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第八十ニ話 清き一票は慎重に
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「僕が貴方を刺した?!」
「また私を殺したに来たって言うの?」
自分を指さし困惑気味に言葉を発した俺の事をパステルカラーの花冠を被ったった女王が怖がる様にエメにギュッと捕まり、俺を睨み付けながら憎らし気に叫んだが、全く身に覚えがない
抱き着いていたエメが女王から離れて眉間に皺を寄せて睨み付ける女王に向かって、優しい口調で問いかけた
「フーちゃん、それ本当なの?」
女王が上半身を起こそうとするがずっと眠っていた為かなり辛そうだ、見ていて少し痛々しい
「大精霊様、私はハッキリ見たのです。 悪その物を体現したような黒い髪に黒目!」
なんつう事言うんだ! アジア人全員に謝れ!
「それに何よりもその記憶にも残らない様な冴えない顔は忘れないわ!」
記憶に残らないのか残るのかどっちなんだよ…
「それより大精霊様、この人は何なのですか? 何故大精霊様と一緒に?!」
「それは… あの方がエメの旦那様だからですよ」
エメは少し照れて顔を赤くしながら女王に笑顔で告げると、女王は絶望したような表情を浮かべかなり肩を落とした
「そんな… 大精霊様は私の憧れだったのに… 」
憧れって女同士じゃん… でも… 色気たっぷりで豊満の体のエメと美人女王の二人の絡む姿は… うん、確かにいい…
そんな事を考えてニヤニヤと緩んだ表情を浮かべる俺をみて、エメは目を細め俺の心を見透かしたように小さくため息を吐いた
「旦那様今すごーくいやらしい想像してませんか?」
「記憶にございません」
「いつから政治家にジョブチェンジなされたのですか?」
「何を想像しても、おんなじや、おんなじやおもて!」
「あれは酷かったですね…」
「一体何の話をしていらっしゃるのですか大精霊様?」
元の世界のネタで話についていけない女王が困った顔でエメにそう聞いたが、うまく説明するのは難しいのでとりあえず話を逸らす事にする
「女王様、エメは僕の嫁です。 それと貴方を刺した覚えが全くないのですが…」
「いいえ、貴方は間違いなく私を刺しました。 ですが大精霊様の伴侶という事は私にとっても大事なお方… 信じるしかないでしょう…」
エメの事があるので渋々と言った様子だ、本心では信じてないと言った感じだろう
「「女王様!」」
女王の声が外迄聞こえたのだろう、ドアが激しく開けられドカドカと宰相のシミムンとと軍部のお偉いさんモニカが入って来るなり大声で女王を呼ぶ声が響き渡る
「聞こえております、静まりなさい。 それで状況は?」
女王の表情が険しくなり二人に向かって女王らしく威厳を放つ態度で接した
「は! 我々ヴァルゼンはデルベックに口頭にて宣戦布告いたしました。 正式な書面が届き次第開戦となります」
「もうこっちも整っちゃってるんで、いつでもやっちゃえるよ! 大精霊ちゃんもいるし楽勝っしょ!」
跪いて答える二人はやはりやる気満々だ
「まぁあの男もしつこかったしちょうどいい機会かもね、でもお金かかるのよね戦争って」
女王は何か嫌な事を思い出したかの様に心底面倒くさいと言った感じの口調でそう告げた後、下唇を舐め陰湿な笑顔を作り
「あの女で遊ぶのにも飽きたし」
と言ったその顔は見ているこっちを不快にさせる物で、俺はその表情を元の世界で沢山見た事がある。 人が人をいじめて楽しむ時の胸糞悪い顔。 誰かを下に落とし心理的に優位に立って悦に浸っている顔。 俺多分この人嫌いだ
