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第八十六話 女性に手を出してはいけない(戒め)
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俺はシャロの手を取り【ステルス】をかけて場内を移動していると綺麗な白に保たれた壁のいたる所に血飛沫が飛んでおり、バラバラにされた死体の頭部や手足、臓物が乱雑に転がった場所へと出た
「うぅ… 気持ち悪いのです… ショウさんシャロを助ける為に罪を犯したのですね… シャロを無事助けたら一人で自首しにいってシャロが逃げ切る迄の時間を稼ぐのです!」
「何気に酷いな… 助けなきゃよかったかな?」
「嘘なのです! 冗談なのです! ショウさんとシャロは一連托生、病める時も、悲しき時も、貧しい時も、死が2人を分かつまで一緒なのです!」
「何その嫌なプロポーズ。 健やかな時、嬉しい時、豊める時は?」
「その時は1人で楽しむので一方的に支えてくれればいいのです!」
「お前急に本性丸出しなのな… っていうか俺じゃないよ」
「…この波打った断面… 多分母様です…」
扇子で突いたのか。 でも何だってシャロの母親が自分の住んでる城の兵士を殺す必要がある?
「この先は父様の執務室… ショウさん! 少し寄り道してもいいでしょうか?」
ちょっと嫌な予感がするな
「わかった急ごう!」
転がった人間の残骸を踏みつけないように進むと執務室らしき部屋の前にたどり着き扉を開けると、一瞬最中かと思ってしまうくらい艶やかな声を漏らしながら国王に覆いかぶさっている王妃が俺達の目に飛び込んできたので、扉を慌てて締めようとしたのだがどうも様子がおかしい。
何故なら王妃は右手で国王の体に扇子を何度も突き刺しては唇を貪り、豊満な胸に置かれた国王の手を自分の手で揉みしだいてそんな声を漏らしていたからだ。
床に広がっている出血量からして多分もう死んでいるだろう。
「母様…」
シャロがこちらに気付かず異常な行動をする王妃の側迄行って背中に声をかけると、ゆっくりとこちらへと振り返り口元を血に濡らした下唇のない口で笑った。
「あらヴェルリナじゃない、ねぇ聞いて、私お父さんとまたやり直す事になったの。 これからは家族四人で楽しく暮らしていける。 貴女の事もちゃんと見てあげられるわ」
国王を刺しながらシャロに向けて笑顔を浮かべ明るい声色でそう言う彼女はとても満たされてる様に感じる。 でも何この光景! 何処のゾンビゲーだよ! 声色が明るいのが余計に怖いわ!
「ほら聞こえたでしょ? お父さんまた私の事を愛してるって言ったわ」
そう言いながらも彼女が刺す手は止まらない。 一体何回刺したのだろうか? 何度も刺された事により皮が裂かれ内臓が飛び出していて目を覆いたくなるようなグロテスクさだ。 中に誰もいないよね?
「お父さんねぇ… もう他の女の人の所にはいかないんですって、私に唇を奪って欲しいって…」
国王の顔を見ると確かに唇が奪われていた… 物理的に… 唇を奪うってそう言う事じゃねぇー!!
「私達家族はここから始まるの… さぁやり直しましょう! 大丈夫きっとうまく行くわ。 だって私は貴方達をこんなに愛してるのだから」
彼女は心底嬉しそうに語るが、右手が生み出す液体の入ったただの肉塊を刺す音は止まらない
「さぁ行きましょうヴェルリナ…」
彼女は下唇のない悍ましい顔で優しく微笑んでシャロに向かって手を伸ばすが、シャロは首を振りながら後ろへと下がった
「母様… それはもう父様ではありません」
「そう… やっぱりお前は私を裏切るんだ。 まぁいいさ、お前なんて最初から必要ないのだから」
シャロは心をえぐられる様な苦痛を堪え拳を強く握り下唇を強く噛んだ。 もうやめてくれ… これ以上シャロを傷つけないでほしい。 俺が刀に手をかけるとシャロは俺の手に自分の手を重ねて悲しく笑いながら首を振る
「え? そうよね、あなたもそうおもうわよね? 大丈夫、三人でやり直しましょう」
最早哀れだ。 だが俺は正直この人の気持ちがわかる。 一歩間違えば俺もこうなる
「母様… 弟の事はもう放っておいて二人で仲良く暮らしてください…」
「二人っきりっていうのも良いけど、やっぱり三人家族ですからね」
一瞬でシャロの存在を頭の中で消しやがった… どんだけ自分勝手なんだよ
「それにあの子はお前が姉なんて知らないし関係ない、放っておくのはあなたの方じゃないの?」
「それでも私の弟です」
シャロと王妃が睨み合う。 一触即発の雰囲気が漂う中執務室の扉がバタンと開き、そこに草人国家の女王フロレガルド、宰相シミムンと嫁のモニカの三名がこの光景を見て驚きの余り何も言えず立ち尽くしていた
ヨルラドに跨った状態でフロレガルドと目が合ったメンディアラはヨルラドに覆いかぶさり、夫だったただの肉塊の口に舌を捻じ込み唾液と血液を絡ませた濃厚な口づけをした後、唾液の糸を光らせ口を離してフロレガルドの方を見て笑った
