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貴族が一様に集まっているダンスホールは異様な程静かだった
服が擦れる音、息遣いさえ聞こえない
周りの貴族たちは今起こった事を他人事とは思えなかったのだ。清廉潔白な貴族など殆どいない。皆何かしら心当たりがあるからこそ自分の事の様に思えてしまうのだ
『貴族としての威厳』『自身の階級を知らしめる』貴族の考える事はみな同じであった
アーネストは周りの貴族を見て、思った通りに事が運んだ事にほくそ笑む
何故、公の場でイーニアス家を断罪したのか……それはただ単にロイドやセシルの為だけではなかった。多くの貴族たちは税を改ざんしイーニアス程大それた事ではないにしろ、違法な取引を行って資産を増やす者が多くいた。一つ一つ処理していくにはかなりの時間がかかるため、一人を生贄とし『恐怖』を改めて植えつける事で改善出来ればと考えた結果だった
そしてその思惑は見事に上手くいったと言う訳だ。これに加え、王宮から少し小突いてやれば早急に解決していく事だろう。
アーネストはもう一度周囲を見渡す。すると玄関ホールから数人歩いてくるのが見えた。
「……来たか。」
ボソリと呟いたアーネストの言葉は誰にも届いていなかった
「陛下。遅くなり申し訳ありません。」
壮年の男が恭しくお辞儀をした
「イリス、良く来てくれた」
アーネストの言葉にガルバは勢いよく顔を上げる。そこには実の弟が見下したように自分を見つめながら立っていた
「イ…イリスっ…何故お前が…」
イリスは嫌悪を隠すでもなく顔を歪める
「…兄上。お久しぶりですね」
「…っ」
実の兄弟であったが二人は全くと言っていい程似てはいなかった。イリスはガルバと対照的だったのだ。二人がまだ青年だった頃、当時の当主であった父親は優秀な弟イリスを当主にと考えていたのだ。それを知ったガルバは憤怒し策を考えた結果、イリスを『婿』として結婚させることだった。かなり手こずったが思惑通りに事は運び、無事に当主になる事が出来た。
それ以来、ガルバはイリスを嫌煙し係ろうとはせず疎遠になっていたのだ
「陛下…この度は愚兄が…誠に申し訳ありません」
「そなたは知らなかったのだ。知っていたとしても何も出来なかったであろう。」
悔しそうに俯く
「そなたを呼んだのはこれからのイーニアス家についてだ。」
「はい…覚悟はできております」
深刻な表情でアーネストの言葉を待った
「…息子を連れて来るようにいったな?」
「…?はい、ここに居るのが息子たちです」
アーネストからの書状にはガルバの所業、そして指定した日時に来ること。最後に息子たちを連れて来るようにとあったのだ
「ゲルランド公爵家次男であるカルマはどの子だ?」
アーネストの言葉に一人が前に進み出る。
進み出た青年の目は凛々しく年は若くともその所作は精練されている
「カルマか?」
「はい陛下。カルマ・ゲルランドと申します」
アーネストはこの青年ならば問題ないだろう…そう感じたのだ
服が擦れる音、息遣いさえ聞こえない
周りの貴族たちは今起こった事を他人事とは思えなかったのだ。清廉潔白な貴族など殆どいない。皆何かしら心当たりがあるからこそ自分の事の様に思えてしまうのだ
『貴族としての威厳』『自身の階級を知らしめる』貴族の考える事はみな同じであった
アーネストは周りの貴族を見て、思った通りに事が運んだ事にほくそ笑む
何故、公の場でイーニアス家を断罪したのか……それはただ単にロイドやセシルの為だけではなかった。多くの貴族たちは税を改ざんしイーニアス程大それた事ではないにしろ、違法な取引を行って資産を増やす者が多くいた。一つ一つ処理していくにはかなりの時間がかかるため、一人を生贄とし『恐怖』を改めて植えつける事で改善出来ればと考えた結果だった
そしてその思惑は見事に上手くいったと言う訳だ。これに加え、王宮から少し小突いてやれば早急に解決していく事だろう。
アーネストはもう一度周囲を見渡す。すると玄関ホールから数人歩いてくるのが見えた。
「……来たか。」
ボソリと呟いたアーネストの言葉は誰にも届いていなかった
「陛下。遅くなり申し訳ありません。」
壮年の男が恭しくお辞儀をした
「イリス、良く来てくれた」
アーネストの言葉にガルバは勢いよく顔を上げる。そこには実の弟が見下したように自分を見つめながら立っていた
「イ…イリスっ…何故お前が…」
イリスは嫌悪を隠すでもなく顔を歪める
「…兄上。お久しぶりですね」
「…っ」
実の兄弟であったが二人は全くと言っていい程似てはいなかった。イリスはガルバと対照的だったのだ。二人がまだ青年だった頃、当時の当主であった父親は優秀な弟イリスを当主にと考えていたのだ。それを知ったガルバは憤怒し策を考えた結果、イリスを『婿』として結婚させることだった。かなり手こずったが思惑通りに事は運び、無事に当主になる事が出来た。
それ以来、ガルバはイリスを嫌煙し係ろうとはせず疎遠になっていたのだ
「陛下…この度は愚兄が…誠に申し訳ありません」
「そなたは知らなかったのだ。知っていたとしても何も出来なかったであろう。」
悔しそうに俯く
「そなたを呼んだのはこれからのイーニアス家についてだ。」
「はい…覚悟はできております」
深刻な表情でアーネストの言葉を待った
「…息子を連れて来るようにいったな?」
「…?はい、ここに居るのが息子たちです」
アーネストからの書状にはガルバの所業、そして指定した日時に来ること。最後に息子たちを連れて来るようにとあったのだ
「ゲルランド公爵家次男であるカルマはどの子だ?」
アーネストの言葉に一人が前に進み出る。
進み出た青年の目は凛々しく年は若くともその所作は精練されている
「カルマか?」
「はい陛下。カルマ・ゲルランドと申します」
アーネストはこの青年ならば問題ないだろう…そう感じたのだ
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