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第六十三話 無理して笑えば、大事な何かをすり減らす
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「今朝何か変な物を食べたとか…」
今俺とレデリはダルシエルにそびえ立つ白い塔の医務室にいる。 リンデは父親と会う為に別行動
白いシスター服の様な物を着た女性が、顔色の悪いレデリに問診を行なっているところだ
「いえ、もう大丈夫になりましたから」
心配そうにしている女性に、レデリが気丈に振る舞い笑顔を見せた
「一応念の為に採血しましょうか」
この世界は傷や軽い病気は魔術で治せるが、重い病などは薬に頼っている。 異世界の医学は薬学が中心で、地球よりも圧倒的に進んでいた。 血液を魔術で分析して処方するのが一般的らしい。
「わかりました」
優しい笑みを浮かべ採血を進めてくる彼女を断るのが忍びなかったのだろう、レデリはため息と共に了承した
レデリが手渡されたナイフで指を切ると人よりも彩度の高い鮮血が滴り落ち、皿の上に置かれた白い紙が赤に蝕まれていく
「はい、ありがとうございます」
笑顔で紙を取り魔術をかけると彼女の顔は驚きの色に染まった
「まぁ、これはいけません! 今は大丈夫ですがこのままだと取り返しのつかない事になりますよ! さっこちらです、横になって下さい!」
「ちょ、ちょっと!」
白い服の女性がレデリの返答も聞かず、慌てた様に手を引きいくつか置いてあるベットの端に無理やり座らせる
「安静にしてないとダメです、後これも飲んで下さい!」
女性は薬を2錠、手の平に乗せレデリに見せた
「わかりました。 じゃあ安静にするのでそこにいる人と一緒に寝ても良いですか? 私の恋人なので」
なんか恋人って言われるのは慣れないな… 小躍りしそうなぐらい嬉しい
「恋人なら構いませんよ、ただし変なことはしないように!」
女性がウインクしながら薬と水を手渡すとレデリは喉を鳴らしながら薬を流し込み、少し恥ずかしそうに桜色の髪をくるくると弄りながらベットに手招きした
俺は顔をダルダルに緩めながらベットに潜り込みレデリの背中にしがみつく
少しすると先程の女性が気を利かせたのか医務室を後にする音が耳に届いた
「ふぅ…やっと行った」
「2人きりになってなんかするの?」
俺は内心かなりドキドキしている
「その緩みに緩んだ顔を元に戻して! これはたぶん足止めだよ! 私に飲ませたのは強力な睡眠薬。 多分もう私達の事はバレてる」
「マジで?! でも薬効いてなくない?」
「輝人には特殊な薬以外は核が吸収してなんの効果もないんだよ、忘れたの?」
「忘れてた…」
「全く、兄さんは本当に兄さんだね、信じられない位兄さんで、もうほんと兄さん!」
シーツの擦れる音を鳴らしながらレデリが俺と向かい合わせになるように態勢を変え、心底呆れた様な顔でいつの間にか蔑む言葉と化した兄さんを乱れ打った
意味が広すぎて読み取るのが難しいんですけど?! 現代人のヤバイぐらいヤバイよそれ!
俺がシュンとしているとレデリの可愛い唇が軽く触れる
「続きはまたね、今はストリンデさんが危ないから早くいこ!」
「わかった! 頑張るよ!」
不意打ちはやめちくり! ドキドキが収まらん!