「な、何なの…」
フロレガルドはドン引きだ、当たり前だろう、俺もドン引きだ
「貴女がいつも私の夫に、誰にでもすぐ開くその薄汚い股で彼を締め付けながら豚の様に喘いで私にしていた事じゃない、自分がされてどう思う?」
「はぁ? そんなに男私からしたらどうだっていいのよ、ちょっと遊んでやったらしつこいったらありゃしない。 不倫相手に自分を重ねて夫に抱かれてる想像して、誰にも使われず蜘蛛の巣張ったような埃被った股を自分で弄り回してる哀れな女を見るのが最高に楽しかったから続けてた関係よ? もう動かないただのゴミになったみたいだし、それ、返してあげるわ」
「節操なく股開いて男と寝る事しか考えてない無能なお飾り女王の癖に」
「それじゃあ、あんたはそんなお飾りに夫を奪われた魅力のない王妃ね。 一生自分の指でいじくってろ!」
「その薄汚い口を閉じて!」
「はぁ? あんたの夫はこの口でくわえてあげたら大層喜んでたけど? 薄汚れたのはあんたの夫のせいないじゃないの?」
俺とシャロを間に挟んで聞いてるだけで非常に不快なやり取りが何度か行われる中、王妃は突然手を叩く
すると執務室に有った全てのガラスが割れたのでそちらに一瞬気を取られると王妃は飛び出しており、フロレガルドに向かって扇子を突き立てている所だった
「しねぇぇぇぇえええええ!!!」
どうやっても間に合わない!
「きゃーーー! ………え?」
フロレガルドがへたり込みながら叫んだ声が部屋に響いた位のだが、その後彼女は起こった事に理解が追い付かず戸惑っていた
「何してる早く捕まえろ!」
「はい!」「わ、わかってるって!」
シミムンととモニカが飛び出し王妃を取り押さえた
「シャロ! 大丈夫か?!」
刺さる前に女王の前にシャロが飛び出し間一髪の所で難を逃れたのだ
「何とか大丈夫なのです、母様が幻魔術を使った時に飛び出してよかったのです」
刺さった扇子を抜いた場所からは血が滲んだがすぐに【リカバリー】で回復させたのでこちらも安心だ
周りを見るとガラスは壊れていなかった。 あれは彼女の魔術だったのか… それにしても危なかった… シャロが出てこなかったら、多分心臓を一突きで即死だ。 流石に即死は俺にもどうしようもない
「全く、本当に刺さってたらどうしてくれんだ!」
女王は両手を抑えられ床に這いつくばらされた王妃の顔面に憎しみを込めたケリを何度も入れながら悪態をつく
「連れていけ!」
女王がそう言い放つとモニカが呼んできた兵士が王妃を連行していく。 王妃が憎しみを込めた目で女王を見ながら、下唇はないのではっきりとはわからないが、殺してやる。 そう唇が動いた気がした。
「全く、今日は災難だよ。 大精霊様の伴侶様もどうも。 そいつを置いて、もう行ってくれて結構だよ」
女王は俺達二人に面倒な事の様に言うがその態度がとにかく気に入らない
「フロレガルド様、助けてもらったんですからお礼位は言ってもいいのでは?」
俺がそう言うと女王はあからさまに不機嫌になり眉間に皺を寄せた
「何を言ってるんですか? 私を殺そうとした首謀者で、あの女の娘でしょこの狐女は」
「いいのですショウさん、シャロが勝手にやった事なのです…」
何で助けたのに申し訳なさそうな顔してんだよ… 間違ってるだろ…
「私からしたらゴミよりも価値のないこんな女にお礼なんて、いくら大精霊様の伴侶だからって言っていい事と悪い事がありますよ、そもそも大精霊様と…」
不機嫌そうな口調で語られるその言葉はもう俺には届かなかった… 何被害者ぶってんだこの女。 一番の被害者はシャロじゃないか、自分勝手な三人に振り回されただけじゃないか。 身内贔屓? そんなの知らん、贔屓して何が悪い、こんな女よりもシャロの方が何倍も大事だ。
「ちょっとあなた聞いてるんですか? いいからその女もこちらに引き渡し…」
もう限界だ。 拳を強く握り直して、血の匂いで充満したこの部屋の空気で肺を一杯に満たしそして…
「うるせぇぇぇええええ!!」
声帯を怒りで震わせ、全力で思いっきり振りかぶって女王フロレガルドを正面から殴ると拳がメリメリと綺麗な顔にめり込んで行く。 拳を振りぬいたので彼女の華奢な体は浮かび上がり、花ビラで出来たドレスの花を散らしながら壁へと強く叩きつけられた後床へと落ちた。
「女王様! 気絶して鼻血を出しておられる! 早く誰か回復させろ!」
宰相が吹き飛んだ女王の下へ行き集まり始めている兵士に指示を飛ばす。
ざまぁ! はぁすっきりした。 俺はルーの騎士だけど騎士道なんて貫いちゃいない、そもそも守るべきはずの人を刀で刺したりしてるしな。 大事な人の事を悪く言われて黙って居れる程物分かりのいい方でもないし。 元の世界なら陰湿な事で仕返しするがここは異世界なのでやはり物理が一番!
