異世界転生だと思ったら乙女ゲームの悪役令嬢でした。

水無月 あざみ

文字の大きさ
42 / 69
二章 レベル50までの道のり

2  スライムはプルンプルン

しおりを挟む
ッパァン。

トプン。スライムの周りのぷにぷによって矢の勢いが消され、矢が刺さった。落ち武者ならぬ落ちスライムである。

「Lv1のスライムすら倒せない俺って…?」

漫画だとスライム=ザコってイメージなので、ショックがでかい。毎日の訓練で矢に多少自信があったので余計にショックだ。

「スライムは魔法以外では難しいよ。周りのゼリーみたいなのが以外と強くてね。核にとどかないんだ。魔法は効くから、簡単だよ」

「なるほどですわ」

ルイの説明で要点を掴んだツバキが、マッチぐらいの火でスライムをじゃんじゃん倒していく。

「嘘じゃん」

無理じゃないか。俺の雰囲気を察したルイが休憩を提案し、所属とカードの話になった。

「冒険者にも所属するなんて」

「そうだ! 私のカードと比べてみませんか?」

 ツバキの提案に、俺はホイっとカードを出す。そう、あの後に無事カードに色々かけてもらったのだ。かけてくれた人はフラフラしながら帰っていったけど…。

ーーーーーーーーーー
ヴァイス・シルヴィア Lv10

職:シルヴィア家の令息
所属:貴族・冒険者
所持金:0エトワ

貴族ランク未定・冒険者ランクF
ーーーーーーーーーー

冒険者ギルドに入ったことで、多少変わっている。貴族ランクは学校入学でつくらしくて、今は未定だ。ツバキもカードをだした。

ーーーーーーーーーー
リディア・シルヴィア Lv13

職:シルヴィア家の令嬢
所属:貴族・冒険者
所持金:50万エトワ

貴族ランク未定・冒険者ランクF
ーーーーーーーーーー

これは表の姿だ。真の姿を見せるためには呪文がいるのだが、MPも10必要で…もちろん俺にできるはずも無い。なので、代わりにシュヴァでも解けるようにしてもらった。

シュヴァとツバキが呪文を唱える

『『この場の者。我が許した者に真の姿を表わせ』』

カードが光り、文字が変わる。
 
ーーーーーーーーーー
ヴァイス・シルヴィア Lv10
本名:リディア・シルヴィア

職:シルヴィア家の令嬢
所属:貴族・冒険者
所持金:0エトワ

貴族ランク未定・冒険者ランクF
ーーーーーーーーーー

俺のカードは本名が出る事と、職が令嬢になる以外変わらない。しかしツバキは結構変わっていた。

ーーーーーーーーーー
ツバキ Lv13

職:リディア・シルヴィアの影武者
所属:影武者・冒険者
所持金:50万エトワ

貴族影武者ランクB・冒険者ランクF
ーーーーーーーーーー

「え? 所属影武者ってなに!?」

俺はてっきりツバキも貴族に所属しているのかと思っていたのでびっくりした。しかも、ランクBって結構高くないか…?

「私のカード作りに来た方は影武者ギルドに所属している方で私もそこに所属しておりますの。貴族の影や一般の方まで何でもありなんですよ。でもあまり知られてませんので、秘密にしてくださいね」