「単純だなー」
レデリが俺の反応に苦笑いした後、そのままそぉっと医務室から抜け出しストリンデ探しへと繰り出した
◇ ◇ ◇ ◇
ストリンデはモルガに腕をがっちりと組まれてスーハーしているモルガに苦笑いしながら父親の大司祭の所へ向かっている所だ
「随分と入り組んでいるのね?」
「お姉様は修道院を出てすぐに聖女になりましたから、ここで働く事もありませんでしたもんね」
塔の中は複雑に入り組んでおり、道順を知らなければ迷ってしまいそうな程だった。
暫く歩くと簡単には開きそうにない厳重な鉄の扉が視界に入る。
モルガがその扉に手を当てると耳障りな金属音と共にゆっくりと開らく。 鼻を膨らませ得意げな顔で振り返り
「お姉様早く行きましょ!」
と言いながら腕を引っ張り中に引きずり込まれた
中に入るとそこは何もない天井の高い真っ白な部屋なのだが、清潔感というよりも不気味に感じさせるのは薄い茶色いシミのような物が所々にあるからなのだろう
その部屋の中心に金色の錫杖の様な物を持った白いローブに青いラインがいくつか入った40代程の男と、30代後半に見えるシスター服を着た女性のがいた。 ストリンデの父と母だ
「大司祭様、新しく入信した者を連れて参りました」
モルガと共にストリンデは両親の前まで出ると、少しの間だけしか離れていなかったというのに妙な懐かしさが胸に込み上げてきて、顔がほころんでしまう
「どうかされましたか?」
「何でもないですよお母様」
いつもの様に優しい表情でストリンデに語り掛けて来た母に緊張の糸が切れてしまい、ついいつもの様に呼んでしまい口を覆うが時すでに遅く、ストリンデの母の表情は険しい物になっていた
「その声確かに、私の娘のストリンデと同じですね。 それでもしそうなら何故親に会いに来るのに姿を変える必要があるのでしょう?」
険しい表情を見てただ事ではないと感じたモルガが慌ててフォローに入る
「ち、違うのです! お姉様は明日の二人の結婚記念を祝う為にわざわざ変装してまで喜ぶ事を調査しているだけなんです!」
「ストリンデ、貴方は本当に昔からお転婆で落ち着きがありませんね。 ですがそういう理由なら特に悪い事をしたわけでもありませんし、叱るわけにもいきませんね」
ストリンデは密入国したとは言えず冷や汗を流しながら喉を鳴らした。
ストリンデの母は厳格であり、曲がった事が大嫌いで怒ると誰よりも怖いが、とても優しく愛情深い母だった。 ストリンデはそんな母や、誰にでも手を差し伸べ何よりも対話を大事にし、娘に厳しくしきれずつい甘やかしてしまう父が大好きで、自然と両親と同じ聖職者の道へと進んだ。
同じ道に進んでからは両親の偉大さを更に知る事となり、尊敬の念が更に深まると一日も早く二人に追いつきたいと、努力した結果ダルシエルで聖女と呼ばれるまでになった。
正式に聖女と認められた時両親は、歓喜のあまり泣き出してしまいお祝いと称して夜遅くまで三人共子供の様にはしゃいぎながら時間を過ごしたのは、ストリンデに取って掛け替えのない思い出である。
そんな二人に密入国など知られたらどうなる事か想像もしたくないストリンデなのだ
「ほら貴方からも何か言ってください、娘と会うのは久しぶりでしょ?」
「よく帰った。」
「最近ずっとこんな感じなのよ、カッコいいと思っているのかしら?」
「………」
母が後ろに静かに立っている、娘に対して事務的に一言だけ発した父に呆れながら投げかけたが、何も響かなかったようだ
「それでお母様は何故ここに? この時間は普段病人の看病などをしている時間ではないですか?」
「この人に呼ばれたのよ、それで来てみたら特に何を話すでもないしそろそろ戻ろうと思ったら貴方が来たの。 もしかして知ってたの?」
「………」
「さっきからずっとこの調子よ」
ストリンデの母は深いため息を吐いた
