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てぃーぶれーく
035-エレナの悩み
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『はぁ……』
怪盗事件を解決した次の日。
サツキからとんでもねー話を聞かされて仰天しつつも今回の騒ぎは無事に一件落着~……かと思いきや、何だかエレナの様子がおかしい。
ずっと上の空で窓の外を眺めているし、声をかけても何だか心ここにあらずといった感じだ。
そんなわけでどう接すればよいやらと悩んでいると、部屋の外からサツキに手招きされた。
「なんだ?」
「なんだじゃないよっ。どうしてエレナさんをずっと放置プレイしちゃってるわけ!? ここでグイグイ行かなきゃ、いつ行くつもりなのさ!!」
「お前は何を言っているんだ。……でもまあ、悩みを聞いてあげたいとは思ってはいるんだけどさ」
先の怪盗ルフィン事件の際、俺が「前の世界」から持ってきたライトニングダガーをどうすべきか悩んでいた時に助言をくれたのは他ならぬエレナだった。
その彼女が困っているのだから、そりゃ相談に乗ってあげたいと思って当然だ。
だけど、どう話しかければよいものやら……と思っていると、ユピテルが手をポンと打った。
『カナタにーちゃん、良い手があるよ!』
「良い手???」
『うんっ、エレナねーちゃんはカナタにーちゃんに従事してて、言う事を何でも聞いちゃうんだろ? だったら、何を悩んでるか教えてって言えばぎゃあーーーっ!』
ユピテルが最後まで言い切る前に、サツキがもの凄く綺麗なフォームでドロップキックをかましていた。
さらに、床にひっくり返って目を白黒させているユピテルの襟首を掴んだサツキは、妙に冷静な表情でユピテルを諭すように話し始めた。
「それはダメだ。それは男として決してやっちゃあならねえよ若造。そんなの、千年の恋ですら一秒で冷めるレベルのフラグブレイカーだぜ?」
『何その口調っ!? あと、言ってる事は分かったけど、口より先に手を出すのヤメて!』
「ドロップキックは手じゃなくて足だけど?」
『そうなんだけどそうじゃなくてさあっ!』
そのままチビッコ二人は場外乱闘を始めてしまい、さらに話がややこしくなってきた。
『ちょ、ちょっと二人とも! どうしたんですかっ!?』
さらに、騒ぎを聞きつけてエレナも部屋を飛び出してきたわけだが、その姿を見た瞬間、サツキの目がキラリと光った。
「おにーちゃんがエレナさんとデートしたいってさ!」
「『えええっ!?』」
いきなり無茶ぶりをされてしまい、俺とエレナは二人で驚きの声を上げる。
「お、おいサツキ……!」
「と言うわけで、さあ行った行った! あたしらは見せ物じゃないよ~っ」
サツキはそう言うと、ユピテルにアームロックをかけたまま尻でグイグイと押してきた。
年頃の女の子がそれはどうなのかとツッコミを入れたかったものの、俺とエレナはしぶしぶ宿の外へ出たのであった。
◇◇
というわけで、聖王都プラテナ南街へとやってきたわけだが、はてさてどうしたものやら。
「いや、なんというか、サツキがいきなりゴメンな」
『あ、いえっ。気分転換で外の空気を吸いたいかなーって思っていたところでしたので』
そうは言うものの、フードの隙間から覗く表情はいつになく暗く、足取りも何だか心なしか力無く見えた。
以前にエレナと二人でここへ来た時は、よく分からないまま美味しいものを食べたり本人の希望を叶えているうちに機嫌が戻っていたけれど、今回は当のエレナが何も言わないので、何をすれば良いのやらサッパリである。
何故か北の方角からサツキの「さっさと優しい言葉の一つでも言わんかいっ!」みたいな強い念が飛んできた気がするけど、気のせいという事にしておこう。
「うーん……」
『あの、カナタさん、大丈夫ですか?』
いつの間にか俺の方が難しい顔をしていたらしく、逆にエレナに心配されてしまった。
……ええい、くよくよ悩んでいても仕方ないっ!
