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第8話 招集

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予め入口で説明されていた通り、俺たち神王からの勧誘入学者の実力を見るための試験の会場も兼ねたのが、このお迎えの豪華客船エクスカリバー号
その船に集まった勧誘入学者の数はざっと見て50~70くらいは居るだろうか。キラの言う通り生き残りをかけたサバイバルである

「説明は入口で伝えた通りだ。試験内容は配った端末から俺たち講師が指示を出す。その指示を受けたものは指定の場所まで集合するように」
リオのおっちゃんが俺らに今後の過ごし方を教えてくれた後、俺達は割り当てられた部屋に各自向かっていった
「アル。お前何号室?」
「203」
「おっ一緒じゃん」
「マジか。でも確か4人部屋だったよな」
「相部屋の人達良い人だったら良いんだけどなぁ」
そんな事を2人で話しながら進むと部屋に到着した
「鍵は後から渡されるらしいから、とりあえず入ろうぜ」
「豪華客船の中の部屋…もちろんベッドはふかふかなんだろうなぁ」
「確かに今日だけでそれなりに疲れたから、部屋入ったら少し眠ろうぜ」
そんなやり取りをしながら部屋に入る
「ちわーっす…ってあれ?」
「んっ?」
部屋に居たのは、先程俺たちに声をかけてきたロス・ベルナとクラリス・ワードックだった
「おいおい…年頃の男女が一つ屋根の下ってアリかよ…」
「ざっと見た感じ今回女の子の割合が多いらしいからねぇ」
「この状況をすんなり受け入れる君もすごいよ…」
戸惑う俺とキラを他所にベルナは何も気にしていない様子で、クラリスは静かに本を読んでいた
「本読めるのもすごいけどな」
「あの子は昔からああいう子だから」

「しかし、ルームメイトと言えども君達は女性だ。俺たち男との境界線を決めておこう」
「え~!!いいじゃん別に」
キラの提案にロスが否定する。だがそうもいかないのだ
「あっ!もしかして…」
「なっ…なんだよ…」
ロスはキラをじっと見つめている
「私達が可愛いから緊張してるんでしょ?だからそんなこと言ってるんだ~かわいいなぁ」
「君達が可愛いのは事実だそれは認める。だが緊張ではなくマナーとモラルの話だ。結婚前の男女が一つ屋根の下に同じ部屋で過ごすなんて王族として危ない橋は渡れないよ…」
「キラ…もう何言っても無駄だ…俺らが気をつければいいんだ…」
「しかし…」
「ただし範囲だけ決めさせてくれ。それなら良いだろ?」
「うーん…分かった。そんなに気にしなくても良いんだけどなぁ…」
ちょっと残念そうな表情を見せるロスだが、こればかりは仕方ないね

そんなやり取りをしていると端末がピロロロと音を鳴らす
これが試験招集の合図だろうか。リオのおっちゃんからメールが来た

「全員2Fの体育館へ集合。まずは最初の試験。バトルロワイヤルを始める」
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