「一先ずおかえりなさい、頑張ってるみたいね」
ストリンデの母が久々に会った愛娘を優しい表情で愛情一杯に抱きしめた
「お、お母様、わ、私はもう子供ではないのですよ?」
「いいじゃない久々なんだから、また少し大きくなったみたいね、胸が」
「もう冗談ばっかり、私のはお母様譲りでそんなに大きくなりませんよ」
「全くこの子ったら、失礼しちゃうわね」
ストリンデのおでこをトンと突いたストリンデの母の表情はとても柔らかい
久々の親子対面で見ているだけで心が温まりそうな光景に誰もが微笑む…はずだった…
シャラン
錫杖らしき物についている輪が鳴らす、鋭い金属音がストリンデの鼓膜を揺らす
「ぐ…」「あ、あなた何を…」
気付いた時には錫杖が二人を串刺しにしていた
「ふん、咄嗟に急所を避けたか、少し見ない間に腕が上がったようだなストリンデ」
ストリンデの父の声色は、思い出すだけで心がじんわりと温まる思い出の中の優しい父を壊してしまう程別物だった
錫杖を抜かれ大量に血を流しながら崩れ落ちた母を抱え、ストリンデは激痛に耐えながら下がる
「 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 神聖魔術【セイントライト】」
一秒も満たずに詠唱を終え発動するはずだった魔術は発動せず、ストリンデの声が白く広い部屋で反響するだけだった
「魔術はやっぱり使えない… どうすれば…」
「あぁ、それはもう助かりませんよ。 お姉様と違って急所をばっちり貫かれてますから」
モルガはいつの間にかドウガの後ろへと下がり、ストリンデにいつも見せている屈託のない笑顔を見せる
「モルガ!あんた迄! 二人共どうしたの?! 正気に戻って!」
「正気だよストリンデ、お前はダルシエルを裏切るんだろ? 愛する愛娘だ、私自ら殺してやろうという単純な話だよ」
「裏切るって… お母様は関係ないじゃない!」
「お前の油断を誘う為に呼んだだけだ。 ちゃんと役に立ったな。 そういう意味ではいい妻だったよ、もういらんがね」
「そんな…このままじゃお母様が…私どうしたら…」
ストリンデが突然の出来事に情報処理が追い付かず混乱していると、鮮やかな赤に染められ生暖かく濡れた手がストリンデの頬を優しく撫でる
「…スト…リンデ… しっかりしなさい。 あ…貴方は… 聖女よ…ど…どんな時も…気丈に…」
「お母様やめて下さい! もう喋らないで… ここじゃ私は治してあげられない!」
「わ、わかってるわ… 最後だから… 話をしたいの…」
「やめて… 最後なんて言わないで…」
ストリンデの目から涙が零れ堕ちる
「あれは…きっとお父さんじゃない…前…から…たまに様子が変だったの…とても…苦しそうで…辛そうで…」
母も辛そうな父を見て辛かったのだろうとストリンデは理解出来た
「でも私どうしたら…」
「貴方は聖女よ… 救いを求める者は… 救ってあげなさい… お父さん…も…楽にしてあげ…」
「そんな… できないよ…」
ストリンデは涙ながらに首を振った
「お願い… お父さんを助けてあげて… ね? 私のストリンデ… 私からの…最後の…お願いよ… 出来るわ…よね?」
「…はい…」
「良い子ね… 流石…私の…むす………」
頬に紅い手の跡を残し母の温もりが消え、腕に抱く母は静かに息を引き取った
母の目をそっと閉じ、激痛に耐えながら立ち上がる
「ほぉ母が死んだというのにもう泣き止み笑ってさえいるとは、意外と薄情だな」
彼女の父が挑発するように不快な言葉でストリンデの神経を逆なでる
「…聖女はどんな時も笑顔であれ。 誰より辛くても笑っていなければいけない辛い存在。 そう教えてくれたのは、お母様とお父様ではありませんか」
「もう忘れたな…」
「あんたは私のお父様じゃない」
「いいやお前の父親だ、武器もなしに私を殺せるのかね?」