「フーちゃん何か変わったね…」
そんな女王を近くで見ていたエメが服の胸の辺をギュッと摘まんで寂しそうにそう告げると、女王は先程の胸糞悪い笑顔から一変きょとんとした表情になる
「もう10歳ではないのですよ大精霊様。 時間は人を変えます」
「そっか…」
エメの表情はとても寂しそうだった。
「戦争の事ですが僕が真犯人を連れてくればこの話はなかった事になるという事になってます」
「真犯人って… 間違いなく私は貴方に刺されたと思うけど…」
女王は少し考えこむと何か思い当たることがあったのか、表情が次第に険しくなっていく
「もしかして貴方、紫の瞳に見覚えない? それにここ最近記憶がなくなった事は?」
シャロの瞳が紫だったなそう言えば… それに女王が刺された日の記憶が俺にはない
「どっちも心当たりがあります」
「やっぱり」
女王は弱弱しく立ち上がりこちらへと足を進めると、寝たきりだったのもありよろめいて倒れそうになってしまうがエメが慌てて支えに入った事により何とか事なきを得た
歩く度に花びらで出来たドレスから、パステルカラーの花びらがひらひらと床に落ちる様は、とても綺麗で思わず見惚れてしまうが、その口から出る言葉は刺々しい物だ。 綺麗な花には棘があるとはよく言ったもんだ
「あの女… 忌々しい…」
先程迄の麗しい姿など吹き飛んでしまう程彼女の表情は怒りに染まっており、優しい花の香りを漂わせながら彼女の瞳の中に俺が映る程の距離まで近づいて目を合わせると小さく舌打ちした
「貴方幻狐の術に掛かってるみたいね、まだ完全ではないみたいだけど。 最近その紫の瞳の女とキスしなかった?」
シャロと霧の島に流された時人工呼吸でされたな
「…しました」
女王は呆れた様に溜息を一度ついて蔑むような眼で俺を見た。 それはご褒美ですよ?
「でしょうね、後一回されてたら。 貴方彼女の作った幻の中に永遠に囚われてたわよ?」
「え? どういう事ですか?」
「幻狐っていう幻魔術にたけた種族が居てね、その種族が一生に一回しか使えない特殊な魔術で二回口づけをすると対象を幻の中に閉じ込める事が出来る危険な魔術よ。 貴方がされたのはそれ。」
え? じゃああの時テラスでもしキスしてたら… 途中でルーが来なければ俺はどうなってたんだ? シャロもそのつもりであんなこと…
「一回だけでもかなり強力な効果があるわ、貴方が覚えていないのはそれをただの幻として認識しているから。 本当は記憶は残っているけど現実と認識出来ないの」
じゃあシャロは俺を使って女王を暗殺するように仕向けルチルの毛を現場に残したって事か? あいつは最初から俺を利用するつもりで近づいて来たのか? 楽しそうに過ごした時間も嘘? 泣いてる宿屋の子の為に体を張って助けに行ったあの優しさも嘘? シャロ… どれが本当のお前なんだ?
「あの女って言うのはシャロ… じゃなくてヴェルリナの事ですか?」
「ん? 誰よそれ? 私が言ってるのはデルベックの王妃の事よ。 私達の事見て楽しんでたくせに」
下唇を噛み忌々し気に棘のある口調でそういう彼女の言葉に嘘はなさそうだ、彼女はシャロの事を知らない
「楽しんでたっていうのは?」
「貴方に言う事じゃないわ」
「王妃は貴方を恨んでるんですか?」
「まぁそうでしょうね」
女王は顔を腕を組みながら顔を背けた。 顔だけ見れば可憐な花だが、内面にはさぞかしドス黒く醜い花が咲き乱れてる事だろう
この女王もシャロの事は知らないが、母親の王妃には恨まれる覚えがある。
となると母親がシャロを使って女王の命を狙ったって事?
