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【第四章】魔王様との魔界生活
十・五話 ファムエール×イーグル【前編】 -イーグル視点-
ファムエールが提案した戦闘の場所は、天使が遊びでよく使う空間だと言った。
正方形のだだっ広い真っ白な空間はなんの邪魔も入らなそうで俺サマは満足した。
「おっしゃぁ! これなら思いっきりやれそうだ!」
「ええ、思い切りやれますよ」
天使はふらふら移動する種族で定住場所がないから滅多にお目にかかれない。
どんな戦いをするのか楽しみだ。
「イーグル様、良い勝負をしましょう」
満面の笑みでファムエールは手を差し出してきた。
そういう律儀なのは嫌いじゃねえ。
ちゃんと神を敬う奴は久し振りで、俺サマは気分が良かった。
「楽しませてもらおうじゃねーか」
「お任せ下さい」
ファムエールの手を握り握手を交わす。
瞬間、俺サマは膝を床に着いていた。
「……あ?」
視界が揺れ、気が付けばうつ伏せに倒れていた。
無理矢理顔を上げ、ファムエールを見ると口の端を大きく吊り上げて笑っている。
その顔は邪悪と表現して差し支えない。
「イーグル様、存分に愉しんで下さい。全身全霊で」
何が起きたのかはわからない。
だが、これから起きる事がヤバいという事だけはしっかり理解した。
◇◇◇
「ヒィ……ぐ、あァ!」
「天使は相手に状態変化を与えます。マイナスでもプラスでも。イーグル様はこちらを使用した事がないようですので、感度を向上させる恵みを捧げました」
「いた……あ゛ぁ! ぎ……ッ」
俺サマの尻にファムエールは無遠慮に性器をぶち込んできた。
前戯なんてねぇ。
魔法で何か濡らしてはいたが、無理矢理こじ開けられて吐き気がした。
それなのに内側を擦られる度に快感が走り抜ける。
「いやだ、ひぐっ……うぇ……」
「フフ……イーグル様、感服いたします。人間ならいつもこの程度の感度操作で死んでしまうのですが、流石は魔神といったところでしょうか」
そう笑いながら腰をガンガンぶつけてくる。
身体が内側からひっくり返りそうだ。
快感と苦痛が同時にくればただの不快感でしかない。
「人間の世界では天使は神の使いであるという誤った認識があるお陰で、男であろうと女であろうと遊んでやると喜ぶのですよ。面白いでしょう?」
「ぐっ、クソが……抜け……ッ」
人間の子供が虫けらの手足を引きちぎって遊ぶように、天使は人間で遊ぶというだけ。
正直それは別にどうでもいいが、当事者となってしまっている以上『そうか』で終わる事ができない。
動かない体を無理にでも動かす。
「ふっ……ぅ……ぐ……がぁ!」
「おや」
震えながらも腕が動いた。しかし、直ぐにその腕をファムエールに押さえつけられる。
ただでさえファムエールも俺サマと同等に体格がいい。こんな小娘よりも弱い力で逃げられるとは思っていない。
それでも、このまま無抵抗でいる訳にはいかなかった。
「クッ……離せ……絶対に、ぶん殴る……」
「いいですねイーグル様……抵抗とはこれほど甘美なものだったなんて。やはり貴方は魅力的だ……」
「ヒッ!?」
突然、脳天に突き抜ける快感が痛みや苦しさを上回った。
また何かをいじられたと感じた。
「や、ぁ……なに、した……ッひぎ!」
「ははは、気付きましたか? 必死に抵抗なさる姿もとても可愛らしいのですが、やはり私は貴方が快楽に喘ぐ姿が見てみたいのです」
「ぎ……ぁ、ひぅ」
後ろから俺の胸をまさぐり、胸の先を思いっきり指で引っ張り上げられる。
痛みが走ったのに、その痛みすらも快感になってしまう。
萎えていた俺サマのブツが勃起するのを感じる。
「ひぁ!?」
「おや、イーグル様はこちらがお好みですか」
「ちが……ッ」
「こうやって指の腹で押し潰すと弾力をもって跳ね返してきます。勃ち上がっていやらしく主張しているというのに何故否定なさるのです」
「ッぐあ!!」
それもこれもお前の変な能力のせいじゃねーか。