ストリンデの武器はショウの亜空間の中だ
「…わからない…でも…」
ストリンデ走り出した
「 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 神聖魔術【セイントフレイム】」
聖なる白い炎がストリンデに向かって飛んで行くが間一髪の所で躱すと、何もしないモルガが視界の端に入る
「モルガあんたは私を殺さなくていいの?」
「ふわぁぁあ… 私は面倒な事は嫌いですからね、大司祭様にやってもらいますよ」
モルガはあくびをしながら退屈そうにしていた
ストリンデは内心少しほっとする
何度か白い炎が飛んでくるが、持ち前の身体能力で血を吐きながら躱し拳が届く距離まで詰めた
ドウガは顔面に向かって飛んでくる拳を錫杖で受ける構えを取る
「あんたのこういう時の癖は知ってる!」
父でもあり、棒術の師でもある父の動きを熟知しているストリンデは、錫杖で受ける時右腕が高く上がり脇腹ががら空きになる事を知っていた
激痛を堪え右手で重い一撃を脇腹目掛けて放つが、優しい父の顔が脳裏をよぎり一瞬ためらってしまう
「ぐぅっ!」
強力な攻撃を受けて、石が川で水切りするように何度か床を飛び跳ねながら後方に激しく吹き飛んだのと、大量に流した血のせいもあり体の力が抜けてしまっていた
ダメージを受けたのはストリンデの方だ
「一瞬でもスキを見せたら命を失うと教えなかったか?」
ドウガは一瞬のスキを見逃さず力一杯に錫杖を叩きつけ彼女の内臓までぐちゃぐちゃにした
シャラン
シャラン
一歩また一歩と近づいてくる錫杖の鳴らす死の足音が、朦朧とする意識の中でも明確な死が迫っている事を予感させる
「お母様ごめんなさい。 私出来なかった… すぐ行くね…」
ストリンデは自らが作った血だまりの中、笑いながら死神が肩を叩くのを待っていた
彼女の肩に死神の手が触れそうになった瞬間、爆音と共に厳重で分厚い鉄の扉がバターが切れる様に難なく細切れにされ、そこから黒髪黒目の冴えない顔の男が現れる
よく言い争いになるど、そんなじゃれ合いも実は楽しいなんて密かに思わせてくれる初めて知り合った同い年の男の子
「リンデ、お前魔法なしでも本当に赤いゴリラになってんじゃん」
今一番来てほしかった男の子
「うるさい、あんたが遅いから全身血まみれなの!」
いつもダラダラしてるけど、本当は見えない所でしっかり努力してる男の子
「悪い、道が複雑すぎて迷った。 【電光石火】」
ショウはレデリを抱きかかえストリンデの所まで一瞬で移動した
「【リカバリー】」
ドウガに警戒しながら魔法をかけると、ストリンデの風穴が空いた体がみるみる塞がっていき流した血以外は元通りになる
相手もうかつに手を出さない方が良いと様子見しているようだ
「ありがとう、助かった」
俺は遠くで倒れている女性が目に入った
「あの人は?」
「私のお母様…」
「レデリ!」
即効性ならレデリの持つ薬の方が上だ
「うん!」
レデリが慌てて駆け寄ろうとするが…
「もう遅いよ…あんた遅すぎ…女を待たせる女誑しなんて最低ね」
ストリンデは気丈に笑っていた。 何笑ってんだよ… 痛いの笑うなよ、それは自傷行為と同じだ。
彼女の無理やり作った笑顔が俺の心を軋ませ、鋭利な刃物でえぐられた様に鋭い痛みが迸るが、彼女が笑っているのだ、一番辛くて痛い癖に… 俺が泣き言言ってる場合じゃない。
わりぃやっぱお前本物の聖女だわ、強くて真っすぐでどんなに辛くても笑うその笑顔は眩しくて…
「後は任せろ」
二本の刀を力強く握り直す
「そうしたいけどお母様と約束したの…だから…トドメは…」
「わかった…」
ストリンデの強い決意を聞きストリンデの武器を手渡してから二人でドウガの前に行くと、前にドウガから貰った腕輪が白い閃光を放ちながら粉々に砕けた
「な、なんだ?!」