一度シャロに会ってみる必要がありあそうだな… となるとフララに頼むか
『フララ今大丈夫?』
『ええ良いわよ、何かあったのかしら?』
『シャロの居場所を探してほしいんだ』
『今回のキーパーソンって訳ね、眷属を放って探しておくわ』
『ありがとう! じゃあまた後で』
フララとの念話を切り女王に改めて向き直った
「女王様は戦争をしたいのですか?」
「そうねぇ、別にどっちでもいいわ」
本当に関心がないと言った様子に、俺は少し驚いた
「…どっちでも良いって… 自分の国の民が死ぬのにどっちでもいいのですか?」
「私は関係ないからね。 それにデルベックとの会談もなくなるし丁度いいんじゃない?」
それを聞いたシミムンとモニカは跪きながらも拳を力強く握っているのがわかる程腕に力が入っている
何だよこいつ… この国は治安もいいし平和で良い国で女王がさぞかし頑張っているのかと思っていたが違ったみたいだ。 宰相や他の人達が頑張ってこの国を回してるのだろう。 こんな女王の為に戦争を起こす必要などあるのだろうか? 女王を攻撃されたという事は国に攻撃されたのと同じだから仕方ないのかもしれないが…
「旦那様…わがままを言ってもいいですか?」
エメが俺の耳に顔を近づけそう囁いて来たので俺は小さく頷いた
「草人はみんな私の親戚の様な者です… 甥っ子姪っ子の様に可愛い存在なのです」
「わかる様でわかりにくいなそれ…」
「それじゃあ…毎朝布団に潜り込んで来たり、愛情たっぷりのお弁当を作ってくれたり、近づく女性を猫の様に全員威嚇したり、愛しいお兄ちゃんの彼女を殺害後バラバラに解体して樹海に捨てたりするブラコンの妹みたいな存在です」
「最初可愛かったのにこえーよ! 妹と彼女の間に何があったんだよ!」
「よくある話です」
ねぇよ
「まぁでもそれぐらい可愛いとは思っているので傷つくところを見たくありません… こんな事旦那様に頼むのは筋違いかもしれませんが、何とかならないでしょうか?」
そう言い終わったエメの顔を見ると眉をハの字にして物凄く申し訳なさそうな顔をしているのを見て思わず笑ってしまった
「大丈夫だよ。 そもそも夫婦なんだから遠慮なんてする必要ないから」
エメとだけは正式に夫婦だ、嫁の為ならこれぐらい何でもない
表情が明るくなったエメの頭に手を置きながら女王へ話しかける
「会談がなくなれば戦争は起こらなくても問題ないのですよね?」
「まぁそうね」
となるといち早くシャロを見つけて真相を暴く必要があるな、タイムリミットは書状が届くであろう夕方まで
「わかりました。 まだ書状が届くまで時間がありますので僕は行きます」
「あ、旦那様エメも共に参ります」
「大精霊様行ってしまわれるのですか? この国には留まってくれないのでしょうか?」
女王がエメの腕を掴み寂しそうな顔でそう告げるが、エメは別の意味で寂しそうな表情を浮かべて口を開いた
「うん、ごめんねフーちゃん… この人は私の旦那様だから… それにフーちゃん昔と随分かわっちゃったし…」
「………」
二人の間に重い沈黙が流れた後女王は掴んだエメの腕を離した。 時間は人を変える。 人との関係性さえも。
◇ ◇ ◇ ◇
「…おかえり。」
「ちょうどいいタイミングね、さっき見つけたわよ」
俺とエメがデルベックの宿へと戻るとルーとフララが出迎えてくれた、他の者は何が起こるかわからないので一応エクランに戻ってもらっている
「流石フララ早いね」
「街の外れにいるわ、早くしないと間に合わなくなるんじゃない?」
「そうだね、行ってくるよ」
「…私も行く」
「勿論私も行くわよ?」
「じゃあみんなで行こうか、エメは俺の中に入ってて」
「はいわかりました旦那様」
そうして俺達はフララの案内で街の外れ迄行くと、シャロが何をする事も風を体で受けながらただぼーっと突っ立っていた
その姿は半月の夜テラスで話した彼女の様な雰囲気を放っており何処か危なげで脆いそうに感じた。
「シャロ。 いやヴェルリナって呼んだ方がいいかな?」
俺がそう言うと彼女はこちらに気付きニコっと笑った
「なーんだバレちゃったんだ、流石蒼炎の魔法使いさんですね」
彼女は前の様な話し方ではない、これが本来の彼女なのだろうか?
