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本編
39.ケーキ作り
しおりを挟む僕が王城に暮らし始めて2週間が経った。その間、僕は特に何かしていた訳では無い。最初にここへ来た時、「国が繁栄する言い伝えがあるから留まって欲しい」みたいな事を言われたはずだけど、僕に何かして欲しいとかは言われていない。ただここにいるだけでいいようだ。不自由はさせないという宣言通り、実に自由に過ごさせてもらっている。
でも、こんなに良くしてもらっているから、王様たちに何かお返ししたいとも思っている。そのことをエフィさんに相談すると、
「それでは、あのときの甘い木の実を頂けませんか? スイーツにしてお渡しすると喜ばれると思います」
そうか、その手があったか! ルビネは現状、僕しか生み出せないからね。これなら、十分お返しになりそうだ。エフィさんは、自分が作ります! と言ってくれているけど、お返しは自分で作りたいからね。僕も作りたい! と手を挙げると、快く承諾してくれた。
エフィさんに案内されて調理場へ着くと、熱気と共に忙しなく料理をしている調理師たちが目に入ってきた。
「こちらの、端にはなりますが調理場をお借りできましたので、早速作っていきましょうか」
「はい!(コクリ)」
隅っこだけど、設備は整っている場所で、僕たちはお菓子を作り始めた。あ、ルビネはきちんと籠に入れて持ってきてるからね!
さて、まずは無難にケーキでも作ろうかな。と言ってもお菓子なんて前世でも全く作ったことなんてないから、エフィさんに教えて貰うところからだけど。
「では始めに、スポンジを作りましょう! ボウルに卵と砂糖を入れて、しっかり混ぜましょう」
エフィさんが手早く卵と砂糖を入れると、泡だて器を渡されたので、両手で握って飛びながらぐるぐると混ぜる。むむむ⋯⋯重たい⋯⋯でもなんとか混ぜれてるぞ⋯⋯。そうして時間をかけて材料がある程度混ざると、エフィさんは何やら道具を持ってきた。材料を素早く混ぜて泡立てる魔導具だ、と説明されたそれは、どう見てもハンドミキサーだった。異世界でもハンドミキサーってあるんだね!?
「こちらの魔導具は慣れていないと危ないですので、私がやりますね」
確かに使ったことも無いのに、さらに僕は体が小さいから、ここはエフィさんに任せた。ボウルを湯せんで温めながらハンドミキサーで生地を混ぜ、生地が温まってきた所でハンドミキサーを止めた。そして小麦粉を加えてヘラで混ぜ、僕が溶かしておいたバターを加えてまたエフィさんがよく混ぜる。できた生地をケーキ型に流し込み、オーブンで焼く。温度とか焼き時間とかも分かんないので、エフィさん頼りだ。
焼いている間に、クリームを作る。普通の白いクリームでもいいかな、とは思ったけど、どうせならルビネをたっぷり使ってみたいので、ルビネの果汁を加えたクリームを作る。エフィさんがボウルに卵白だけを入れて、ハンドミキサーで泡立てる。白く泡立ってきたら、よいしょと砂糖の入った瓶からスプーンで掬ってボウルに加えていく。スプーンでも意外と重かった。そして、ルビネの果汁も加える。ルビネに霊力をまとわせて、果汁だけを搾ってボウルへ流していく。全部搾ると、カラカラに細くなった。そしてまたエフィさんがハンドミキサーで混ぜた所で、ちょうどスポンジが焼き上がった。
「熱いので近づかないよう気をつけて下さい」
エフィさんの言う通りに離れて見守っていると、焼き上がったスポンジが型から外され、お皿に移された。ふわふわでいい匂いがする⋯⋯。エフィさんは慣れた手つきで3等分にスライスして、2枚を横に置いた。
「あ、そうでした。ルビネをいくつか半分にして頂けませんか?」
「わかった!(コクン)」
当然包丁は使えないので、またまた霊力をまとわせて半分にしていく。半分のルビネがボウルいっぱいになると、あらかじめクリームを塗ったスポンジに載せていく。これなら僕もできるので、ぎっしりルビネを載せた。そしてエフィさんがクリームを広げて、スポンジを上に載せる。2段目も同じようにして、スポンジで閉じる。そして、エフィさんはプロの手つきであっという間にクリームを全体に塗る。めちゃくちゃ綺麗で、売り物みたい。
「では、上に自由にルビネを乗せちゃって下さい!」
よしきた! デコレーションが楽しみだったんだよ! よいしょよいしょとなるべく綺麗にルビネを外側に並べ、内側にもぎっしりルビネを並べた。美味しくなーれ! と祈りながら並べていく。⋯⋯なんかほのかに光っている気がするのは気の所為かな? まあいいや。最後に、エフィさんが絞り袋に入れたクリームを絞り、薄紅色の美味しそうなルビネケーキが完成した。
「完成です! とても美味しそうですね!」
「うん!(コクン)僕も食べたいぐらいだよ!」
ケーキがキラキラと輝いて見えるくらい、美味しそうにできた。王族の皆、喜んでくれるかな?
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