俺の驚いた声に気付いたのかドウガが俺とリンデを交互に見る
「ストリンデ… それにあなたは…ショウ伯爵… そうか、やはり来てしまったか… あれはエルダリア…」
ドウガは遠くで血まみれになり力なく転がっている自分の妻を見て拳を強く握ると血が滴った
「ストリンデ、私はエルダリアまでも殺してしまったのか?」
その顔は先程までの感情がまるで分らない表情ではなく、父親が愛娘に向けるものだ
「うん。 お父…様? 戻って来たの?」
「すまない…私は何という事を…」
ドウガさんは己が犯した罪の重さに耐えきれず頭を抱えながら崩れ落ちたが、やるべき事を思い出したかの様に、俺達に真剣な眼差しを向け何とか声を絞り出した
「頼みがある」
ドウガさんの眼差しに俺はただならぬものを感じた
「そんな!」
俺達がドウガさんから聞いた言葉は信じがたい物だった…
今俺とレデリはダルシエルにそびえ立つ白い塔の医務室にいる。 リンデは父親と会う為に別行動
白いシスター服の様な物を着た女性が、顔色の悪いレデリに問診を行なっているところだ
「いえ、もう大丈夫になりましたから」
心配そうにしている女性に、レデリが気丈に振る舞い笑顔を見せた
「一応念の為に採血しましょうか」
この世界は傷や軽い病気は魔術で治せるが、重い病などは薬に頼っている。 異世界の医学は薬学が中心で、地球よりも圧倒的に進んでいた。 血液を魔術で分析して処方するのが一般的らしい。
「わかりました」
優しい笑みを浮かべ採血を進めてくる彼女を断るのが忍びなかったのだろう、レデリはため息と共に了承した
レデリが手渡されたナイフで指を切ると人よりも彩度の高い鮮血が滴り落ち、皿の上に置かれた白い紙が赤に蝕まれていく
「はい、ありがとうございます」
笑顔で紙を取り魔術をかけると彼女の顔は驚きの色に染まった
「まぁ、これはいけません! 今は大丈夫ですがこのままだと取り返しのつかない事になりますよ! さっこちらです、横になって下さい!」
「ちょ、ちょっと!」
白い服の女性がレデリの返答も聞かず、慌てた様に手を引きいくつか置いてあるベットの端に無理やり座らせる
「安静にしてないとダメです、後これも飲んで下さい!」
女性は薬を2錠、手の平に乗せレデリに見せた
「わかりました。 じゃあ安静にするのでそこにいる人と一緒に寝ても良いですか? 私の恋人なので」
なんか恋人って言われるのは慣れないな… 小躍りしそうなぐらい嬉しい
「恋人なら構いませんよ、ただし変なことはしないように!」
女性がウインクしながら薬と水を手渡すとレデリは喉を鳴らしながら薬を流し込み、少し恥ずかしそうに桜色の髪をくるくると弄りながらベットに手招きした
俺は顔をダルダルに緩めながらベットに潜り込みレデリの背中にしがみつく
少しすると先程の女性が気を利かせたのか医務室を後にする音が耳に届いた
「ふぅ…やっと行った」
「2人きりになってなんかするの?」
俺は内心かなりドキドキしている
「その緩みに緩んだ顔を元に戻して! これはたぶん足止めだよ! 私に飲ませたのは強力な睡眠薬。 多分もう私達の事はバレてる」
「マジで?! でも薬効いてなくない?」
「輝人には特殊な薬以外は核が吸収してなんの効果もないんだよ、忘れたの?」
「忘れてた…」
「全く、兄さんは本当に兄さんだね、信じられない位兄さんで、もうほんと兄さん!」
シーツの擦れる音を鳴らしながらレデリが俺と向かい合わせになるように態勢を変え、心底呆れた様な顔でいつの間にか蔑む言葉と化した兄さんを乱れ打った
意味が広すぎて読み取るのが難しいんですけど?! 現代人のヤバイぐらいヤバイよそれ!
俺がシュンとしているとレデリの可愛い唇が軽く触れる
「続きはまたね、今はストリンデさんが危ないから早くいこ!」
「わかった! 頑張るよ!」
不意打ちはやめちくり! ドキドキが収まらん!