そ、そうなのか。通りで俺の時は別の人が来たわけだ。あの人は貴族じゃなかったのか。

『『元の姿に戻りたまへ』』

2人が呪文を唱えるとカードは元に戻っていた。
なんだか、皆においていかれている気がした。

「俺もすぐにランク上げてやる~!!」

 俺はスライムに向かって弓を射る。相変わらず落ちスライムを量産するだけで、全く倒せない。

「矢かして」

シュヴァが俺から矢を5本ぐらいひったくる。

『我が命ず。風よ舞え。』

とても、上から目線の呪文を、唱えると矢の棒の部分に緑で模様が現れる。

「これで撃って」

 シュヴァからそれを受け取りスライムめがけて放ってみる。

ドシュッ。

矢はいつもより速く、鋭かった。スライムの核を壊すだけじゃなく地面に半分ぐらい刺さっている。

「…やりすぎじゃない?」

 シュヴァは満足っと言いたげにドヤ顔をしていた。
俺もやりすぎと思いつつ初勝利に楽しくて仕方ない。

ドシュッ、ドシュッ、ドッドッドッシュッ。

次々と命中させてすぐに5本を使い切った。
1回放つ事にかけないといけないらしく、戻ってきた矢には緑の模様が消えている。

シュヴァがまた手を出してくる。矢をよこせということだろう。かけてもらうのも嬉しいのだが、自分でもやってみたい。

「シュヴァさん、大変だよね? 前みたいに魔力貸してくれたりとか…」

「やだ。それにヴァイスに風は使えない」

ちぇっ。今日はずっと人型だし、もふれないし、けちんぼめっ。

「魔力借りるって…?」

ルイが不思議そうに見てくる。

「なんか、シュヴァとの契約で補い合うみたいなのがあって、それで魔力借りれるんだよ」

トントンっと首の半分のハートマークを見せると、シュヴァが左手を出して、ハートにする。

「こういう事」

なんだかわからないがバチバチと何かが流れているのはわかる。

「ふーん。シュヴァくん。それでもできるかな?」

「さぁな? やり方教えねぇけど」

うーん。なんだか、空気が重たいので、大人しくスライムを狩る。5本程度なのでやっぱりすぐ無くなるのだが、シュヴァとルイはまだ何やら話している。困った。これでは何もできない。

「私が炎の魔法をかけますわ」

「ありがとう」

それから俺とツバキはツバキの魔法が切れるまでスライムを狩り続けた。

お互い50ぐらいで魔力が切れた。

「あまりお役に立てなくて、すみません」

「俺なんてツバキがいなかったら0だよ。ありがとう」

 今日はギルドに報告して終了としよう。スライム核を持っていって報告したらエトワと経験値の塊と言われる金平糖みたいな甘いお菓子が貰えるらしい。なんでも、食べるとレベルが上がるとか。

 そういえば、スライムって直で地面歩いてて何で汚れないのか不思議だったが、よく見ると、地面より少し浮いていて、空間を飛んでいるようだった。

 俺は棒青い猫のアニメを思い出したが、分かち合える人がいないので心にしまう。

本日のUP Lv10→Lv15
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!

くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。 ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。 マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ! 悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。 少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!! ほんの少しシリアスもある!かもです。 気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。 月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)

逆ハーレムを完成させた男爵令嬢は死ぬまで皆に可愛がられる(※ただし本人が幸せかは不明である)

ラララキヲ
恋愛
 平民生まれだが父が男爵だったので母親が死んでから男爵家に迎え入れられたメロディーは、男爵令嬢として貴族の通う学園へと入学した。  そこでメロディーは第一王子とその側近候補の令息三人と出会う。4人には婚約者が居たが、4人全員がメロディーを可愛がってくれて、メロディーもそれを喜んだ。  メロディーは4人の男性を同時に愛した。そしてその4人の男性からも同じ様に愛された。  しかし相手には婚約者が居る。この関係は卒業までだと悲しむメロディーに男たちは寄り添い「大丈夫だ」と言ってくれる。  そして学園の卒業式。  第一王子たちは自分の婚約者に婚約破棄を突き付ける。  そしてメロディーは愛する4人の男たちに愛されて……── ※話全体通して『ざまぁ』の話です(笑) ※乙女ゲームの様な世界観ですが転生者はいません。 ※性行為を仄めかす表現があります(が、行為そのものの表現はありません) ※バイセクシャルが居るので醸(カモ)されるのも嫌な方は注意。  ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げてます。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!

As-me.com
恋愛
 完結しました。 説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。  気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。  原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。  えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!  腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!  私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!  眼鏡は顔の一部です! ※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。 基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。 途中まで恋愛タグは迷子です。

嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜

As-me.com
恋愛
 事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。  金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。 「きっと、辛い生活が待っているわ」  これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。 義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」 義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」 義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」  なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。 「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」  実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!  ────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?

逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子

ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。 (その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!) 期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。

処理中です...