そう言い返そうとしたのに、更に奥にまで性器を叩きつけられ言葉を紡ぐ事ができなかった。
「ムリ、だ、そんな……ッああっ!」
「イーグル様の囀りは本当に可愛らしい」
「んぁ、ヒィ……ふ、うぅッ」
俺サマの耳をかじりながらファムエールは囁く。
屈辱だが、こうなったのは俺が弱かったからだ。
だが、せめてこいつの思い通りにばかりなりたくなかった。
悪態をつくくらいしかできる事はないが、それすらやめてしまえば誇りを失うだろう。
俺サマは後ろのファムエールを睨み付けた。
「ぜってぇ……殺す……」
「ええ、イーグル様なら出来るでしょうね」
子供の夢を褒めるような舐めた言い方に腹が立つ。
だが、それよりも次の言葉に俺は恐怖した。
「私はこれから毎日イーグル様のお側に伺います。逃げも隠れもしませんので、いつでも殺してみてください」
「ま……いにち……?」
「イーグル様はいつでも私を殺すチャンスがある。私はイーグル様にお相手願える。互いにとって利益しかありません」
これを利益だと言える天使の脳みそが理解できない。
ずっとこのイカれ野郎につきまとわれるって?
天使なんてよくわからない存在に軽い気持ちで近付いたらこんなヤベぇ事になるなんてな。
「ふむ」
ふとファムエールは、背中にある俺の目の縁を指でなぞった。
些細な刺激すら全て快感になる俺サマはそれだけで身体が震える。
しかし、更に別の意味で震える事になった。
「こちらの目は、ちゃんと見えているのですか? 個別の意思で動いているのでしょうか? 一つ一つ感情表現が違って面白い。大きな眼球があるのか、それともこういうモノなのかもとても興味があるのですが、抉り取るとしたらどうやれば一番綺麗になるかご存じですか?」
「は……?」
「ご自分で試すのは難しいでしょう。興味があれば痛みは感じないようにしますから、私に試させていただけませんか?」
これが犯しながら提案することか?
天使の言う遊びが、甘っちょろいもんじゃないとヒシヒシと感じる。
そりゃ人間なら簡単に死ぬだろうよ。
余計な事を考えさせると、こうやって別の興味に移る。そして好奇心のままに行動する。それが天使なのだと理解した。
それは恐怖でもあったが、俺サマは妙に冷静になった。
結局こいつも俺サマを敬う気なんざない。
ファムエールが俺サマの事をオモチャである人間と同程度にしか興味がないのだと思ったらどうでもよくなって、乾いた笑いが込み上げた。
「ハッハッハ……俺サマのケツを味わっておいて余計な事を考えるなんざぁ、テメェにはガッカリだ。とっとと金玉気張って出して消えろ。俺をこうして出し抜いた褒美に身体くらい好きに使わせてやるが、もうお前に興味はねえ。殺す価値も、問答してやる価値もない」
無理矢理高められた快感よりも、怒りが勝った事で静かにそう言った。
こいつが俺サマをバッタやカマキリ程度に思っているのと同じように、俺サマもこいつを虫だと思えばなんということもなかった。
「……イーグル様」
ファムーエルは息を飲み、動きが止まる。
俺サマは快感でも苦痛でも全てを遮断するように目を閉じた。
「イーグル様、申し訳ございません」
謝罪と同時にファムエールは俺サマの中から出ていった。
突然の事に思わず目を開いてしまう。
抱き起こされ、顔を覗き込まれた。
「貴方を軽んじた様に取れてしまう態度だったのは認めます。しかし、イーグル様を一目見た時からどうしても触れたかった。私は触れ合う方法をこれしか知らないのです。そして、こうして言葉を交わして更に貴方の気高さに敬服いたしました。どうかお許しください、こんな感情は初めてなのです」
その真剣な声と表情は、今までには無い重みを感じる。
顔だけなら端正なつくりで男でも惚れてしまう様な魅力があるが、それに騙されてはいけない。
俺サマは何も答えずに視線を外した。
ファムエールは俺を横抱きにして立ち上がった。
「まずは寝所を用意致しましょう」
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