「俺を利用したのか?」
「そうですよ、貴方の力を利用させてもらっちゃいました。 最初からぜーんぶ嘘。 ショウさんをずっと監視して近づくタイミングを狙ってました。 ピンゲラを取り戻した蒼炎の魔法使いの力を利用したかったですからね、 馬鹿みたい思い通り動いてくれるし助かりました、ありがとうございます」
ペコリと可愛く頭を下げた
「そっか… 何でこんなことを?」
「ただの暇つぶしですよ」
「嘘つけ」
「シャロは嘘つきなのですよ」
それは一緒にいる時に見せた、シャロという女性の顔だ。 その顔を見せられると何故か苛立ちを覚えた
「その顔やめろよ… そのシャロって言うのも嘘か?」
「勿論! 男の子ってこういうの好きだから演じただけ」
「…シャロ。 このままじゃ戦争になる。 本当の事を話してくれないか?」
「さぁ記憶にございませんね」
こいつも政治家にジョブチェンジしてやがる… 特技の二枚舌を発動中だな。
白々しく首を傾げながら彼女はゆっくりと俺達の方へと近づいて来た
「じゃあ直接記憶を探らせてもらう」
「良いですよ、はいどうぞ」
彼女がショウの前に立ちそう言うと瞳が紫色に変化しニヤリと笑うとショウは突然蹲ってしまい、ルーメリアがショウを心配して手を伸ばすが…
「触るな!」
ショウがルーメリアの伸ばした手を荒々しく叩き憎悪の籠った目でルーメリアを見た
「…ショウ、どうしたの?」
ルーメリアが叩かれた場所を抑えながらそう問いかけ、ショウの顔を見ると彼の表情は怒りや憎しみ悲しみなどの感情が入り乱れた複雑な物だった
「どうしたのじゃねぇーよ… お前… 信じてたのに… 俺はお前の事…」
ショウは腰に差した刀をゆっくりと抜き、涙を流しながらルーメリア目掛けて刀を振るった
「?! 目を覚ましてショウ!」
ルーメリが慌ててアイテムボックスから大鎌を出しショウの神速の剣を受け止めながらショウに声をかける
「うるさい! お前が裏切るからだろ!」
ショウが鋭い横薙ぎを放つがルーメリは難なく受け止め鍔迫り合いの形になる
「…私は何も裏切ってない。 ショウを裏切るはずがない」
「………うるさい!」
声は聞こえているのだろうが、響いてはいない様だ。
「はははは! 所詮幻なんです。 幻想なんです。 ちょっとした事ですぐに壊れるんですよ! あんなに愛し合ってた二人でもほら、今はこんなですよ?! 笑っちゃいますよね!! あははは!」
シャロが額に手を当てて高らかに笑いながらショウとルーメリアが戦っているのを見ている姿を見てフララが溜息をついた
その溜息に気付きシャロがイライラした様子でフララに向かって言葉を投げかける
「何ですかフララさん? 貴方はあの二人を止めようともしなし、私を捕まえようともしないのですか?」
「興味ないわね、それにあれは二人の問題でしょ? 大方幻魔術の類で彼にルーメリアが他の男と情事に耽ってる所でも見せてるんでしょ?」
「………」
「当たらずとも遠からずと言った所かしらね? あなたを捕まえないかどうかって事だけど、そんなのいつでもできるもの。 まず二人の行く末を見守らないとかしらね、それにもしどっちかが死んだとしたら… その時はあなたの命もなくなる時よ?」
黒いレースの日傘を回して優しく笑うようにそう告げたフララの言葉にシャロはゴクリと生唾を飲み込んだ。 圧倒的な力の差。 明確な死の予感。 いつでも殺せるから今はただ見逃されてるだけ。 圧倒的強者の余裕がそこにはあった。 逃げ出す事も不可能な位に開いている実力の差。 フララから感じる強者の余裕にシャロが怯んでいるとフララが見透かした様な表情で彼女に言葉を発する。
「それであなたはどういう結末を望んでいるの?」
「………」
「滅茶苦茶にかき乱してあなたの欲しい物は手に入るの?」
「……い…」
「自分自身でも迷ってるんじゃないの?」
「…さい…」
「本当は助けて欲しいんじゃないの?」
「…るさい…」
「ただ歩み寄る勇気がないだけじゃないの?」
「うるさい!! うるさい!! うるさい!!」
ショウの刀とルーメリアの大鎌がぶつかる金属音よりも何倍も大きなシャロの心の叫びが全員の耳に届くのと同時に、二枚の扇子がフララの首を切り裂くとフララの首が宙へと舞い、首が離れた胴体は大量の血を噴き出しながら崩れ落ちた…
「また私を殺したに来たって言うの?」
自分を指さし困惑気味に言葉を発した俺の事をパステルカラーの花冠を被ったった女王が怖がる様にエメにギュッと捕まり、俺を睨み付けながら憎らし気に叫んだが、全く身に覚えがない
抱き着いていたエメが女王から離れて眉間に皺を寄せて睨み付ける女王に向かって、優しい口調で問いかけた
「フーちゃん、それ本当なの?」
女王が上半身を起こそうとするがずっと眠っていた為かなり辛そうだ、見ていて少し痛々しい
「大精霊様、私はハッキリ見たのです。 悪その物を体現したような黒い髪に黒目!」
なんつう事言うんだ! アジア人全員に謝れ!