「なあエレナ、何か悩んでないか。それは俺にも話せない事か?」
『えっ……』
エレナは少し驚いた顔をしたものの、そのまま黙ってしまった。
確かにユピテルの言う通り、ここで「何を悩んでいるのか教えてくれ」とでも言えば、答えは聞き出せるとは思う。
……だけど、それはきっと「正解」じゃない。
それから重苦しい雰囲気のまま二人とも無言でしばらく歩いた後、人気の少ない街の片隅へとやって来たところでエレナが足を止めた。
『悩みを自分で言えと命令しないのは、どうしてですか? 私はあなたの命令なら……絶対に従うのに』
エレナが俺の服の裾をギュッと掴みながら、不安そうに呟く。
俺は女心なんざ分からないし、彼女が何を悩んでいるのかなんて見当もつかない。
でも、その質問への答えは一つしかない。
「エレナが俺の命令に従うって聞いた時に『決してヒドい事を言わないって信頼してます』って言われちまったからな。だから、絶対に言わない」
『……!!』
俺がそう伝えた直後、いきなりエレナが抱きついてきた。
「え、エレナ……?」
『ごめんなさい。少しだけで良いので、このままでいさせてください』
「お、おう」
思わず直立でピンと姿勢を伸ばして突っ立ってしまいつつ、ゆっくりと手を伸ばしてエレナを抱きしめると、彼女の体温が伝わってきた。
『……少しだけ怖くなったんです』
「怖くなった?」
エレナは俺の胸に頭をつけたまま頷く。
『アナイスさんはライトニングダガーという人の手に余る程の力を得て……一切ためらう事なく、それを悪事に使うと言ったんです』
「あー……。盗賊ってのは、そういうアウトローが多いもんな」
剣士であれば王国騎士団やギルド、魔法使いであれば魔術師団や魔導師協会など、行動に責任を伴う代わりに多くの支援を得られる仕組みがあるゆえに自制できるようになっているのだが、実はシーフにはそういったものが一切ない。
単独行動が多く連帯責任といったものが無いシーフ職は、スキルの特性的にも犯罪に手を染める者が後を絶たないのだ。
『私の所有権を書き換え、イフリートすらも従事させてしまったあなたの右手は、モノだけでなくあらゆる概念……例えば世界の全てを手に入れる事だって出来るかもしれません。だって、神から私を奪う程の力があるのですから……』
「……」
『それほど強大な力を得たにも関わらず、勇者カネミツへの復讐に使わなかったのは何故ですか? 自分の為にその力を使わないのは、どうしてなのですか?』
声を振るわせながら問われた疑問に対し、俺は少し考える。
それからエレナの目を見つめて……
「ていっ!」
ズビシッ!
『はうあっ!?』
俺のデコピンが見事にキマった!
エレナが涙目でおでこを押さえている姿は可哀想だけど、これだけはちゃんと言っておかねばなるまい。
「難しく考えすぎ!!」
『ええぇっ!?』
目を白黒させているエレナの頭を撫でながら、俺は優しく諭すように想いを伝えた。
「うーん、なんて言うかな……エレナだってメチャクチャ強い魔法使えるけど、だからってここで街の人にぶっ放すか?」
『そっ、そんなヒドい事をするわけないです!!』
「だろ? そもそも"こっちの世界のカネミツ"には別に恨みがあるわけでもないし、復讐する理由すら無いじゃねーか。ハジメ村で再会した時は確かにムカついたし、ユピテルを助ける時に共闘を持ちかけたのだって正直良い気分じゃなかったけど、それはあくまでこっちの都合であってヤツには関係ない話だ」
『そう、ですね……』
「旅に出る前にエレナが言ってたように、きっと俺とエレナが一緒に過去に戻った事には意味があると思う。でも、それは誰かを苦しめたり、欲望のままに力に溺れる為じゃない。今の俺じゃなければ出来ない事、エレナが一緒じゃなきゃダメな事ってのもあると思うんだ。……って、何だか説教臭くなっちゃったなぁ。ゴメンな、自分で言っててもよくわかんねえ。だけど、俺は絶対エレナが悲しむような事はしないって事だけは信じてほしい」
俺がそう言うと、エレナは強く頷いた。
そして目に涙を溜めたまま満面の笑みを浮かべると、胸元のペンダントを両手で握り……
『もう迷いません。私は……あなたに一生従い尽くす事を誓います』
「エレナ……」
再び俺がエレナを抱き寄せると、影が一つになった。
それから二人の顔が近づき――
がっしゃーーーーーーーーーーんっ!!!
