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本編
38.閑話(2) Side.エフィ
しおりを挟む私の名前はエフィ・ラピヌ。男爵家の生まれですが、平民とあまり変わらない生活を送っていました。そんな私が王城のメイドという職に就いたのは、特に深い理由も無く、給金が良く家族へ仕送りが出来そうだから、というありきたりな理由でした。
メイドの仕事はわりと自分に合った仕事でした。最初はマナーが難しく感じましたが、優しい先輩メイドや同僚に助けられ、今ではほぼ完璧にこなすことができています。
そんな風に日常を過ごすある日。私は城下町の本屋で、とある本と出会いました。その本とは、「薔薇と白百合」という赤い装丁の施された本でした。ふと気になって手に取り、そのまま衝動的に買って帰ったその本は、今まで読んだことのない内容でした。
まず、主人公とヒロイン? がどちらも男性で、これだけなら友情の物語だと考えたのですが、なんとその二人が徐々に惹かれあい、最終的には結ばれるという、友情を超えて愛情を抱く物語だったのです!
初めて読んだ時のその衝撃といったらもう、何かイケナイものを見ている気持ちでした。それ以来、自身の何かが目覚めたように、その「カエデ」さんの本の新刊が出るたび買っては、自室で読みふけりました。
休憩時間、同僚に「薔薇と白百合」のことを話すと、なんと同僚もそれを愛読しているそうで。そこからは本の感想やら考察やらでかなり盛り上がりました。他にもその本を知っていた同僚が話の輪に加わりヒートアップしていって、休憩時間を過ぎています!! とメイド長に怒られてしまいました。
作者の「カエデ」さんは、普通の男女の恋愛小説も書いているようで、青い装丁の「騎士の姫へ」という本もまた違った魅力があり、バッチリ最後まで読みました。
その後、作者の正体が王妃様だと知って人生で一番と言っていいほどびっくりしたり、「華の会」という男性同士の恋愛小説を好む方々の集まりに私も参加させていただいたりと、いろいろな出来事がありました。
それから数年経ち。騎士団が不ファータ大森林から連れて帰ってきたという妖精様。その妖精様が王城に住まわれるということで、専属のメイドが任命されることになりました。そして、そのメイドに任命されたのがこの私、ということでした。驚くことに、王妃様からの推薦があったようで、「無表情で淡々と仕事をこなすメイドより、エフィのような笑顔で仕事をこなす者の方が、妖精様はお喜びになられると思うわ」とのこと。「華の会」には王妃様も参加されていて、何度かお話させていただいたこともありましたが、まさか私を覚えてくださったとは思いませんでした。
初めてお会いした妖精様は、本当に絵本に出てくるような姿をしていました。虫のような翅に、小さなお体が愛らしく、黄金の目がくりくりと輝いていました。見た目的に、多分男性でしょうか?
騎士団長様と妖精様のティータイムにてお茶を淹れたのですが、どれも妖精様には大きく、紅茶を飲むのに苦戦しておられました。助けた方がいいのかなとハラハラしていると、すかさず騎士団長様がティースプーンで紅茶を掬い、妖精様にあーんをしたのです! こ、これは⋯⋯! 直ぐにその光景を心のノートと手元のメモ帳に記録しました。後で王妃様に報告をしたところ、もっと妖精様のことを調べなさい! ただし、妖精様が不快にならないように! と、興奮気味で命令されておられました。
王妃様が招待したお茶会にて、王妃様と妖精様はより親密になっておられました。お互いを名前で呼び合っており、とても微笑ましい光景でした。
そして、これからも王城に住まわれる妖精様のため、私はよりいっそうメイドとして精進してまいります!
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