「それに何よりもその記憶にも残らない様な冴えない顔は忘れないわ!」
記憶に残らないのか残るのかどっちなんだよ…
「それより大精霊様、この人は何なのですか? 何故大精霊様と一緒に?!」
「それは… あの方がエメの旦那様だからですよ」
エメは少し照れて顔を赤くしながら女王に笑顔で告げると、女王は絶望したような表情を浮かべかなり肩を落とした
「そんな… 大精霊様は私の憧れだったのに… 」
憧れって女同士じゃん… でも… 色気たっぷりで豊満の体のエメと美人女王の二人の絡む姿は… うん、確かにいい…
そんな事を考えてニヤニヤと緩んだ表情を浮かべる俺をみて、エメは目を細め俺の心を見透かしたように小さくため息を吐いた
「旦那様今すごーくいやらしい想像してませんか?」
「記憶にございません」
「いつから政治家にジョブチェンジなされたのですか?」
「何を想像しても、おんなじや、おんなじやおもて!」
「あれは酷かったですね…」
「一体何の話をしていらっしゃるのですか大精霊様?」
元の世界のネタで話についていけない女王が困った顔でエメにそう聞いたが、うまく説明するのは難しいのでとりあえず話を逸らす事にする
「女王様、エメは僕の嫁です。 それと貴方を刺した覚えが全くないのですが…」
「いいえ、貴方は間違いなく私を刺しました。 ですが大精霊様の伴侶という事は私にとっても大事なお方… 信じるしかないでしょう…」
エメの事があるので渋々と言った様子だ、本心では信じてないと言った感じだろう
「「女王様!」」
女王の声が外迄聞こえたのだろう、ドアが激しく開けられドカドカと宰相のシミムンとと軍部のお偉いさんモニカが入って来るなり大声で女王を呼ぶ声が響き渡る
「聞こえております、静まりなさい。 それで状況は?」
女王の表情が険しくなり二人に向かって女王らしく威厳を放つ態度で接した
「は! 我々ヴァルゼンはデルベックに口頭にて宣戦布告いたしました。 正式な書面が届き次第開戦となります」
「もうこっちも整っちゃってるんで、いつでもやっちゃえるよ! 大精霊ちゃんもいるし楽勝っしょ!」
跪いて答える二人はやはりやる気満々だ
「まぁあの男もしつこかったしちょうどいい機会かもね、でもお金かかるのよね戦争って」
女王は何か嫌な事を思い出したかの様に心底面倒くさいと言った感じの口調でそう告げた後、下唇を舐め陰湿な笑顔を作り
「あの女で遊ぶのにも飽きたし」
と言ったその顔は見ているこっちを不快にさせる物で、俺はその表情を元の世界で沢山見た事がある。 人が人をいじめて楽しむ時の胸糞悪い顔。 誰かを下に落とし心理的に優位に立って悦に浸っている顔。 俺多分この人嫌いだ
「フーちゃん何か変わったね…」
そんな女王を近くで見ていたエメが服の胸の辺をギュッと摘まんで寂しそうにそう告げると、女王は先程の胸糞悪い笑顔から一変きょとんとした表情になる
「もう10歳ではないのですよ大精霊様。 時間は人を変えます」
「そっか…」
エメの表情はとても寂しそうだった。
「戦争の事ですが僕が真犯人を連れてくればこの話はなかった事になるという事になってます」