俺がスッキリとした表情を浮かべているとシャロが後ろから抱き着いてきた
「シャロの為にありがとうなのです… 凄く… 凄く… スッキリしたのです…」
背中越しに伝わる彼女の声もとても晴れやかだ
「ならよかった、でもこれ皆には内緒な特にリンデ。 絶対怒るから」
「ふふふテーブルにドンって手をついて怒りそうなのです、早くみんなに会いたいのですよ…」
「ショウ様、大変な事をしてくれましたな」
ヴァルゼンの宰相シミムンとが神妙な面持ちでこちらへと近づいて来た
「これは国際問題ですぞ? 今回の首謀者を庇い、更には我が国の女王を殴り飛ばし気絶。 貴方はリールモルト王国の伯爵でしょう? こちらに戦争を吹っ掛けたという事になりますよ?」
女性に無暗に手を出すとろくな事ないな、かたや扇子で滅多刺し、かたや戦争勃発寸前とか…
「ショウさん…」
シャロの耳と尻尾がさっきとは一転すっかり垂れ下がってしまっており、心配そうに俺の顔を見上げてローブの袖を掴んだ彼女の心配を和らげる為に、いつもの様に頭に手を置くと嬉しそうに目を細めた
「大丈夫だシャロ、安心して俺に全部任せろ」
「何か今日のショウさんはいつもよりも何倍もカッコよくて… もしかしたらシャロ… ショウさんの事…」
垂れ下がっていた耳や尻尾が揺れ始め顔も少し赤い。 めちゃくちゃ可愛い…
「その続きは後で聞かせてね」
そう言ってシャロにニコっと笑いかけると彼女は恥ずかしそうに緋袴をギュッと握り更に顔を赤くして頷いた
「それでは宰相話の続きですが、うちは戦争でも構いませんよ」
「ほう、リールモルト王国は確かに軍事力もあり強い国なのは存じております。 ですが私どもは貴方の領土、エクランを潰した後リールモルトには停戦を申し入れればよいだけ」
ルーのお父さんなら娘可愛さに助けてくれそうだけど迷惑かける訳にはいかん。 というかこいつら大事な事を忘れてる
「良いですよこっちはいつでも、ただ…」
「ただなんですか?」
「それって木の大精霊様と戦うという事ですよね?」
「え?」
「彼女は俺の伴侶ですよ? 戦いの時はいつも一緒です、貴方達が相手にするのはエクランでもあり樹の大精霊でもあるのですよ?! いいですか? 貴方達にとっては神でしょ?」
「くっ!」
「そんな貴方達の愛する神と共に作り上げた、木の大精霊が愛する街エクランを貴方達は攻撃すると? 草人の風上にもおけませんねぇ? そしてこの子もエメの友人だ、連れ行く事に何の問題もないですよねぇ? ねぇいいよねぇ?」
そう俺の切り札はエメだ、彼らはエメに絶対服従、そもそも逆らうことなど出来ないのだ! 俺がこんな大きな問題解決できるわきゃないだろ! 使える物は全部使ってなんぼなんだよ!