「単純だなー」
レデリが俺の反応に苦笑いした後、そのままそぉっと医務室から抜け出しストリンデ探しへと繰り出した
◇ ◇ ◇ ◇
ストリンデはモルガに腕をがっちりと組まれてスーハーしているモルガに苦笑いしながら父親の大司祭の所へ向かっている所だ
「随分と入り組んでいるのね?」
「お姉様は修道院を出てすぐに聖女になりましたから、ここで働く事もありませんでしたもんね」
塔の中は複雑に入り組んでおり、道順を知らなければ迷ってしまいそうな程だった。
暫く歩くと簡単には開きそうにない厳重な鉄の扉が視界に入る。
モルガがその扉に手を当てると耳障りな金属音と共にゆっくりと開らく。 鼻を膨らませ得意げな顔で振り返り
「お姉様早く行きましょ!」
と言いながら腕を引っ張り中に引きずり込まれた
中に入るとそこは何もない天井の高い真っ白な部屋なのだが、清潔感というよりも不気味に感じさせるのは薄い茶色いシミのような物が所々にあるからなのだろう
その部屋の中心に金色の錫杖の様な物を持った白いローブに青いラインがいくつか入った40代程の男と、30代後半に見えるシスター服を着た女性のがいた。 ストリンデの父と母だ
「大司祭様、新しく入信した者を連れて参りました」
モルガと共にストリンデは両親の前まで出ると、少しの間だけしか離れていなかったというのに妙な懐かしさが胸に込み上げてきて、顔がほころんでしまう
「どうかされましたか?」
「何でもないですよお母様」
いつもの様に優しい表情でストリンデに語り掛けて来た母に緊張の糸が切れてしまい、ついいつもの様に呼んでしまい口を覆うが時すでに遅く、ストリンデの母の表情は険しい物になっていた
「その声確かに、私の娘のストリンデと同じですね。 それでもしそうなら何故親に会いに来るのに姿を変える必要があるのでしょう?」
険しい表情を見てただ事ではないと感じたモルガが慌ててフォローに入る
「ち、違うのです! お姉様は明日の二人の結婚記念を祝う為にわざわざ変装してまで喜ぶ事を調査しているだけなんです!」
「ストリンデ、貴方は本当に昔からお転婆で落ち着きがありませんね。 ですがそういう理由なら特に悪い事をしたわけでもありませんし、叱るわけにもいきませんね」
ストリンデは密入国したとは言えず冷や汗を流しながら喉を鳴らした。
ストリンデの母は厳格であり、曲がった事が大嫌いで怒ると誰よりも怖いが、とても優しく愛情深い母だった。 ストリンデはそんな母や、誰にでも手を差し伸べ何よりも対話を大事にし、娘に厳しくしきれずつい甘やかしてしまう父が大好きで、自然と両親と同じ聖職者の道へと進んだ。
同じ道に進んでからは両親の偉大さを更に知る事となり、尊敬の念が更に深まると一日も早く二人に追いつきたいと、努力した結果ダルシエルで聖女と呼ばれるまでになった。
正式に聖女と認められた時両親は、歓喜のあまり泣き出してしまいお祝いと称して夜遅くまで三人共子供の様にはしゃいぎながら時間を過ごしたのは、ストリンデに取って掛け替えのない思い出である。
そんな二人に密入国など知られたらどうなる事か想像もしたくないストリンデなのだ
「ほら貴方からも何か言ってください、娘と会うのは久しぶりでしょ?」
「よく帰った。」
「最近ずっとこんな感じなのよ、カッコいいと思っているのかしら?」
「………」
母が後ろに静かに立っている、娘に対して事務的に一言だけ発した父に呆れながら投げかけたが、何も響かなかったようだ
「それでお母様は何故ここに? この時間は普段病人の看病などをしている時間ではないですか?」
「この人に呼ばれたのよ、それで来てみたら特に何を話すでもないしそろそろ戻ろうと思ったら貴方が来たの。 もしかして知ってたの?」
「………」
「さっきからずっとこの調子よ」
ストリンデの母は深いため息を吐いた
「一先ずおかえりなさい、頑張ってるみたいね」
ストリンデの母が久々に会った愛娘を優しい表情で愛情一杯に抱きしめた
「お、お母様、わ、私はもう子供ではないのですよ?」
「いいじゃない久々なんだから、また少し大きくなったみたいね、胸が」
「もう冗談ばっかり、私のはお母様譲りでそんなに大きくなりませんよ」
