婚約者から愛妾になりました

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尽きることはない

 

 自身の私室から魔界だけで見られる満月を眺めるフィロン。満月の向こうには、魔界と永遠とも呼べる歳月の間争い続ける天界が存在する。天界に住む天使達は常に悪魔を狙っている。特に、数百年に1度行われる天使の昇進試験である悪魔狩りは、悪魔達にとって非常に迷惑な行事である。この年になると人間界にいる悪魔達は一時的に魔界に戻り、人間界へ繋がる扉を閉めてしまう。
 その悪魔狩り開催までもう間もなく。魔王エフメスの力は衰えていないので心配はない。憂鬱げに夜空を見上げるのは、昼の間部屋を訪ねたネーヴェと話をしたから。

 幼少期からの婚約者であるメリルとの婚約を破棄され、代わりにアールズ公爵家令嬢のイレーネと新たに婚約を結ばれた。
 メリルは次期魔王であるフィロンの妻になるに相応しい魔力を持っていた。だが、婚約が結ばれて3年で魔力が失われた。原因は不明――というのが当事者や周囲の認識。

 たった1人、メリルの魔力は奪われたのだと知るのがいる。
 奪った本人――フィロンだけ。


「メリル……」


 窓から離れたフィロンは隣の寝室まで移動した。


「あ……ああっ……! フィロ、様……ぁ……!」


 大きな寝台の上には、一糸纏わぬ姿で両手を縛られて何もしていないのに喘ぎ声を発し、快楽に溺れるメリルがいた。
 フィロンが左手をメリルに向けた。人差し指の先を曲げると大きな声で啼いた。フィロンが直接触れなくても魔法で愛撫をされているせいでずっと感じ続けている。
 フィロンにとってこうなっているのは全部メリルの自業自得。

 ネーヴェにアールズ公爵家がメリルを愛妾としてフィロンの側に置くことに猛抗議があったと聞かされた。それがどうしたと冷たい表情で返し、気に入らないなら今すぐに婚約関係を白紙に戻せとネーヴェに告げた。イレーネとの婚約は魔王がメリルを側に置きたいなら受け入れろとフィロンに迫ったから。

 フィロンの他人嫌いの原因は、幼少期に起きたトラウマのせい。当時フィロンの世話係だった侍女が寝ている幼いフィロンに性的奉仕を強行したからだ。気持ちの悪い感覚で目を覚ましたフィロンが目にしたのは、裸で自分の上に跨がる女の姿。欲望に濡れた瞳、声が多量の嫌悪を発生させたのだ。フィロンは魔法を暴走させ、侍女を殺した後家族以外の他人が大嫌いとなった。
 だから、魔王が勝手に決めた婚約者を好きになるのは決してない。絶対に受け入れないと決めていた。……なのに、いざ会うと父である公爵に大切に育てられた純粋無垢な姿に心奪われた。他人を突き放してばかりだったせいでどう接すればいいかも分からず。辛辣で冷たい言葉しか吐き出せず。
 引き寄せられるようにしてしまったキスだけは優しくした。同時に吸ったメリルの魔力はフィロンと非常に相性が良かったせいで、会う度に必ずキスをしては魔力を吸収した。最初は微量に、回数を重ねる毎に量を多くしていった。
 いつか止めないとメリルの魔力が失われてしまう……そうなると分かっていながらも止めなかった。


「ああ……っ、あん……フィロ……ン……様」
「……メリル」
「フィロン様ぁ……お願い、します、中の、出してください」
「……お前が悪いのに?」


 ベッドに近付き腰掛けると喘いでいたメリルが必死な様子でフィロンに懇願した。中で暴れる魔法をどうにかしてほしいと。
 しかし、フィロンからしてみれば、悪いのはメリル。罰を受けるのは当然だった。
 メリルを抱いて、愛妾として側に置き始めてから抑制出来なくなっている。安全の為に結界で守られている私室に閉じ込めているのも、自分以外との会話を禁止しているのも――全部メリルに対する独占欲から。
 部屋から出るなと言っていたのに外へ出たメリルが全部悪い。すぐに捕まえて、理由を聞かず荒々しい口付けをして寝台に押し倒した。メリルが外に出る理由なんてない。聞いても言葉を詰まらせ、碌に答えられないのがおちだ。

 片手でメリルの片脚を開いて間に自分の身体を捩じ込んだ。脚を閉じようとするので片手で押さえつつ、空いている片手で器用にベルトを外して自身を取り出した。大量の愛液を零す中心に宛がうとメリルは嫌嫌とかぶりを振った。


「いれちゃ、いや、です……壊れちゃいます……っ」
「だからなんだ」
「あ、あああああーっ!!」


 壊れても大事に置いて側にいたらいい。
 甲高い悲鳴を上げて腰を反らしたメリルの喉元に口付けを落とした。赤い印を濃く刻み付け、キツく締め付けてくるメリルの中を強く突いた。また悲鳴を上げた。身動きを封じられたメリルを自分の好きに扱う。メリルを大事にしたいのに、壊してしまいたい衝動に駆られる。
 こうやってメリルを抱いて、自分の所有物ものだと認識させて、初めてフィロンは安心する。


「あんん、ああっ、んああぁ」
「メリル、メリル」
「フィロン、様ぁ」
「いつもより敏感だなっ、そんなにアレが気持ち良かったか?」


 首筋から腹部を撫でるように手を這わせたら、二重の快感となったらしくメリルはびくびくとフィロンのモノを締め付ける力を増した。また、溢れる愛液の量も今日は多い。フィロンは自身を入れたのと同時に魔法は消した。メリルが感じているのはフィロン自身だが、元々魔法で散々愛撫されて感度が上がってしまっている。意地悪な問い掛けに涙目な状態で見上げられた。


「ちが、ああっ! フィロン様、だからあ……! フィロン様だから、感じて……きゃああ!」


 高魔力保持者だっただけにメリルは非常に愛らしい顔をしている。小柄で華奢な身体には似合わない豊満な胸に手を伸ばした。律動に合わせて揺れる胸を好きなように揉み、先端を指先で潰すとまた締め付けられた。
 性を覚えさせると従順になる所は純粋に育てられたと言えど悪魔。多少乱暴に触れても濡れて感じてしまうメリルに淫靡な言葉を囁いて、羞恥心を刺激したら泣いてしまった。
 泣き顔を晒されたら、更に酷くしたい欲求が高まった。


 欲が尽きるまでメリルを求めてしまった結果――最後意識を失ってしまった。

 後処理を終えたフィロンは綺麗に洗ったメリルを寝台に置いた。首筋だけじゃなく、胸、腹、足の付け根、手首にまで所有物の印を刻んだ。風邪を引かないようネグリジェを着せ、メリルの隣に寝転んで抱き締めた。


「メリル……」


 永遠に……おれの側にいろ。

 婚約を結ばれてから抱き続けている感情を吐露したフィロンに応えるように、眠っている筈のメリルは抱き付いたのであった。





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