「エメが様がおられるなら仕方がない、今回はなかった事にしましょう。 ただし以後はないようにしてください。」
「そっちの女王様次第ですね、良く言い聞かせて下さい」
「それでは二人とも行ってください」
行っていいという許可を貰った俺達は彼の横を通りすぎたのだがその時彼が
「よくやってくれました」
といってシミムントが笑顔を浮かべたのがわかった。
ここにはヴァルゼンの兵士もいるので建前上やらないといけないのね、それにああいうのは誰が聞いても気分のいい物じゃない、この人もスッキリした口か。 まさに中間管理職の鏡ですな
その場を後にして暫く歩いた後俺は少し顔を赤くしていた
「それでさっきの続きだけど…」
彼女の表情は抜け落ちており感情が一切読み取れない! 何で?!
「ショウさんの事一瞬でもかっこいいと思ったことが恥ずかしいのです。 俺に任せろなんて言って思いっきりエメさんの神パワーじゃないですか! しかもここにいない人なのです!」
ですよねー、俺は何でも一人で解決できちゃうサスオニ的な人間じゃねぇーんだよ!
「良いんだよ頼れる事は頼ったら、そんな事位で壊れる関係じゃないし。 シャロも遠慮しなくていいからね」
「あ、ちょっとドキっとしたかもしれないのです」
耳がピンと立つがこれは演技だ
「嘘つけ」
「シャロは元々嘘つきなのですよ?」
「知ってるよ、じゃあ帰ろうか」
「あの… 最後に会いたい人がいるんですけど、一人じゃなんか心細いので一緒に来てくれないですか?」
少し申し訳なさそうに彼女は言った。 さっきも頼ってくれって言ったばっかりなのにと思い苦笑いしてしまう
「勿論」
「…実はこの扉の先なのです…」
「ちゃっかり誘導してたのね」
「タイミングを計ってたら着いてしまっただけなのです! それじゃあ…」
シャロは一回深呼吸して扉をノックすると返事が聞こえたので、扉を開くとそこには、狼耳を持つシャロに少し似た13歳程の男の子が椅子に座り本を読んでいた
「ヴェルリナさんどうしたんですか?」
シャロに似た男の子が声をかけて来たと同時にシャロが跪いたので俺も合わせて跪く。 やっぱりシャロの弟か。 でも王妃の話だとシャロの事お姉ちゃんって知らないんだよな… 何かそれって寂しい
「今日は旅立ちの報告をしようと思いまして伺った次第です」
「ヴェルリナさんいなくなっちゃうんですか? そっか… 寂しいな…」
「ジルゲ様の周りには沢山の方々がいらっしゃるじゃないですか」
「そうですね… でも誰も僕をみてないよ、次期国王の僕を見てるだけ。 ただそれだけです。 ヴェルリナさんはそんな人達とは違う気がしたのでやっぱり寂しい」
シャロと全然程度は違うだろうが一人で寂しかったんだろうな
「でもヴェルリナさんは自分の居場所を見つけたんですね?」
「はい、大事な私の居場所です」
「そっか… それじゃあお別れですね。 ヴェルリナさんお元気で。 さようなら」
「はいありがとうございます。 ジルゲ様もお元気で」
いいのか本当にこんな別れで… 俺が顔を上げ口を開こうとした時シャロは下を向きながら俺の袖を掴んだ。 わかったよ、シャロがそれを望むなら水を差す事はない
シャロと俺は立ち上がり一礼して入ってきた扉に向かい、シャロが扉に手をかけた時背中から本が床に落ちる音と共に彼の声が聞こえて来た
「ぼ、僕はヴェルリナさんのやった事知ってる、やりたくない事だったのにそのせいでこの国に居られなくなったのも知ってる。 もう帰ってこれない位だって事も… 僕も頑張るから! ヴェルリナさんが居なくても僕はちゃんとやっていけるから! この国を立派に統治してちゃんと自分の居場所を作るから! そうしたらみんな説得して戻ってこれるようにするから!」
背中越しに聞こえる彼の声は泣きべそなきながら弱々しく震えているがしっかりと胸に響く
「だから… だからさ… また帰ってきてね、お姉ちゃん」
シャロはゆっくり頷くと扉を開けて外に出る、そしてそのままシャロと街の外へと転移で飛んだ
「もう我慢しなくていいよ」
そう言うとシャロは声を出して泣き出した。 弟の前で泣きたくなかったのだろう、自分のせいで弟の決心が鈍りそうだから。 姉と気付いて貰って嬉しかったのだろう。 言わなくたってちゃんと気付いてくれる。 なんだちゃんと繋がってる所が近くにあるじゃないか。 きっとこういう嬉しい涙は余り経験ないんだろう、今後は沢山こういう涙ばかりを流してくれればいいと思う
「よかったね」
大粒の涙を流す彼女の頭に手を置き、泣き止むまでずっと側にいた
「うぅ… 気持ち悪いのです… ショウさんシャロを助ける為に罪を犯したのですね… シャロを無事助けたら一人で自首しにいってシャロが逃げ切る迄の時間を稼ぐのです!」
「何気に酷いな… 助けなきゃよかったかな?」
「嘘なのです! 冗談なのです! ショウさんとシャロは一連托生、病める時も、悲しき時も、貧しい時も、死が2人を分かつまで一緒なのです!」
「何その嫌なプロポーズ。 健やかな時、嬉しい時、豊める時は?」
「その時は1人で楽しむので一方的に支えてくれればいいのです!」
「お前急に本性丸出しなのな… っていうか俺じゃないよ」
「…この波打った断面… 多分母様です…」
扇子で突いたのか。 でも何だってシャロの母親が自分の住んでる城の兵士を殺す必要がある?