「『!?!?!?』」
いきなり、近くで資材やら何やらが崩れる音が響き、飛び退きながら慌ててそちらに目を向けると……案の定、サツキとユピテルがいた。
だが、それよりも問題なのが「空中に浮いて気まずそうにしている一匹と、サツキに隠れるようにコソコソしている女の子」も一緒だった事だ。
「途中でサツキの声が聞こえたような気はしてたし、ユピテルが一緒ってのもまだ分かる。でも……なんでピートとプリシア姫がここにっ!?」
そう、俺とエレナをストーキングしていたのはサツキとユピテルだけでなく、何故か一国の王女たるプリシア姫と護衛の聖竜ピートまで一緒だった。
『いや、今日は南街に顔見せしてて、そろそろ帰ろうかなーって思ってたらサツキとユピテルが物陰からコソコソ覗いてるのが見えてね。面白そうだからボクもついてこーってね』
「ついてこーって……じゃあ、姫様は!?」
「えっ! えーっと、サツキちゃんが楽しそうだったから、つい……」
ついと言いながらも妙に目が泳いでるし、プリシア姫様だけは別に理由がありそうな感じだが……。
っていうか、ホントにプリシア姫がサツキをちゃん付けで呼んでるし!!
そんなこんなで何だか騒がしくなってしまったが、エレナに目を向けると、とても嬉しそうにニコニコしていた。
「どうした?」
『ふふ、こうやって皆さんと楽しく騒げるのも、カナタさんが頑張ったからなんだなーって思ったら、何だか嬉しくて』
「……ああ、嬉しいよな」
俺がそう答えると、エレナは俺の手をぎゅっと握った。
そんな俺とエレナの姿に、ユピテルが首を傾げながら尋ねてきた。
『ところでカナタにーちゃん、続きはしないのかい?』
「はぁ? 続き???」
『いや、チューするんじゃないの?』
――そして、本日二回目のドロップキックが炸裂し、ユピテルは宙を舞った。
怪盗事件を解決した次の日。
サツキからとんでもねー話を聞かされて仰天しつつも今回の騒ぎは無事に一件落着~……かと思いきや、何だかエレナの様子がおかしい。
ずっと上の空で窓の外を眺めているし、声をかけても何だか心ここにあらずといった感じだ。
そんなわけでどう接すればよいやらと悩んでいると、部屋の外からサツキに手招きされた。
「なんだ?」
「なんだじゃないよっ。どうしてエレナさんをずっと放置プレイしちゃってるわけ!? ここでグイグイ行かなきゃ、いつ行くつもりなのさ!!」
「お前は何を言っているんだ。……でもまあ、悩みを聞いてあげたいとは思ってはいるんだけどさ」
先の怪盗ルフィン事件の際、俺が「前の世界」から持ってきたライトニングダガーをどうすべきか悩んでいた時に助言をくれたのは他ならぬエレナだった。
その彼女が困っているのだから、そりゃ相談に乗ってあげたいと思って当然だ。
だけど、どう話しかければよいものやら……と思っていると、ユピテルが手をポンと打った。
『カナタにーちゃん、良い手があるよ!』
「良い手???」
『うんっ、エレナねーちゃんはカナタにーちゃんに従事してて、言う事を何でも聞いちゃうんだろ? だったら、何を悩んでるか教えてって言えばぎゃあーーーっ!』
ユピテルが最後まで言い切る前に、サツキがもの凄く綺麗なフォームでドロップキックをかましていた。
さらに、床にひっくり返って目を白黒させているユピテルの襟首を掴んだサツキは、妙に冷静な表情でユピテルを諭すように話し始めた。
「それはダメだ。それは男として決してやっちゃあならねえよ若造。そんなの、千年の恋ですら一秒で冷めるレベルのフラグブレイカーだぜ?」
『何その口調っ!? あと、言ってる事は分かったけど、口より先に手を出すのヤメて!』
「ドロップキックは手じゃなくて足だけど?」
『そうなんだけどそうじゃなくてさあっ!』
そのままチビッコ二人は場外乱闘を始めてしまい、さらに話がややこしくなってきた。
『ちょ、ちょっと二人とも! どうしたんですかっ!?』
さらに、騒ぎを聞きつけてエレナも部屋を飛び出してきたわけだが、その姿を見た瞬間、サツキの目がキラリと光った。
「おにーちゃんがエレナさんとデートしたいってさ!」
「『えええっ!?』」