「全くこの子ったら、失礼しちゃうわね」
ストリンデのおでこをトンと突いたストリンデの母の表情はとても柔らかい
久々の親子対面で見ているだけで心が温まりそうな光景に誰もが微笑む…はずだった…
シャラン
錫杖らしき物についている輪が鳴らす、鋭い金属音がストリンデの鼓膜を揺らす
「ぐ…」「あ、あなた何を…」
気付いた時には錫杖が二人を串刺しにしていた
「ふん、咄嗟に急所を避けたか、少し見ない間に腕が上がったようだなストリンデ」
ストリンデの父の声色は、思い出すだけで心がじんわりと温まる思い出の中の優しい父を壊してしまう程別物だった
錫杖を抜かれ大量に血を流しながら崩れ落ちた母を抱え、ストリンデは激痛に耐えながら下がる
「 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 神聖魔術【セイントライト】」
一秒も満たずに詠唱を終え発動するはずだった魔術は発動せず、ストリンデの声が白く広い部屋で反響するだけだった
「魔術はやっぱり使えない… どうすれば…」
「あぁ、それはもう助かりませんよ。 お姉様と違って急所をばっちり貫かれてますから」
モルガはいつの間にかドウガの後ろへと下がり、ストリンデにいつも見せている屈託のない笑顔を見せる
「モルガ!あんた迄! 二人共どうしたの?! 正気に戻って!」
「正気だよストリンデ、お前はダルシエルを裏切るんだろ? 愛する愛娘だ、私自ら殺してやろうという単純な話だよ」
「裏切るって… お母様は関係ないじゃない!」
「お前の油断を誘う為に呼んだだけだ。 ちゃんと役に立ったな。 そういう意味ではいい妻だったよ、もういらんがね」
「そんな…このままじゃお母様が…私どうしたら…」
ストリンデが突然の出来事に情報処理が追い付かず混乱していると、鮮やかな赤に染められ生暖かく濡れた手がストリンデの頬を優しく撫でる
「…スト…リンデ… しっかりしなさい。 あ…貴方は… 聖女よ…ど…どんな時も…気丈に…」
「お母様やめて下さい! もう喋らないで… ここじゃ私は治してあげられない!」
「わ、わかってるわ… 最後だから… 話をしたいの…」
「やめて… 最後なんて言わないで…」
ストリンデの目から涙が零れ堕ちる
「あれは…きっとお父さんじゃない…前…から…たまに様子が変だったの…とても…苦しそうで…辛そうで…」
母も辛そうな父を見て辛かったのだろうとストリンデは理解出来た
「でも私どうしたら…」
「貴方は聖女よ… 救いを求める者は… 救ってあげなさい… お父さん…も…楽にしてあげ…」
「そんな… できないよ…」
ストリンデは涙ながらに首を振った
「お願い… お父さんを助けてあげて… ね? 私のストリンデ… 私からの…最後の…お願いよ… 出来るわ…よね?」
「…はい…」
「良い子ね… 流石…私の…むす………」
頬に紅い手の跡を残し母の温もりが消え、腕に抱く母は静かに息を引き取った
母の目をそっと閉じ、激痛に耐えながら立ち上がる
「ほぉ母が死んだというのにもう泣き止み笑ってさえいるとは、意外と薄情だな」
彼女の父が挑発するように不快な言葉でストリンデの神経を逆なでる
「…聖女はどんな時も笑顔であれ。 誰より辛くても笑っていなければいけない辛い存在。 そう教えてくれたのは、お母様とお父様ではありませんか」
「もう忘れたな…」
「あんたは私のお父様じゃない」
「いいやお前の父親だ、武器もなしに私を殺せるのかね?」
ストリンデの武器はショウの亜空間の中だ
「…わからない…でも…」
ストリンデ走り出した
「 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 神聖魔術【セイントフレイム】」
聖なる白い炎がストリンデに向かって飛んで行くが間一髪の所で躱すと、何もしないモルガが視界の端に入る
「モルガあんたは私を殺さなくていいの?」
「ふわぁぁあ… 私は面倒な事は嫌いですからね、大司祭様にやってもらいますよ」
モルガはあくびをしながら退屈そうにしていた
ストリンデは内心少しほっとする
何度か白い炎が飛んでくるが、持ち前の身体能力で血を吐きながら躱し拳が届く距離まで詰めた
ドウガは顔面に向かって飛んでくる拳を錫杖で受ける構えを取る
「あんたのこういう時の癖は知ってる!」
父でもあり、棒術の師でもある父の動きを熟知しているストリンデは、錫杖で受ける時右腕が高く上がり脇腹ががら空きになる事を知っていた
激痛を堪え右手で重い一撃を脇腹目掛けて放つが、優しい父の顔が脳裏をよぎり一瞬ためらってしまう
「ぐぅっ!」
強力な攻撃を受けて、石が川で水切りするように何度か床を飛び跳ねながら後方に激しく吹き飛んだのと、大量に流した血のせいもあり体の力が抜けてしまっていた
ダメージを受けたのはストリンデの方だ
「一瞬でもスキを見せたら命を失うと教えなかったか?」
ドウガは一瞬のスキを見逃さず力一杯に錫杖を叩きつけ彼女の内臓までぐちゃぐちゃにした
シャラン
シャラン
一歩また一歩と近づいてくる錫杖の鳴らす死の足音が、朦朧とする意識の中でも明確な死が迫っている事を予感させる
「お母様ごめんなさい。 私出来なかった… すぐ行くね…」
ストリンデは自らが作った血だまりの中、笑いながら死神が肩を叩くのを待っていた
彼女の肩に死神の手が触れそうになった瞬間、爆音と共に厳重で分厚い鉄の扉がバターが切れる様に難なく細切れにされ、そこから黒髪黒目の冴えない顔の男が現れる
よく言い争いになるど、そんなじゃれ合いも実は楽しいなんて密かに思わせてくれる初めて知り合った同い年の男の子
「リンデ、お前魔法なしでも本当に赤いゴリラになってんじゃん」
今一番来てほしかった男の子
「うるさい、あんたが遅いから全身血まみれなの!」
いつもダラダラしてるけど、本当は見えない所でしっかり努力してる男の子
「悪い、道が複雑すぎて迷った。 【電光石火】」
ショウはレデリを抱きかかえストリンデの所まで一瞬で移動した
「【リカバリー】」
ドウガに警戒しながら魔法をかけると、ストリンデの風穴が空いた体がみるみる塞がっていき流した血以外は元通りになる
相手もうかつに手を出さない方が良いと様子見しているようだ
「ありがとう、助かった」
俺は遠くで倒れている女性が目に入った
「あの人は?」
「私のお母様…」
「レデリ!」
即効性ならレデリの持つ薬の方が上だ
「うん!」
レデリが慌てて駆け寄ろうとするが…
「もう遅いよ…あんた遅すぎ…女を待たせる女誑しなんて最低ね」
ストリンデは気丈に笑っていた。 何笑ってんだよ… 痛いの笑うなよ、それは自傷行為と同じだ。
彼女の無理やり作った笑顔が俺の心を軋ませ、鋭利な刃物でえぐられた様に鋭い痛みが迸るが、彼女が笑っているのだ、一番辛くて痛い癖に… 俺が泣き言言ってる場合じゃない。
わりぃやっぱお前本物の聖女だわ、強くて真っすぐでどんなに辛くても笑うその笑顔は眩しくて…
「後は任せろ」
二本の刀を力強く握り直す
「そうしたいけどお母様と約束したの…だから…トドメは…」
「わかった…」
ストリンデの強い決意を聞きストリンデの武器を手渡してから二人でドウガの前に行くと、前にドウガから貰った腕輪が白い閃光を放ちながら粉々に砕けた
「な、なんだ?!」
俺の驚いた声に気付いたのかドウガが俺とリンデを交互に見る
「ストリンデ… それにあなたは…ショウ伯爵… そうか、やはり来てしまったか… あれはエルダリア…」
ドウガは遠くで血まみれになり力なく転がっている自分の妻を見て拳を強く握ると血が滴った
「ストリンデ、私はエルダリアまでも殺してしまったのか?」
その顔は先程までの感情がまるで分らない表情ではなく、父親が愛娘に向けるものだ
「うん。 お父…様? 戻って来たの?」
「すまない…私は何という事を…」
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ドウガさんの眼差しに俺はただならぬものを感じた
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本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
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