「この先は父様の執務室… ショウさん! 少し寄り道してもいいでしょうか?」
ちょっと嫌な予感がするな
「わかった急ごう!」
転がった人間の残骸を踏みつけないように進むと執務室らしき部屋の前にたどり着き扉を開けると、一瞬最中かと思ってしまうくらい艶やかな声を漏らしながら国王に覆いかぶさっている王妃が俺達の目に飛び込んできたので、扉を慌てて締めようとしたのだがどうも様子がおかしい。
何故なら王妃は右手で国王の体に扇子を何度も突き刺しては唇を貪り、豊満な胸に置かれた国王の手を自分の手で揉みしだいてそんな声を漏らしていたからだ。
床に広がっている出血量からして多分もう死んでいるだろう。
「母様…」
シャロがこちらに気付かず異常な行動をする王妃の側迄行って背中に声をかけると、ゆっくりとこちらへと振り返り口元を血に濡らした下唇のない口で笑った。
「あらヴェルリナじゃない、ねぇ聞いて、私お父さんとまたやり直す事になったの。 これからは家族四人で楽しく暮らしていける。 貴女の事もちゃんと見てあげられるわ」
国王を刺しながらシャロに向けて笑顔を浮かべ明るい声色でそう言う彼女はとても満たされてる様に感じる。 でも何この光景! 何処のゾンビゲーだよ! 声色が明るいのが余計に怖いわ!
「ほら聞こえたでしょ? お父さんまた私の事を愛してるって言ったわ」
そう言いながらも彼女が刺す手は止まらない。 一体何回刺したのだろうか? 何度も刺された事により皮が裂かれ内臓が飛び出していて目を覆いたくなるようなグロテスクさだ。 中に誰もいないよね?
「お父さんねぇ… もう他の女の人の所にはいかないんですって、私に唇を奪って欲しいって…」
国王の顔を見ると確かに唇が奪われていた… 物理的に… 唇を奪うってそう言う事じゃねぇー!!
「私達家族はここから始まるの… さぁやり直しましょう! 大丈夫きっとうまく行くわ。 だって私は貴方達をこんなに愛してるのだから」
彼女は心底嬉しそうに語るが、右手が生み出す液体の入ったただの肉塊を刺す音は止まらない
「さぁ行きましょうヴェルリナ…」
彼女は下唇のない悍ましい顔で優しく微笑んでシャロに向かって手を伸ばすが、シャロは首を振りながら後ろへと下がった
「母様… それはもう父様ではありません」
「そう… やっぱりお前は私を裏切るんだ。 まぁいいさ、お前なんて最初から必要ないのだから」
シャロは心をえぐられる様な苦痛を堪え拳を強く握り下唇を強く噛んだ。 もうやめてくれ… これ以上シャロを傷つけないでほしい。 俺が刀に手をかけるとシャロは俺の手に自分の手を重ねて悲しく笑いながら首を振る
「え? そうよね、あなたもそうおもうわよね? 大丈夫、三人でやり直しましょう」
最早哀れだ。 だが俺は正直この人の気持ちがわかる。 一歩間違えば俺もこうなる
「母様… 弟の事はもう放っておいて二人で仲良く暮らしてください…」
「二人っきりっていうのも良いけど、やっぱり三人家族ですからね」
一瞬でシャロの存在を頭の中で消しやがった… どんだけ自分勝手なんだよ
「それにあの子はお前が姉なんて知らないし関係ない、放っておくのはあなたの方じゃないの?」
「それでも私の弟です」
シャロと王妃が睨み合う。 一触即発の雰囲気が漂う中執務室の扉がバタンと開き、そこに草人国家の女王フロレガルド、宰相シミムンと嫁のモニカの三名がこの光景を見て驚きの余り何も言えず立ち尽くしていた
ヨルラドに跨った状態でフロレガルドと目が合ったメンディアラはヨルラドに覆いかぶさり、夫だったただの肉塊の口に舌を捻じ込み唾液と血液を絡ませた濃厚な口づけをした後、唾液の糸を光らせ口を離してフロレガルドの方を見て笑った
「な、何なの…」
フロレガルドはドン引きだ、当たり前だろう、俺もドン引きだ
「貴女がいつも私の夫に、誰にでもすぐ開くその薄汚い股で彼を締め付けながら豚の様に喘いで私にしていた事じゃない、自分がされてどう思う?」
「はぁ? そんなに男私からしたらどうだっていいのよ、ちょっと遊んでやったらしつこいったらありゃしない。 不倫相手に自分を重ねて夫に抱かれてる想像して、誰にも使われず蜘蛛の巣張ったような埃被った股を自分で弄り回してる哀れな女を見るのが最高に楽しかったから続けてた関係よ? もう動かないただのゴミになったみたいだし、それ、返してあげるわ」
