公爵様、これが夢なら醒めたくありません!

菰野るり

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お茶会はつつがなく

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ナタリー王女を招いてのお茶会はつつがなく、執り行われた。

お茶会には男性は参加しないものだ。アンリは軽く挨拶をして、シュヴァルツと名付けた少年に剣の稽古をつけにいく。

流行りの焼き菓子は準備できなかったが、公爵家のシェフパティシエの準備したスイーツはどれもナタリーを喜ばせている。

「それでユティカはジュリアンと婚約しなかったの?」
「そうなんですの!あまりにも王家を馬鹿にしていると思いませんこと!?」

ナタリー王女のお怒りはもっともだ。王室の根本を揺るがすようなワガママをジュリアンにねだった挙句に、それを蹴るのだから、気が変わったのだとかでは本来すまない。

「こんなの、あとは修道院入りしかありませんことよ!」

ユティカの今後の身の振り方については、常識的に考えればそうだろう。貴族の令嬢だったら社交界にもう居場所がないはずだ、かわりの結婚相手なんて見つかるわけない。

「それでユティカはどうしているのかしら」
「それが…わかりませんのよ…!」
ナタリー王女の包囲網を持ってして掴めないとは、少なくとも社交界には顔を出していないらしい。

「お兄様も未練たらしく行方を追いかけているみたいですけれど、どこぞに雲隠れしているのか、ずっとお会いしてないみたいですわ」

ユティカは王太子の権力をもってしても行方知れず。これは少し解せないことだった。

「まあ、このまま消えていただけたら平和ですわ!」
ナタリー王女は悪役令嬢らしく高笑いをする。単純明快なこの妹が私はとても好きだ。

「ナタリー王女には好きな人はいませんの?」
ナタリー王女の白い肌が真っ赤に染まる。
「おりません、おりませんことよ?小さい頃はジュリアンお兄様が好きでしたけど…」

ナタリー、兄妹婚はだめ、絶対。

「ハルファティカお姉様とお兄様のやりとりを見て、お兄様には幻滅いたしましたのよ!しかも平民出身のピンク色のぽわぽわ頭に手を出してふられて未練たらしくて気色悪いですわ」

窓からアンリが剣を振るう姿が見える。

「ハルファティカお姉様こそ、モルナール公との恋物語を話してくださいまし!」

今度は私がたじたじする番であった。
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