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がるふ

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幻想世界での光

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二人で森を少し進んで、森の中の小高い丘に到着した際にタイズミコンのことを思い出した。

(もしかしたら世界のカードで探し物見つけられるかもしれないな)

「ラウド。探してるアイテムって何て名前なんだ?」
「あぁ、クリエ草っていうんだ。さっき紙のやつ……覚えてててくれよなぁ…」

ラウドの耳と尻尾が垂れ下がり、悲しそうな顔をしていた。

「あ、そうだった……忘れてたよごめんな。俺の魔法?で簡単に見つかるかも」
「ん?そうなのか?やってみてくれよ!」

さっきの悲しそうな雰囲気からガラッと変わり、ラウドが目を輝かせて期待の視線を向けてきた。
ふさふさの尻尾がぶんぶん揺れているの見て内心癒されて気持ちが
俺はタイズミコンから世界のカード呼び出した。

「本から札が出てくる魔法か。見たことないなっ!」
「クリエ草の在処まで案内してくれ」

そう瞬間カードに矢印が浮かび始めた。
そのカードを手に取りラウドに見せる。

「このカードの矢印の方向に行けばあると思う。試してみない?」
「この札はカードっていうんだな。面白い魔法だなっ!行ってみよう!」

カードの矢印に従って数十分歩くと草花が生い茂る場所にたどり着いた。

「カードの矢印はここを指してたみたいだな。ここがそうなのか?」
「俺の魔法がちゃんと発動しているのであれば、そうだと思う」
「そっか。どれどれ?」

ラウドがあたりの茂みを除きながら観察し始めた。
その姿を見ていると突然表情が驚いた顔になった。

「ここすごいぞ!あまり出回らない薬草が群生してる穴場だ!クリエ草もしっかりある!すごい魔法だなそれ!ありがとうな!」
「あったか!よかった!」
「探し物に便利そうな魔法だな。何だか今日はいいことがあるって予感がしてたんだ!」
「大げさだよラウド」

ラウドの尻尾は激しく揺れており俺も俺で前世であまり言われたことのない心のこもった感謝を言われ、自然と笑顔になってしまう。

照れ隠しをするように世界のカード見ながらクリエ草を探す。
ラウドは鼻をスンスンさせながらクリエ草を探していた。

「クリエ草ってにおいするのか?俺の採取したやつは青臭いんだけど」
矢印が指した草を摘み取り匂いを確認しても、前世の夏で経験した草刈り作業中の道に漂う匂いしか感じなかった。

「クリエ草の葉とか茎の部分じゃないぞ。花の香りだ!独特だから匂いでわかるんだぜ」
「そうなんだ!さすが冒険してるだけある!」

改めて花の匂いを嗅いでみるとアールグレイの紅茶のような香りがした。
カードの力であっという間に目標数を集め、森から出ることになった。

「リュウのおかげで貴重な薬草も手に入って最高の採取になったよ。報酬分けたいからドルガンにいったん戻るけど、リュウは帰り道わかるか?」

ラウドが俺の顔を覗き込みながら聞いてきた。
にこにこ笑うラウドの顔に一瞬ドキッとしてしまった。
そのあとに質問の回答に内心焦ってしまうが平静を装う。

(やっぱり聞かれるよな。採取してる時に考えた言い訳を使おう)

「俺実は、どうしてあそこの森にいたかわからないんだ。記憶が多分消えてるんだと思う」
「そうなのか?!体調は大丈夫なのか?!」
「うん、痛いところとか調子悪いところはなくて俺もびっくりしてる」
「ならよかったけど、そうなるとここら辺の土地勘がないってことだよな?」
「ああ、さっきの森がどんなところか知らない。」
「わかった。この周りのこと案内するな。まずこの森がオークスの森。オークスウルフが大量に生息してるからそう呼ばれてるらしい。」

(オークスの森って一番最初のダンジョンじゃないか!そういえばあの狼オークスウルフだったな。追われてるときは気づかなかったけど。となると近くに大工の村があったはず)

「そうなんだな。確かにたくさんオークスウルフいたね。あ、さっき言ってたドルガンってひょっとして大工の村って呼ばれてたりする?」
「お。なんでわかるんだ?そうなんだよ。リュウはホントに記憶ないのか?」

(しまった!)
言い訳を必死に考え、すぐに閃くことができた。

「『木材は大工の村ドルガンで』って売り文句をどこかで聞いた気がしたんだよな。たぶんそれかな」
「ああ!木材の質はこの大陸『フレラント』で1番って話だからな。もしかしたらリュウは大工の人脈があったのかもしれないな。」

(よかった!ごまかせた!)

「ひとまずドルガンまで送るぜ。報酬もわけないといけないしな」
「助かるよラウ。だけど申し訳ないなー、助けてくれたのに報酬もらっちゃうなんて」

ラウドが驚いた顔をした。

「どうしたんだラウ?」
「……いや、依頼の手伝いした奴は取り分をがめつく交渉するもんだからな。『申し訳ない』って言われたことにびっくりしたんだ」
「そんな、命の恩人にそんな交渉できるかよ!」
「はははっ。リュウは人が良いんだな。冒険者にそんな奴、俺の身近にはいないから新鮮だ」

ラウドはガハハと笑い優しい顔になった。
俺はラウドの案内を頼りにオークスの森を歩いていくとようやく森の出口にたどり着いた。
日が傾き夕方になっていてオレンジ色になった草原が風でなびいているのがよくわかり本当にここは異世界なんだなと実感がわく。。

「ふぅ。ようやく抜けたー。」
整えられた街道に差し掛かった時疲れがどっときて、その場で座り込んでしまった。

「オークスウルフに知らない森の中で追い回されたらそうなるよな。大変だったな。ヨシヨシ」
ラウドは俺の視線と同じ位置になるよう屈み俺の頭に手を置き、労うように撫でてくれた。

「ありがとう。ちょっと恥ずかしいけど」
撫でられながらも少しうつむき自分の顔が少し赤くなっているのが分かった。
けど夕日が隠してくれるからいいかな。

「ははははっ…照れるな照れるな」
されるがままだった頭のラウドの手が離れて少し残念に感じてしまった。

[絆が生まれたことにより新しいカードが顕現しました]
その瞬間ブックホルダーのタイズミコンが光を淡く放ち始めた。

「なんだなんだ!」
ラウドが本の光に警戒の意を表す。
俺は突然響く世界のカードの声にびっくりするも、声を上げずに済んだ。

「あーもしかしてその本の現象の記憶もないのか?」
「いや、この本はどうやら成長する本だって言われた記憶はあるんだ。多分成長したんだと思う」
(『神様からもらった特別な本』とは言えないからこれでいこう)
「そういうことか。面白い本だな。成長するとどうなるんだ」
「ちょっと見てみよう」

本を開いて目次を開く。

―死
―輪廻
―世界
―力
―冒険者 NEW

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