「節操なく股開いて男と寝る事しか考えてない無能なお飾り女王の癖に」
「それじゃあ、あんたはそんなお飾りに夫を奪われた魅力のない王妃ね。 一生自分の指でいじくってろ!」
「その薄汚い口を閉じて!」
「はぁ? あんたの夫はこの口でくわえてあげたら大層喜んでたけど? 薄汚れたのはあんたの夫のせいないじゃないの?」
俺とシャロを間に挟んで聞いてるだけで非常に不快なやり取りが何度か行われる中、王妃は突然手を叩く
すると執務室に有った全てのガラスが割れたのでそちらに一瞬気を取られると王妃は飛び出しており、フロレガルドに向かって扇子を突き立てている所だった
「しねぇぇぇぇえええええ!!!」
どうやっても間に合わない!
「きゃーーー! ………え?」
フロレガルドがへたり込みながら叫んだ声が部屋に響いた位のだが、その後彼女は起こった事に理解が追い付かず戸惑っていた
「何してる早く捕まえろ!」
「はい!」「わ、わかってるって!」
シミムンととモニカが飛び出し王妃を取り押さえた
「シャロ! 大丈夫か?!」
刺さる前に女王の前にシャロが飛び出し間一髪の所で難を逃れたのだ
「何とか大丈夫なのです、母様が幻魔術を使った時に飛び出してよかったのです」
刺さった扇子を抜いた場所からは血が滲んだがすぐに【リカバリー】で回復させたのでこちらも安心だ
周りを見るとガラスは壊れていなかった。 あれは彼女の魔術だったのか… それにしても危なかった… シャロが出てこなかったら、多分心臓を一突きで即死だ。 流石に即死は俺にもどうしようもない
「全く、本当に刺さってたらどうしてくれんだ!」
女王は両手を抑えられ床に這いつくばらされた王妃の顔面に憎しみを込めたケリを何度も入れながら悪態をつく
「連れていけ!」
女王がそう言い放つとモニカが呼んできた兵士が王妃を連行していく。 王妃が憎しみを込めた目で女王を見ながら、下唇はないのではっきりとはわからないが、殺してやる。 そう唇が動いた気がした。
「全く、今日は災難だよ。 大精霊様の伴侶様もどうも。 そいつを置いて、もう行ってくれて結構だよ」
女王は俺達二人に面倒な事の様に言うがその態度がとにかく気に入らない
「フロレガルド様、助けてもらったんですからお礼位は言ってもいいのでは?」
俺がそう言うと女王はあからさまに不機嫌になり眉間に皺を寄せた
「何を言ってるんですか? 私を殺そうとした首謀者で、あの女の娘でしょこの狐女は」
「いいのですショウさん、シャロが勝手にやった事なのです…」
何で助けたのに申し訳なさそうな顔してんだよ… 間違ってるだろ…
「私からしたらゴミよりも価値のないこんな女にお礼なんて、いくら大精霊様の伴侶だからって言っていい事と悪い事がありますよ、そもそも大精霊様と…」
不機嫌そうな口調で語られるその言葉はもう俺には届かなかった… 何被害者ぶってんだこの女。 一番の被害者はシャロじゃないか、自分勝手な三人に振り回されただけじゃないか。 身内贔屓? そんなの知らん、贔屓して何が悪い、こんな女よりもシャロの方が何倍も大事だ。
「ちょっとあなた聞いてるんですか? いいからその女もこちらに引き渡し…」
もう限界だ。 拳を強く握り直して、血の匂いで充満したこの部屋の空気で肺を一杯に満たしそして…
「うるせぇぇぇええええ!!」
声帯を怒りで震わせ、全力で思いっきり振りかぶって女王フロレガルドを正面から殴ると拳がメリメリと綺麗な顔にめり込んで行く。 拳を振りぬいたので彼女の華奢な体は浮かび上がり、花ビラで出来たドレスの花を散らしながら壁へと強く叩きつけられた後床へと落ちた。
「女王様! 気絶して鼻血を出しておられる! 早く誰か回復させろ!」
宰相が吹き飛んだ女王の下へ行き集まり始めている兵士に指示を飛ばす。
ざまぁ! はぁすっきりした。 俺はルーの騎士だけど騎士道なんて貫いちゃいない、そもそも守るべきはずの人を刀で刺したりしてるしな。 大事な人の事を悪く言われて黙って居れる程物分かりのいい方でもないし。 元の世界なら陰湿な事で仕返しするがここは異世界なのでやはり物理が一番!
