しく当たりに響いた
「この子は私と同じ修道院に居たモルガーナよ、まぁ妹みたいなもんね」
「はい、皆にはモルガって呼ばれてます、でもお姉様! 妹なんてとんでもない。 私は妻になるのです!」
腰に手を当てドヤ顔だ
「はぁ… 女同士じゃ結婚できないでしょ… いつまで言ってるの…」
「お姉様だって昔は約束してくれました!」
「モルガそういうのって子供の時の約束で…」
「お姉様を誑かしたゴミカス野郎の貴方には名前で呼んでほしくないです」
俺が優しく屈んで話かけると、モルガが冷たく言い放ち顔をプイっと背けた
「兄さんがゴミカスっていうのには全面的に同意するけど、誑かしてはないよ」
ゴミカスの恋人の貴方はなんなんですかね?!
「兄さん?! こんな冴えない兄の妹がこんなに可愛いはずがない!」
俺は魔法かけても冴えないのね… 冴えない彼氏の育て方を誰か教えてくれ…
「ねぇモルガ、最近ダルシエルで何か変わった事あった?」
らちが明かないと思ったのか流れをぶった切って会話に割って入って来た
「んー…特には思いつきませんねぇ…」
『お兄ちゃん、嘘かもしれないよ、何でも喋らせる寄生型の植物に…』
『止めろ止めろ! 物騒すぎるだろ!』
『試してみたかったのに…』
なんて危ない大精霊だ!
「しいていうなら、入信者さんが最近やたら多い事ですかね? それにその入信者さん達も規則通り洗礼を受けるんですけど、なんかみんな大人しいというか元気ないというか…」
「洗礼… それって大司祭様が行ってるのよね?」
大司祭って事はドウガさん、リンデのお父さんだよな
「はい、その通りです。」
「洗礼の間で行なってるの?」
「いえ最近は人が増えすぎたとかであそこの塔の中でやってますよ」
レデリが指さした方角とも合うか…
俺がレデリとリンデの顔を見ると二人共頷いた
するとリンデがそっと顔を俺の耳に近づけて口を開く
「あそこは許可なく入れないし、気配察知に優れた者も多いから貴方の魔法でも難しいわ」
「むぅー 私を差し置いてお姉様と内緒話ですか?」
モルガは涙目になってむくれていた。 よくよく見ると可愛いな、14歳とかそのあたりかな?
するとリンデがポンと手を叩いた
「ねぇモルガ、私を新しい入信者としてあそこに連れて行ってくれない? モルガなら問題ないよね?」
「お姉様の頼みなら別にいいですけど、それなら元の姿で入ればいいのでは?」
その通りだ…
「違うのよ、実はね大司祭様にサプライズがあるの、明日は二人の結婚記念日だからね、色々リサーチしたくて姿を変えて大司祭様に近づこうってわけ」
平然と嘘つけるタイプだなリンデは、全く言い淀まないしもっともらしい、やっぱりこいつ全然聖女じゃねー 実はただのコスプレイヤーじゃないのか?
「流石お姉様! 家族の事を思うがあまり変装して密入国迄して大司祭様に近づこうっていうんですね?」
?!
俺は思わず【身体強化】して背中に亜空間を広げ刀を握っていた
「どうしたんですかショウさん? ただの冗談じゃないですかー」
屈託なくモルガは笑っていたが、さっきの漏れた魔素の流れは明らかに攻撃的だった… いくら大好きだからと言って魔法にかけられたリンデを見抜けるのか? それに…なんだ?何が引っかかってる?
「ちょっと背中がかゆくなっただけだよ、それで頼めるの?」
もしかしたら罠の可能性もあるが、最悪転移で逃げればいい。 転移できる事は流石に知らないはずだ
「勿論お姉様の為ですからね! 行きましょうお姉様! あ、腕組みますからね!」
ニコニコとリンデと腕を組み楽しそうに話す二人は本当に仲のいい姉妹のようだ
「レデリ、あの子信用できると思うか?」
「ストリンデさんの事大好きみたいだし怪しい所あった?」
レデリは何も感じなかったみたいだ… 俺の思い過ごしかな?
そうして俺達はモルガに連れられ、新しい入信者として塔の中に入る事が出来た
入ってからレデリの様子がおかしい、拳を強く握りプルプルと肩を震わせまるで怒りを抑えているような様子だ
「どうした?」
「兄さん… ここ… 物凄い数の輝人の核がある。 何千何万数えられない」
クソ、一番嫌な予想が当たったか… そんな場所にいるのは辛いよな… そっとレデリを抱きしめた
「どうしたんですか?」
モルガが様子がおかしい俺達に問いかけて来た
「ちょっと具合がわるくなっちゃっただけだよ」
レデリは苦笑いでモルガに言った
「ほら俺の言った通りだっただろ? 嫌な予想は大体当たるんだよ、朝食べたあれは古いから当たるかもって言っただろ」
ストリンデは俺のその言葉でハっとしたようだ。 レデリは今日朝ごはんを抜いていた
「すみませーん!」
「どうしました?」
モルガが声を出すと兵士が駆けよってきた
「この方が具合悪いらしいので、医務室に連れてってもらえませんか?」
「わかりました、それではこちらへ」
俺達は兵士に後に続くが…
「お姉様はこっちですよ、大司祭様はこちらなので」
モルガがリンデの腕を引いた
「…わかったわ、じゃあまた後でね」
「了解」
「ストリンデさんまた後で」
俺達はここで別れた。
今思えば彼女に取ってここが最後の分岐点だったのだろう
何故なら彼女の向かう先に待つのは…
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる