19 / 35
17 1111回目のプロポーズ side ルナ&サイラス
しおりを挟む
「ねぇ、ルナ、僕と結婚してくれる?」
それは、3年前から繰り返されている愛しいサイラスからの何回目かもわからないプロポーズ。
今日もお気に入りの丘にピクニックに来ていて、二人で朝から作ったサンドイッチを食べて、のんびり休憩している所だ。最近、仕事が忙しかったサイラスに膝枕をして、その猫のように柔らかい銀の髪をやさしくなでる。のんびりした時間、寝っ転がってるサイラス。ルナの負担にならないように、いつもこんな何気ないひと時にプロポーズしてくれる。
もっと仕事や自分に自信がもてるまでは結婚できないというルナに、それでも自分の気持ちは伝えたいと。世界でもっとも軽くて重いプロポーズを毎日してくれるのだ。
「返事をする前に、私の話を聞いてくれる?」
猫がまどろむように、目を閉じていたサイラスのまぶたが上がり、綺麗なオッドアイが覗く。
「もちろん、僕の愛しいルナの話ならいつでもどれくらいでも聞くよ!」
切れ長の目を細めると、またサイラスはまどろみに戻っていった。うとうとしているように見えて、ルナの話を全身耳にして聞いているのであろうサイラスに向けて、ルナはやさしく語りだす。
◇◇
それから、ルナは優しいおとぎ話のようにサイラスとの出会いからこれまでの出来事やサイラスへの想いを隠すことなく語った。
さらには、サイラスが気にしている事に話は進んだ。
「この前、ギルド長のマークさんと私、お話したでしょう? 後からマークさんに、私が他の男の人を知らない事、サイラスの知らない面とか私への重い執着が懸念事項で、きっとサイラスも気にしているんじゃないかって言っていたから、そのことも話していい?」
サイラスが目線で諾と伝えると、ルナは話を続ける。
「サイラスは私と会う前、怠惰だって聞いたわ。ふふふ、まるで猫みたいに暇さえあれば、だらーんとしていたんですってね。そんなサイラスも私見てみたい。きっととってもかわいかったでしょうね。そんなサイラスの隣で一緒にまったりしたかったわ。あのね、隣国の絵本に、『三年寝た猫』って話があるの。最近、読んだ絵本なんだけどね。ずーっと三年間眠り続けた猫が、起きて国の危機を救うって話なの。サイラスみたいじゃない? サイラスが救ったのは国じゃなくて、私だけどね。
きっと、他にも私の知らないサイラスがいるんだと思う。隠したかったら隠していいし、もしよかったら教えてほしいの。どんなあなたでも知りたいし、きっと私はますますあなたを好きになってしまうわ」
ルナはまるで猫を撫でるようにサイラスの頭を撫でている。
「私は確かに、ダレンっていう最低な男の人と、サイラスっていう最高な男の人のことしか知らないわ。でも、サイラスといるとふわふわして温かい気持ちになってとても居心地がいいの。ごはんを食べる時、お茶する時、散歩する時、買い物する時、サイラスが隣にいるだけで幸せな気持ちになるの。そして、はじめて会ったときから今日まで、いつ会ってもあなたにときめいてしまうの、あまりにカッコよくて、やさしくて、すてきで、心がせつなくなるの。居心地がいいっていう穏やかな気持ちと、ドキドキとときめく気持ち。その正反対の気持ちが同居することは奇跡だってこと、私にはわかる。男の人は知らないけど、そんな人がサイラス以外にいないってことは知ってる。
例え、サイラスの澱が重なったような執着から解放されて、色々な男の人に会ったとして、この気持ちは変わらないの。自分の気持ちってね、ちゃんとわかるものなのよ。例え、虐げられて愛を与えられなくても。自分にとって大切なものは、自分でちゃんとわかるの。
私はちゃんと選んでサイラスの隣にいるの。自分の意思で。
サイラスの思いが重たいってこと、大きいってこと、紫の魔石や、ピアスからもわかるわ。それがどんなに幸せなことかわかる? 私、きっと愛情をもらったことがないから、愛情を入れる器が空っぽだったの。そこに愛を注いでくれたのは、サイラスだった。空っぽだったからいくらでも入るのよ。本当にそのサイラスの大きな愛のおかげで、私の空っぽだった心がどれだけ満たされたかわかる? 潔癖症なのに私にだけ触れてくれたり、安心できるまで言葉を尽くしてくれたり、愛を知らない私はサイラスのわかりやすい愛情表現がぴったりなの。だから、どんどん愛を注いでくれていいのよ。あら、ちょっと欲張りかしら? 私からの愛も伝わってる? 私からもサイラスに愛を注いでいくから覚悟してね」
いつもルナに対しては気持ちも言葉もあふれてくるのに、ルナの長い独白を聞いて、ただただ涙があふれるだけで、1つも言葉が出てこなかった。実はお互い気持ちが通じ合ってるようで、わかっていなかったのかもしれない。ルナのサイラスへの愛は、サイラスが思っているよりとてもとても深かった。
「待っていてくれてありがとう。サイラス。大好き。愛してる。結婚しましょう」
「ルナが泣かせにきてる……うう、返事がイエスなら、もっとちゃんとした場所選んだのに……」
「ふふふ、なんか天気が良くて、景色もきれいで、ごはんがおいしくて、サイラスが一緒にいてくれて幸せだなあと思ったら、自然にあふれてきちゃったの」
そう言って、照れたように笑うルナを見ていたら、たまらなくなって、体を起こして唇を重ねる。
「よし、そうと決まったら、結婚式をあげよう! 家はどこにする? ルナのドレスはどんなのがいいかな? ドレスに合わせてアクセサリーも作らないとかな? あールナの花嫁姿楽しみ。でも、綺麗すぎて誰にも見せたくないかも。もう二人だけで式挙げちゃうかな……あー悩ましい」
そうして、僕の1111回目(もちろん愛するルナに関することなので正確にカウントしている)のプロポーズは成功したのだった。
ヤクばあちゃんが魔術の修業の時も、ルナが薬師として修業いているときも、口を酸っぱくして言ってるけど物事はやっぱり千回は繰り返さないと成果がでないのかもしれないな……
それは、3年前から繰り返されている愛しいサイラスからの何回目かもわからないプロポーズ。
今日もお気に入りの丘にピクニックに来ていて、二人で朝から作ったサンドイッチを食べて、のんびり休憩している所だ。最近、仕事が忙しかったサイラスに膝枕をして、その猫のように柔らかい銀の髪をやさしくなでる。のんびりした時間、寝っ転がってるサイラス。ルナの負担にならないように、いつもこんな何気ないひと時にプロポーズしてくれる。
もっと仕事や自分に自信がもてるまでは結婚できないというルナに、それでも自分の気持ちは伝えたいと。世界でもっとも軽くて重いプロポーズを毎日してくれるのだ。
「返事をする前に、私の話を聞いてくれる?」
猫がまどろむように、目を閉じていたサイラスのまぶたが上がり、綺麗なオッドアイが覗く。
「もちろん、僕の愛しいルナの話ならいつでもどれくらいでも聞くよ!」
切れ長の目を細めると、またサイラスはまどろみに戻っていった。うとうとしているように見えて、ルナの話を全身耳にして聞いているのであろうサイラスに向けて、ルナはやさしく語りだす。
◇◇
それから、ルナは優しいおとぎ話のようにサイラスとの出会いからこれまでの出来事やサイラスへの想いを隠すことなく語った。
さらには、サイラスが気にしている事に話は進んだ。
「この前、ギルド長のマークさんと私、お話したでしょう? 後からマークさんに、私が他の男の人を知らない事、サイラスの知らない面とか私への重い執着が懸念事項で、きっとサイラスも気にしているんじゃないかって言っていたから、そのことも話していい?」
サイラスが目線で諾と伝えると、ルナは話を続ける。
「サイラスは私と会う前、怠惰だって聞いたわ。ふふふ、まるで猫みたいに暇さえあれば、だらーんとしていたんですってね。そんなサイラスも私見てみたい。きっととってもかわいかったでしょうね。そんなサイラスの隣で一緒にまったりしたかったわ。あのね、隣国の絵本に、『三年寝た猫』って話があるの。最近、読んだ絵本なんだけどね。ずーっと三年間眠り続けた猫が、起きて国の危機を救うって話なの。サイラスみたいじゃない? サイラスが救ったのは国じゃなくて、私だけどね。
きっと、他にも私の知らないサイラスがいるんだと思う。隠したかったら隠していいし、もしよかったら教えてほしいの。どんなあなたでも知りたいし、きっと私はますますあなたを好きになってしまうわ」
ルナはまるで猫を撫でるようにサイラスの頭を撫でている。
「私は確かに、ダレンっていう最低な男の人と、サイラスっていう最高な男の人のことしか知らないわ。でも、サイラスといるとふわふわして温かい気持ちになってとても居心地がいいの。ごはんを食べる時、お茶する時、散歩する時、買い物する時、サイラスが隣にいるだけで幸せな気持ちになるの。そして、はじめて会ったときから今日まで、いつ会ってもあなたにときめいてしまうの、あまりにカッコよくて、やさしくて、すてきで、心がせつなくなるの。居心地がいいっていう穏やかな気持ちと、ドキドキとときめく気持ち。その正反対の気持ちが同居することは奇跡だってこと、私にはわかる。男の人は知らないけど、そんな人がサイラス以外にいないってことは知ってる。
例え、サイラスの澱が重なったような執着から解放されて、色々な男の人に会ったとして、この気持ちは変わらないの。自分の気持ちってね、ちゃんとわかるものなのよ。例え、虐げられて愛を与えられなくても。自分にとって大切なものは、自分でちゃんとわかるの。
私はちゃんと選んでサイラスの隣にいるの。自分の意思で。
サイラスの思いが重たいってこと、大きいってこと、紫の魔石や、ピアスからもわかるわ。それがどんなに幸せなことかわかる? 私、きっと愛情をもらったことがないから、愛情を入れる器が空っぽだったの。そこに愛を注いでくれたのは、サイラスだった。空っぽだったからいくらでも入るのよ。本当にそのサイラスの大きな愛のおかげで、私の空っぽだった心がどれだけ満たされたかわかる? 潔癖症なのに私にだけ触れてくれたり、安心できるまで言葉を尽くしてくれたり、愛を知らない私はサイラスのわかりやすい愛情表現がぴったりなの。だから、どんどん愛を注いでくれていいのよ。あら、ちょっと欲張りかしら? 私からの愛も伝わってる? 私からもサイラスに愛を注いでいくから覚悟してね」
いつもルナに対しては気持ちも言葉もあふれてくるのに、ルナの長い独白を聞いて、ただただ涙があふれるだけで、1つも言葉が出てこなかった。実はお互い気持ちが通じ合ってるようで、わかっていなかったのかもしれない。ルナのサイラスへの愛は、サイラスが思っているよりとてもとても深かった。
「待っていてくれてありがとう。サイラス。大好き。愛してる。結婚しましょう」
「ルナが泣かせにきてる……うう、返事がイエスなら、もっとちゃんとした場所選んだのに……」
「ふふふ、なんか天気が良くて、景色もきれいで、ごはんがおいしくて、サイラスが一緒にいてくれて幸せだなあと思ったら、自然にあふれてきちゃったの」
そう言って、照れたように笑うルナを見ていたら、たまらなくなって、体を起こして唇を重ねる。
「よし、そうと決まったら、結婚式をあげよう! 家はどこにする? ルナのドレスはどんなのがいいかな? ドレスに合わせてアクセサリーも作らないとかな? あールナの花嫁姿楽しみ。でも、綺麗すぎて誰にも見せたくないかも。もう二人だけで式挙げちゃうかな……あー悩ましい」
そうして、僕の1111回目(もちろん愛するルナに関することなので正確にカウントしている)のプロポーズは成功したのだった。
ヤクばあちゃんが魔術の修業の時も、ルナが薬師として修業いているときも、口を酸っぱくして言ってるけど物事はやっぱり千回は繰り返さないと成果がでないのかもしれないな……
40
あなたにおすすめの小説
夢を現実にしないための正しいマニュアル
しゃーりん
恋愛
娘が処刑される夢を見た。
現在、娘はまだ6歳。それは本当に9年後に起こる出来事?
処刑される未来を変えるため、過去にも起きた夢の出来事を参考にして、変えてはいけないことと変えるべきことを調べ始める。
婚約者になる王子の周囲を変え、貴族の平民に対する接し方のマニュアルを作り、娘の未来のために頑張るお話。
【完結】好きになったら命懸けです。どうか私をお嫁さんにして下さいませ〜!
金峯蓮華
恋愛
公爵令嬢のシャーロットはデビュタントの日に一目惚れをしてしまった。
あの方は誰なんだろう? 私、あの方と結婚したい!
理想ドンピシャのあの方と結婚したい。
無鉄砲な天然美少女シャーロットの恋のお話。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
拾った指輪で公爵様の妻になりました
奏多
恋愛
結婚の宣誓を行う直前、落ちていた指輪を拾ったエミリア。
とっさに取り替えたのは、家族ごと自分をも売り飛ばそうと計画している高利貸しとの結婚を回避できるからだ。
この指輪の本当の持ち主との結婚相手は怒るのではと思ったが、最悪殺されてもいいと思ったのに、予想外に受け入れてくれたけれど……?
「この試験を通過できれば、君との結婚を継続する。そうでなければ、死んだものとして他国へ行ってもらおうか」
公爵閣下の19回目の結婚相手になったエミリアのお話です。
二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした
セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。
牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。
裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
後妻の条件を出したら……
しゃーりん
恋愛
妻と離婚した伯爵令息アークライトは、友人に聞かれて自分が後妻に望む条件をいくつか挙げた。
格上の貴族から厄介な女性を押しつけられることを危惧し、友人の勧めで伯爵令嬢マデリーンと結婚することになった。
だがこのマデリーン、アークライトの出した条件にそれほどズレてはいないが、貴族令嬢としての教育を受けていないという驚きの事実が発覚したのだ。
しかし、明るく真面目なマデリーンをアークライトはすぐに好きになるというお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる