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本編
43.翻訳魔法
しおりを挟む「翻訳魔法を使う、とは言ったが霊力では魔法は使えない。まあ、言ってしまえば霊力向けの術式を開発するんだ」
霊力じゃ今ある翻訳魔法を発動することができないから、新しく霊力でも使える翻訳魔法を術式から創るらしい。
「ただ、霊力は今も解明されていないことが多い。俺も研究は進めてはいるんだが、成果は芳しくないんだな~。そこで! 妖精様にも協力してほしいんだ」
「協力だと? ミントを危険に晒すつもりか?」
急にハーヴェイさんから緊張感が伝わってくる。空気がピリピリしていて、エフィさんもガストーネさんも表情が硬くなっている。少し間が空き、ガストーネさんが気を取り直すと弁明をした。
「いやいやいや、そんな危険じゃないって! ほら、今までだって失敗したことも無かっただろ、俺?」
「そのことでは無い。今まで何回騎士たちを実験台にしてきたと思ってるんだ!」
「⋯⋯あ~、それは~、まあ⋯⋯必要なこと、だったし~? ⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯ごめんなさい」
⋯⋯なんか、この人に頼んで大丈夫かな? と、エフィさんと顔を見合わせた。
その後、ハーヴェイさんは僕が危険なことはするな、と脅してガストーネさんに約束を取り付けていた。まあ、心配してくれているのは嬉しいけどね。
そして、ガストーネさんの術式開発に、僕が付きっきりで協力することになった。しばらく遊べないんだよーとヴィンデくんやメイプル様に手紙を送ると、直ぐに返事が返ってきて、二人とも、さみしいけど頑張れ! って感じだった。優しい。
さて、今僕たちはさっきの研究室と続き部屋になっている、ガストーネさんの専用の研究室に来ていた。さっきハーヴェイさんに案内された研究室は、いわゆる執務室のようなもので、国から公式に依頼された研究などをしている場所だ。で、今いるガストーネさん専用研究室は、完全にガストーネさんの趣味でやっている研究がまとめられている。今回は僕個人の依頼だから、こっちの趣味研究室で進めていくようだ。
「さてさて~? まずは、妖精様に翻訳魔法の原理を説明しようかな」
ガストーネさんが、乱雑に積まれた紙束の中から、一つの紙束を抜いて持ってきた。そこに書かれた文を指し示しながら、魔法の説明をした。
「まず、翻訳魔法はかける体の部位によって効果が変わる。耳なら、聞いた言葉が理解できる言葉として翻訳される。のどなら、話した言葉が相手に伝わる言葉に翻訳される。ここまではいいな?」
ガストーネさんの言葉に、真剣に聞きながらうんうんと頷く。
「妖精様にかけるのが難しい理由として、言語を翻訳するには、元から魔法にその言語を組み込んでおく必要があるんだ。例えば、1の言語を2の言語に翻訳したいとする。そうすると、翻訳魔法の回路の中に、1と2のどちらの言語も組み込む必要がある。いわば、通訳のように言語を学ばないといけねぇんだ」
⋯⋯あ! そっか! 僕の話している言葉が、その翻訳魔法に組み込まれていないから使えないってことか。⋯⋯もしかして、かなり大変なことをしようとしてる? 僕がなんとなく察したのに気づいたのか、ガストーネさんはニヤリと笑った。
「そう、今日から妖精様の言葉の辞書を創るぞ~! イェ~~~イ!」
ギャーーー!!!
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