いきなり無茶ぶりをされてしまい、俺とエレナは二人で驚きの声を上げる。
「お、おいサツキ……!」
「と言うわけで、さあ行った行った! あたしらは見せ物じゃないよ~っ」
サツキはそう言うと、ユピテルにアームロックをかけたまま尻でグイグイと押してきた。
年頃の女の子がそれはどうなのかとツッコミを入れたかったものの、俺とエレナはしぶしぶ宿の外へ出たのであった。
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というわけで、聖王都プラテナ南街へとやってきたわけだが、はてさてどうしたものやら。
「いや、なんというか、サツキがいきなりゴメンな」
『あ、いえっ。気分転換で外の空気を吸いたいかなーって思っていたところでしたので』
そうは言うものの、フードの隙間から覗く表情はいつになく暗く、足取りも何だか心なしか力無く見えた。
以前にエレナと二人でここへ来た時は、よく分からないまま美味しいものを食べたり本人の希望を叶えているうちに機嫌が戻っていたけれど、今回は当のエレナが何も言わないので、何をすれば良いのやらサッパリである。
何故か北の方角からサツキの「さっさと優しい言葉の一つでも言わんかいっ!」みたいな強い念が飛んできた気がするけど、気のせいという事にしておこう。
「うーん……」
『あの、カナタさん、大丈夫ですか?』
いつの間にか俺の方が難しい顔をしていたらしく、逆にエレナに心配されてしまった。
……ええい、くよくよ悩んでいても仕方ないっ!
「なあエレナ、何か悩んでないか。それは俺にも話せない事か?」
『えっ……』
エレナは少し驚いた顔をしたものの、そのまま黙ってしまった。
確かにユピテルの言う通り、ここで「何を悩んでいるのか教えてくれ」とでも言えば、答えは聞き出せるとは思う。
……だけど、それはきっと「正解」じゃない。
それから重苦しい雰囲気のまま二人とも無言でしばらく歩いた後、人気の少ない街の片隅へとやって来たところでエレナが足を止めた。
『悩みを自分で言えと命令しないのは、どうしてですか? 私はあなたの命令なら……絶対に従うのに』
エレナが俺の服の裾をギュッと掴みながら、不安そうに呟く。
俺は女心なんざ分からないし、彼女が何を悩んでいるのかなんて見当もつかない。
でも、その質問への答えは一つしかない。
「エレナが俺の命令に従うって聞いた時に『決してヒドい事を言わないって信頼してます』って言われちまったからな。だから、絶対に言わない」
『……!!』
俺がそう伝えた直後、いきなりエレナが抱きついてきた。
「え、エレナ……?」
『ごめんなさい。少しだけで良いので、このままでいさせてください』
「お、おう」
思わず直立でピンと姿勢を伸ばして突っ立ってしまいつつ、ゆっくりと手を伸ばしてエレナを抱きしめると、彼女の体温が伝わってきた。
『……少しだけ怖くなったんです』
「怖くなった?」
エレナは俺の胸に頭をつけたまま頷く。
『アナイスさんはライトニングダガーという人の手に余る程の力を得て……一切ためらう事なく、それを悪事に使うと言ったんです』
「あー……。盗賊ってのは、そういうアウトローが多いもんな」
剣士であれば王国騎士団やギルド、魔法使いであれば魔術師団や魔導師協会など、行動に責任を伴う代わりに多くの支援を得られる仕組みがあるゆえに自制できるようになっているのだが、実はシーフにはそういったものが一切ない。
単独行動が多く連帯責任といったものが無いシーフ職は、スキルの特性的にも犯罪に手を染める者が後を絶たないのだ。
『私の所有権を書き換え、イフリートすらも従事させてしまったあなたの右手は、モノだけでなくあらゆる概念……例えば世界の全てを手に入れる事だって出来るかもしれません。だって、神から私を奪う程の力があるのですから……』
「……」
『それほど強大な力を得たにも関わらず、勇者カネミツへの復讐に使わなかったのは何故ですか? 自分の為にその力を使わないのは、どうしてなのですか?』
声を振るわせながら問われた疑問に対し、俺は少し考える。
それからエレナの目を見つめて……
「ていっ!」
ズビシッ!
