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本編
37.衝撃の一言
しおりを挟む衝撃的な言葉を聞いて少し放心していたけど、なんとか気を取り直してお話を聞いてみた。
「⋯⋯あら、ごめんなさいね。実は私、趣味で小説を執筆しているのよ。自分でいうのもなんだけど、そこそこ有名なのよ?」
なんと。王妃様って普通本は書かないよね? メイプル王妃様だけが特殊なだけだよね?
「実は私も読んでいるんです! 王妃様のファンなんですよ!」
エフィさんが興奮気味に話しかけてきた。⋯⋯身近にファンがいるとは。そこまで言われると、読みたくなってきた。どうにかジェスチャーで「読んでみたい!」と伝えた。⋯⋯伝わったはずなのに、なぜかふたりは黙りこくっている。どうしたんだろう?
王妃様が無言でエフィさんを手招きし、ふたりでコソコソと内緒話をし始めた。なんだよう、僕何か言っちゃった?
「⋯⋯妖精様は男の子よね?」(ヒソヒソ)
「はい、多分」(ヒソヒソ)
「さすがに男性にあの本を読ませるわけにはいかないわ。分かってるわね?」(ヒソヒソ)
「はい、お任せ下さい! 赤は避けて、青をお渡しします!」(ヒソヒソ)
「ええ。くれぐれも、赤はダメよ」(ヒソヒソ)
エフィさんがコクリと頷いて、ようやく内緒話が終わったようだ。
「除け者にしてごめんなさいね。ちょっと私の執筆した本の中でオススメの本を相談していたのよ」
うん? そうだったのか。確かに、人に本を勧める時って、慎重に選ばないとだもんね。
「後で彼女から本を受け取って下さいね」
そう言って、エフィさんを示す。「任せて下さい!」と元気に返事をしている。分かった、と頷けば、王妃様も満足そうにほほ笑んだ。
「さ、お茶会の続きをしましょう!」
その後もお茶会は続き、僕は美味しいスイーツをたくさん食べて、とても満足した。王妃様とも仲良くなれて、お互いに名前で呼ぶようになった。
▷◇◁
エフィさんが持ってきた本は、平民の魔法使いの男の子が、騎士の女の子と恋に落ちるという恋愛小説だった。異世界の小説にしては珍しい設定だな、と思いつつ読み進める。──読み終わる頃には、僕の目から滝のように涙が零れ落ちていた。ううぅぅぅ、めっちゃよかった⋯⋯。ふたりが結ばれて本当によかった⋯⋯。
ちなみに、作者の名前は「カエデ」となっていた。メイプルをそのまま訳したのかな。
エフィは、王妃様からとある命を賜っていた。それは、「妖精様を観察して、報告する」ということ。特に、妖精様の好きなものなどを真っ先に報告せよ、と命令されていた。エフィは使命を果たすため、妖精様が食べた後に笑顔になった物、いつも好んで遊ぶ場所など、ありとあらゆることを手帳にメモしていた。
これだけ聞くと、何か良からぬことを企んでいるように感じるが、実際は王妃様の小説のアイディアのための情報収集である。今日もエフィは、妖精様は可愛らしいなと思いつつ手を動かすのだった。
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