俺がスッキリとした表情を浮かべているとシャロが後ろから抱き着いてきた
「シャロの為にありがとうなのです… 凄く… 凄く… スッキリしたのです…」
背中越しに伝わる彼女の声もとても晴れやかだ
「ならよかった、でもこれ皆には内緒な特にリンデ。 絶対怒るから」
「ふふふテーブルにドンって手をついて怒りそうなのです、早くみんなに会いたいのですよ…」
「ショウ様、大変な事をしてくれましたな」
ヴァルゼンの宰相シミムンとが神妙な面持ちでこちらへと近づいて来た
「これは国際問題ですぞ? 今回の首謀者を庇い、更には我が国の女王を殴り飛ばし気絶。 貴方はリールモルト王国の伯爵でしょう? こちらに戦争を吹っ掛けたという事になりますよ?」
女性に無暗に手を出すとろくな事ないな、かたや扇子で滅多刺し、かたや戦争勃発寸前とか…
「ショウさん…」
シャロの耳と尻尾がさっきとは一転すっかり垂れ下がってしまっており、心配そうに俺の顔を見上げてローブの袖を掴んだ彼女の心配を和らげる為に、いつもの様に頭に手を置くと嬉しそうに目を細めた
「大丈夫だシャロ、安心して俺に全部任せろ」
「何か今日のショウさんはいつもよりも何倍もカッコよくて… もしかしたらシャロ… ショウさんの事…」
垂れ下がっていた耳や尻尾が揺れ始め顔も少し赤い。 めちゃくちゃ可愛い…
「その続きは後で聞かせてね」
そう言ってシャロにニコっと笑いかけると彼女は恥ずかしそうに緋袴をギュッと握り更に顔を赤くして頷いた
「それでは宰相話の続きですが、うちは戦争でも構いませんよ」
「ほう、リールモルト王国は確かに軍事力もあり強い国なのは存じております。 ですが私どもは貴方の領土、エクランを潰した後リールモルトには停戦を申し入れればよいだけ」
ルーのお父さんなら娘可愛さに助けてくれそうだけど迷惑かける訳にはいかん。 というかこいつら大事な事を忘れてる
「良いですよこっちはいつでも、ただ…」
「ただなんですか?」
「それって木の大精霊様と戦うという事ですよね?」
「え?」
「彼女は俺の伴侶ですよ? 戦いの時はいつも一緒です、貴方達が相手にするのはエクランでもあり樹の大精霊でもあるのですよ?! いいですか? 貴方達にとっては神でしょ?」
「くっ!」
「そんな貴方達の愛する神と共に作り上げた、木の大精霊が愛する街エクランを貴方達は攻撃すると? 草人の風上にもおけませんねぇ? そしてこの子もエメの友人だ、連れ行く事に何の問題もないですよねぇ? ねぇいいよねぇ?」
そう俺の切り札はエメだ、彼らはエメに絶対服従、そもそも逆らうことなど出来ないのだ! 俺がこんな大きな問題解決できるわきゃないだろ! 使える物は全部使ってなんぼなんだよ!