「真犯人って… 間違いなく私は貴方に刺されたと思うけど…」
女王は少し考えこむと何か思い当たることがあったのか、表情が次第に険しくなっていく
「もしかして貴方、紫の瞳に見覚えない? それにここ最近記憶がなくなった事は?」
シャロの瞳が紫だったなそう言えば… それに女王が刺された日の記憶が俺にはない
「どっちも心当たりがあります」
「やっぱり」
女王は弱弱しく立ち上がりこちらへと足を進めると、寝たきりだったのもありよろめいて倒れそうになってしまうがエメが慌てて支えに入った事により何とか事なきを得た
歩く度に花びらで出来たドレスから、パステルカラーの花びらがひらひらと床に落ちる様は、とても綺麗で思わず見惚れてしまうが、その口から出る言葉は刺々しい物だ。 綺麗な花には棘があるとはよく言ったもんだ
「あの女… 忌々しい…」
先程迄の麗しい姿など吹き飛んでしまう程彼女の表情は怒りに染まっており、優しい花の香りを漂わせながら彼女の瞳の中に俺が映る程の距離まで近づいて目を合わせると小さく舌打ちした
「貴方幻狐の術に掛かってるみたいね、まだ完全ではないみたいだけど。 最近その紫の瞳の女とキスしなかった?」
シャロと霧の島に流された時人工呼吸でされたな
「…しました」
女王は呆れた様に溜息を一度ついて蔑むような眼で俺を見た。 それはご褒美ですよ?
「でしょうね、後一回されてたら。 貴方彼女の作った幻の中に永遠に囚われてたわよ?」
「え? どういう事ですか?」
「幻狐っていう幻魔術にたけた種族が居てね、その種族が一生に一回しか使えない特殊な魔術で二回口づけをすると対象を幻の中に閉じ込める事が出来る危険な魔術よ。 貴方がされたのはそれ。」
え? じゃああの時テラスでもしキスしてたら… 途中でルーが来なければ俺はどうなってたんだ? シャロもそのつもりであんなこと…
「一回だけでもかなり強力な効果があるわ、貴方が覚えていないのはそれをただの幻として認識しているから。 本当は記憶は残っているけど現実と認識出来ないの」
じゃあシャロは俺を使って女王を暗殺するように仕向けルチルの毛を現場に残したって事か? あいつは最初から俺を利用するつもりで近づいて来たのか? 楽しそうに過ごした時間も嘘? 泣いてる宿屋の子の為に体を張って助けに行ったあの優しさも嘘? シャロ… どれが本当のお前なんだ?
「あの女って言うのはシャロ… じゃなくてヴェルリナの事ですか?」
「ん? 誰よそれ? 私が言ってるのはデルベックの王妃の事よ。 私達の事見て楽しんでたくせに」
下唇を噛み忌々し気に棘のある口調でそういう彼女の言葉に嘘はなさそうだ、彼女はシャロの事を知らない
「楽しんでたっていうのは?」
「貴方に言う事じゃないわ」
「王妃は貴方を恨んでるんですか?」
「まぁそうでしょうね」
女王は顔を腕を組みながら顔を背けた。 顔だけ見れば可憐な花だが、内面にはさぞかしドス黒く醜い花が咲き乱れてる事だろう
この女王もシャロの事は知らないが、母親の王妃には恨まれる覚えがある。
となると母親がシャロを使って女王の命を狙ったって事?
