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甘い苦しみ 2
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誰かが近くに居る。
優しく優しく頭を撫でてる。
目を開けたいのに身体が言うことを聞かなくて、ただただ眠い。
そんなことを何度も繰り返して、目が覚めたのは真夜中だった。
頭が重い。
額にはズキズキと痛みが走っている。
「う…」
私がうめき声を聞いて、隣に居るヒトが起き上がる。
「依子?大丈夫?」
「大地先輩…?」
何で隣に大地先輩が?
瞼がまだ重い。
頭にも黒い靄がかかってるみたい。
口から移された水を飲み下す。
乾いた喉が潤って行くのと同時に、少しずつ頭の靄も晴れていく。
「先輩…何、入れ…たの?」
大地先輩は何も答えずにもう一度水を私の口に含ませると、そのまま唇を離さなかった。
「んっ、んんっ」
飲み切れなかった水が、口の端から流れ落ちていく間にもシャツのボタンが外されていく。
体に力が入らず抵抗できない。
大地先輩は露わになった私の上半身を舐めるように見つめると
「かわいそうな依子。こんなに…これ見よがしに痕つけられて。でも大丈夫だよ。俺がちゃんと愛してあげるからね」
そう呟いて、私の胸の先端を舐めた。
「ァッ、あぁ…」
滑らかで暖かい舌の感触に身体が反応する。
反対側の胸はクリクリと指先で捏ね回されている。
「…気持ちいい?」
「や、あっ、はぁっ」
「ちゃんと言って?依子が気持ちいいことだけ、してあげたいから」
「や、あっ、ヤメっ」
「気持ちいいか気持ち良くないかだけ、聞いてるんだけど」
正直、口に固くなった部分を含まれたまま話をされると堪らない。
「先輩こそ…ちゃん…と、答えてっ」
零れそうな涙を堪えながら大地先輩に抗議する。
わざとらしくチュパッと音をたてて唇を離すと、大地先輩は私の瞳を覗き込んだ。
「あぁ、その目…ダメだよ。男の支配欲をかなり煽る…」
大地先輩は私のスカートを捲り上げると、タイツを一気に脱がせてショーツに手を突っ込む。
「んっ…!」
「依子は昔から乳首も弱いから、弄るとこっちからもヨダレがほら…すっごい」
「あっ…あっ…あぁっ!」
「指、すぐ飲み込んじゃいそ…あ…ホラ」
大地先輩の大きな手は、ショーツの中で窮屈そうに蠢くと、ツプンと私の蜜口に指を進入させた。
「っあぁんっ」
私の身体を知り尽くしている大地先輩は、私の弱いところを的確且つ執拗に擦る。
「…あっ…ヤだっ…ふぅ、んっ」
「挿れる前に、一回イッとこうか」
くちゅくちゅくちゅくちゅっ
派手な水音をさせて激しく手を動かされると、私はどうしても我慢できずに
「あっ、あぁっ…大地先輩っ、イッくぅっっ」
と叫んで達してしまった。
ぐっしょりと濡れた手が抜かれた後は、ジンジンする秘部にべっとりとショーツが張り付き不快感と羞恥心を沸き立てる。
大地先輩は服を脱ぐと、既に固くなったソレを指して
「いつもみたいに、してくれる?」
と熱を帯びた目で問いかける。
「ヤ…です。ちゃんと、質問に答えて…ください」
「…そんな強情だったっけ?まあ、無理強いはしないよ」
大地先輩は銀色の包みを開けると手早く自身に装着し、私に覆いかぶさる。
穿いたままになっている濡れた下着をずらすと
「忘れてた…ココ」
と言って、固くなった花芯を自身のソレで押しつぶして来た。
「ああぁっ」
予想していなかった刺激に全身が淫らにうねる。
「好きだよね、ココも。でも、今日はこっちはここまで」
今度こそ私の奥への侵入口に添えられる。
「やっ!大地先輩ぃっ」
ズプッと音を立てて貫かれた。
「…ハァ…入った。久々…依子の中…動くよ」
大地先輩の甘い匂いと、汗と、体温。
あの頃の記憶と重なる。
大地先輩のどこまでも優しい熱。
思えば、あの頃も今もずっと包み込むような愛し方だった。
いつからかあの日のことを思い出さないように、丁寧に愛されて守られていた。
一人で抱え込んで私から逃げたのも含めて大地先輩なりの私の愛し方。
甘くて、切なくて、苦しい。
だけど私は知ってしまった。
もっと激しくて、もっと利己的で、もっと全てを焼き尽くすような激しい焔のような熱を。
あの熱をもっと感じたい。
よりによって大地先輩の腕の中でそんなことに気付いてしまった。
『なんでこんな女なんだ』
あの時の桐嶋の苦しそうな声が頭の中に響いて沁みた。
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