「エメが様がおられるなら仕方がない、今回はなかった事にしましょう。 ただし以後はないようにしてください。」
「そっちの女王様次第ですね、良く言い聞かせて下さい」
「それでは二人とも行ってください」
行っていいという許可を貰った俺達は彼の横を通りすぎたのだがその時彼が
「よくやってくれました」
といってシミムントが笑顔を浮かべたのがわかった。
ここにはヴァルゼンの兵士もいるので建前上やらないといけないのね、それにああいうのは誰が聞いても気分のいい物じゃない、この人もスッキリした口か。 まさに中間管理職の鏡ですな
その場を後にして暫く歩いた後俺は少し顔を赤くしていた
「それでさっきの続きだけど…」
彼女の表情は抜け落ちており感情が一切読み取れない! 何で?!
「ショウさんの事一瞬でもかっこいいと思ったことが恥ずかしいのです。 俺に任せろなんて言って思いっきりエメさんの神パワーじゃないですか! しかもここにいない人なのです!」
ですよねー、俺は何でも一人で解決できちゃうサスオニ的な人間じゃねぇーんだよ!
「良いんだよ頼れる事は頼ったら、そんな事位で壊れる関係じゃないし。 シャロも遠慮しなくていいからね」
「あ、ちょっとドキっとしたかもしれないのです」
耳がピンと立つがこれは演技だ
「嘘つけ」
「シャロは元々嘘つきなのですよ?」
「知ってるよ、じゃあ帰ろうか」
「あの… 最後に会いたい人がいるんですけど、一人じゃなんか心細いので一緒に来てくれないですか?」
少し申し訳なさそうに彼女は言った。 さっきも頼ってくれって言ったばっかりなのにと思い苦笑いしてしまう
「勿論」
「…実はこの扉の先なのです…」
「ちゃっかり誘導してたのね」
「タイミングを計ってたら着いてしまっただけなのです! それじゃあ…」
シャロは一回深呼吸して扉をノックすると返事が聞こえたので、扉を開くとそこには、狼耳を持つシャロに少し似た13歳程の男の子が椅子に座り本を読んでいた
「ヴェルリナさんどうしたんですか?」
シャロに似た男の子が声をかけて来たと同時にシャロが跪いたので俺も合わせて跪く。 やっぱりシャロの弟か。 でも王妃の話だとシャロの事お姉ちゃんって知らないんだよな… 何かそれって寂しい
「今日は旅立ちの報告をしようと思いまして伺った次第です」
「ヴェルリナさんいなくなっちゃうんですか? そっか… 寂しいな…」
「ジルゲ様の周りには沢山の方々がいらっしゃるじゃないですか」
「そうですね… でも誰も僕をみてないよ、次期国王の僕を見てるだけ。 ただそれだけです。 ヴェルリナさんはそんな人達とは違う気がしたのでやっぱり寂しい」
シャロと全然程度は違うだろうが一人で寂しかったんだろうな
「でもヴェルリナさんは自分の居場所を見つけたんですね?」
「はい、大事な私の居場所です」
「そっか… それじゃあお別れですね。 ヴェルリナさんお元気で。 さようなら」
「はいありがとうございます。 ジルゲ様もお元気で」
いいのか本当にこんな別れで… 俺が顔を上げ口を開こうとした時シャロは下を向きながら俺の袖を掴んだ。 わかったよ、シャロがそれを望むなら水を差す事はない
シャロと俺は立ち上がり一礼して入ってきた扉に向かい、シャロが扉に手をかけた時背中から本が床に落ちる音と共に彼の声が聞こえて来た
「ぼ、僕はヴェルリナさんのやった事知ってる、やりたくない事だったのにそのせいでこの国に居られなくなったのも知ってる。 もう帰ってこれない位だって事も… 僕も頑張るから! ヴェルリナさんが居なくても僕はちゃんとやっていけるから! この国を立派に統治してちゃんと自分の居場所を作るから! そうしたらみんな説得して戻ってこれるようにするから!」
背中越しに聞こえる彼の声は泣きべそなきながら弱々しく震えているがしっかりと胸に響く
「だから… だからさ… また帰ってきてね、お姉ちゃん」
シャロはゆっくり頷くと扉を開けて外に出る、そしてそのままシャロと街の外へと転移で飛んだ
「もう我慢しなくていいよ」
そう言うとシャロは声を出して泣き出した。 弟の前で泣きたくなかったのだろう、自分のせいで弟の決心が鈍りそうだから。 姉と気付いて貰って嬉しかったのだろう。 言わなくたってちゃんと気付いてくれる。 なんだちゃんと繋がってる所が近くにあるじゃないか。 きっとこういう嬉しい涙は余り経験ないんだろう、今後は沢山こういう涙ばかりを流してくれればいいと思う
「よかったね」
大粒の涙を流す彼女の頭に手を置き、泣き止むまでずっと側にいた
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本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
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