一度シャロに会ってみる必要がありあそうだな… となるとフララに頼むか
『フララ今大丈夫?』
『ええ良いわよ、何かあったのかしら?』
『シャロの居場所を探してほしいんだ』
『今回のキーパーソンって訳ね、眷属を放って探しておくわ』
『ありがとう! じゃあまた後で』
フララとの念話を切り女王に改めて向き直った
「女王様は戦争をしたいのですか?」
「そうねぇ、別にどっちでもいいわ」
本当に関心がないと言った様子に、俺は少し驚いた
「…どっちでも良いって… 自分の国の民が死ぬのにどっちでもいいのですか?」
「私は関係ないからね。 それにデルベックとの会談もなくなるし丁度いいんじゃない?」
それを聞いたシミムンとモニカは跪きながらも拳を力強く握っているのがわかる程腕に力が入っている
何だよこいつ… この国は治安もいいし平和で良い国で女王がさぞかし頑張っているのかと思っていたが違ったみたいだ。 宰相や他の人達が頑張ってこの国を回してるのだろう。 こんな女王の為に戦争を起こす必要などあるのだろうか? 女王を攻撃されたという事は国に攻撃されたのと同じだから仕方ないのかもしれないが…
「旦那様…わがままを言ってもいいですか?」
エメが俺の耳に顔を近づけそう囁いて来たので俺は小さく頷いた
「草人はみんな私の親戚の様な者です… 甥っ子姪っ子の様に可愛い存在なのです」
「わかる様でわかりにくいなそれ…」
「それじゃあ…毎朝布団に潜り込んで来たり、愛情たっぷりのお弁当を作ってくれたり、近づく女性を猫の様に全員威嚇したり、愛しいお兄ちゃんの彼女を殺害後バラバラに解体して樹海に捨てたりするブラコンの妹みたいな存在です」
「最初可愛かったのにこえーよ! 妹と彼女の間に何があったんだよ!」
「よくある話です」
ねぇよ
「まぁでもそれぐらい可愛いとは思っているので傷つくところを見たくありません… こんな事旦那様に頼むのは筋違いかもしれませんが、何とかならないでしょうか?」
そう言い終わったエメの顔を見ると眉をハの字にして物凄く申し訳なさそうな顔をしているのを見て思わず笑ってしまった
「大丈夫だよ。 そもそも夫婦なんだから遠慮なんてする必要ないから」
エメとだけは正式に夫婦だ、嫁の為ならこれぐらい何でもない
表情が明るくなったエメの頭に手を置きながら女王へ話しかける
「会談がなくなれば戦争は起こらなくても問題ないのですよね?」
「まぁそうね」
となるといち早くシャロを見つけて真相を暴く必要があるな、タイムリミットは書状が届くであろう夕方まで
「わかりました。 まだ書状が届くまで時間がありますので僕は行きます」
「あ、旦那様エメも共に参ります」
「大精霊様行ってしまわれるのですか? この国には留まってくれないのでしょうか?」
女王がエメの腕を掴み寂しそうな顔でそう告げるが、エメは別の意味で寂しそうな表情を浮かべて口を開いた
「うん、ごめんねフーちゃん… この人は私の旦那様だから… それにフーちゃん昔と随分かわっちゃったし…」
「………」
二人の間に重い沈黙が流れた後女王は掴んだエメの腕を離した。 時間は人を変える。 人との関係性さえも。
◇ ◇ ◇ ◇
「…おかえり。」
「ちょうどいいタイミングね、さっき見つけたわよ」
俺とエメがデルベックの宿へと戻るとルーとフララが出迎えてくれた、他の者は何が起こるかわからないので一応エクランに戻ってもらっている
「流石フララ早いね」
「街の外れにいるわ、早くしないと間に合わなくなるんじゃない?」
「そうだね、行ってくるよ」
「…私も行く」
「勿論私も行くわよ?」
「じゃあみんなで行こうか、エメは俺の中に入ってて」
「はいわかりました旦那様」
そうして俺達はフララの案内で街の外れ迄行くと、シャロが何をする事も風を体で受けながらただぼーっと突っ立っていた
その姿は半月の夜テラスで話した彼女の様な雰囲気を放っており何処か危なげで脆いそうに感じた。
「シャロ。 いやヴェルリナって呼んだ方がいいかな?」
俺がそう言うと彼女はこちらに気付きニコっと笑った
「なーんだバレちゃったんだ、流石蒼炎の魔法使いさんですね」
彼女は前の様な話し方ではない、これが本来の彼女なのだろうか?