『はうあっ!?』
俺のデコピンが見事にキマった!
エレナが涙目でおでこを押さえている姿は可哀想だけど、これだけはちゃんと言っておかねばなるまい。
「難しく考えすぎ!!」
『ええぇっ!?』
目を白黒させているエレナの頭を撫でながら、俺は優しく諭すように想いを伝えた。
「うーん、なんて言うかな……エレナだってメチャクチャ強い魔法使えるけど、だからってここで街の人にぶっ放すか?」
『そっ、そんなヒドい事をするわけないです!!』
「だろ? そもそも"こっちの世界のカネミツ"には別に恨みがあるわけでもないし、復讐する理由すら無いじゃねーか。ハジメ村で再会した時は確かにムカついたし、ユピテルを助ける時に共闘を持ちかけたのだって正直良い気分じゃなかったけど、それはあくまでこっちの都合であってヤツには関係ない話だ」
『そう、ですね……』
「旅に出る前にエレナが言ってたように、きっと俺とエレナが一緒に過去に戻った事には意味があると思う。でも、それは誰かを苦しめたり、欲望のままに力に溺れる為じゃない。今の俺じゃなければ出来ない事、エレナが一緒じゃなきゃダメな事ってのもあると思うんだ。……って、何だか説教臭くなっちゃったなぁ。ゴメンな、自分で言っててもよくわかんねえ。だけど、俺は絶対エレナが悲しむような事はしないって事だけは信じてほしい」
俺がそう言うと、エレナは強く頷いた。
そして目に涙を溜めたまま満面の笑みを浮かべると、胸元のペンダントを両手で握り……
『もう迷いません。私は……あなたに一生従い尽くす事を誓います』
「エレナ……」
再び俺がエレナを抱き寄せると、影が一つになった。
それから二人の顔が近づき――
がっしゃーーーーーーーーーーんっ!!!
「『!?!?!?』」
いきなり、近くで資材やら何やらが崩れる音が響き、飛び退きながら慌ててそちらに目を向けると……案の定、サツキとユピテルがいた。
だが、それよりも問題なのが「空中に浮いて気まずそうにしている一匹と、サツキに隠れるようにコソコソしている女の子」も一緒だった事だ。
「途中でサツキの声が聞こえたような気はしてたし、ユピテルが一緒ってのもまだ分かる。でも……なんでピートとプリシア姫がここにっ!?」
そう、俺とエレナをストーキングしていたのはサツキとユピテルだけでなく、何故か一国の王女たるプリシア姫と護衛の聖竜ピートまで一緒だった。
『いや、今日は南街に顔見せしてて、そろそろ帰ろうかなーって思ってたらサツキとユピテルが物陰からコソコソ覗いてるのが見えてね。面白そうだからボクもついてこーってね』
「ついてこーって……じゃあ、姫様は!?」
「えっ! えーっと、サツキちゃんが楽しそうだったから、つい……」
ついと言いながらも妙に目が泳いでるし、プリシア姫様だけは別に理由がありそうな感じだが……。
っていうか、ホントにプリシア姫がサツキをちゃん付けで呼んでるし!!
そんなこんなで何だか騒がしくなってしまったが、エレナに目を向けると、とても嬉しそうにニコニコしていた。
「どうした?」
『ふふ、こうやって皆さんと楽しく騒げるのも、カナタさんが頑張ったからなんだなーって思ったら、何だか嬉しくて』
「……ああ、嬉しいよな」
俺がそう答えると、エレナは俺の手をぎゅっと握った。
そんな俺とエレナの姿に、ユピテルが首を傾げながら尋ねてきた。
『ところでカナタにーちゃん、続きはしないのかい?』
「はぁ? 続き???」
『いや、チューするんじゃないの?』
――そして、本日二回目のドロップキックが炸裂し、ユピテルは宙を舞った。
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