「俺を利用したのか?」
「そうですよ、貴方の力を利用させてもらっちゃいました。 最初からぜーんぶ嘘。 ショウさんをずっと監視して近づくタイミングを狙ってました。 ピンゲラを取り戻した蒼炎の魔法使いの力を利用したかったですからね、 馬鹿みたい思い通り動いてくれるし助かりました、ありがとうございます」
ペコリと可愛く頭を下げた
「そっか… 何でこんなことを?」
「ただの暇つぶしですよ」
「嘘つけ」
「シャロは嘘つきなのですよ」
それは一緒にいる時に見せた、シャロという女性の顔だ。 その顔を見せられると何故か苛立ちを覚えた
「その顔やめろよ… そのシャロって言うのも嘘か?」
「勿論! 男の子ってこういうの好きだから演じただけ」
「…シャロ。 このままじゃ戦争になる。 本当の事を話してくれないか?」
「さぁ記憶にございませんね」
こいつも政治家にジョブチェンジしてやがる… 特技の二枚舌を発動中だな。
白々しく首を傾げながら彼女はゆっくりと俺達の方へと近づいて来た
「じゃあ直接記憶を探らせてもらう」
「良いですよ、はいどうぞ」
彼女がショウの前に立ちそう言うと瞳が紫色に変化しニヤリと笑うとショウは突然蹲ってしまい、ルーメリアがショウを心配して手を伸ばすが…
「触るな!」
ショウがルーメリアの伸ばした手を荒々しく叩き憎悪の籠った目でルーメリアを見た
「…ショウ、どうしたの?」
ルーメリアが叩かれた場所を抑えながらそう問いかけ、ショウの顔を見ると彼の表情は怒りや憎しみ悲しみなどの感情が入り乱れた複雑な物だった
「どうしたのじゃねぇーよ… お前… 信じてたのに… 俺はお前の事…」
ショウは腰に差した刀をゆっくりと抜き、涙を流しながらルーメリア目掛けて刀を振るった
「?! 目を覚ましてショウ!」
ルーメリが慌ててアイテムボックスから大鎌を出しショウの神速の剣を受け止めながらショウに声をかける
「うるさい! お前が裏切るからだろ!」
ショウが鋭い横薙ぎを放つがルーメリは難なく受け止め鍔迫り合いの形になる
「…私は何も裏切ってない。 ショウを裏切るはずがない」
「………うるさい!」
声は聞こえているのだろうが、響いてはいない様だ。
「はははは! 所詮幻なんです。 幻想なんです。 ちょっとした事ですぐに壊れるんですよ! あんなに愛し合ってた二人でもほら、今はこんなですよ?! 笑っちゃいますよね!! あははは!」
シャロが額に手を当てて高らかに笑いながらショウとルーメリアが戦っているのを見ている姿を見てフララが溜息をついた
その溜息に気付きシャロがイライラした様子でフララに向かって言葉を投げかける
「何ですかフララさん? 貴方はあの二人を止めようともしなし、私を捕まえようともしないのですか?」
「興味ないわね、それにあれは二人の問題でしょ? 大方幻魔術の類で彼にルーメリアが他の男と情事に耽ってる所でも見せてるんでしょ?」
「………」
「当たらずとも遠からずと言った所かしらね? あなたを捕まえないかどうかって事だけど、そんなのいつでもできるもの。 まず二人の行く末を見守らないとかしらね、それにもしどっちかが死んだとしたら… その時はあなたの命もなくなる時よ?」
黒いレースの日傘を回して優しく笑うようにそう告げたフララの言葉にシャロはゴクリと生唾を飲み込んだ。 圧倒的な力の差。 明確な死の予感。 いつでも殺せるから今はただ見逃されてるだけ。 圧倒的強者の余裕がそこにはあった。 逃げ出す事も不可能な位に開いている実力の差。 フララから感じる強者の余裕にシャロが怯んでいるとフララが見透かした様な表情で彼女に言葉を発する。
「それであなたはどういう結末を望んでいるの?」
「………」
「滅茶苦茶にかき乱してあなたの欲しい物は手に入るの?」
「……い…」
「自分自身でも迷ってるんじゃないの?」
「…さい…」
「本当は助けて欲しいんじゃないの?」
「…るさい…」
「ただ歩み寄る勇気がないだけじゃないの?」
「うるさい!! うるさい!! うるさい!!」
ショウの刀とルーメリアの大鎌がぶつかる金属音よりも何倍も大きなシャロの心の叫びが全員の耳に届くのと同時に、二枚の扇子がフララの首を切り裂くとフララの首が宙へと舞い、首が離れた胴体は大量の血を噴き出しながら崩れ落ちた…
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
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