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12.国境を超えるまで~ジャックside
しおりを挟む何とか国境を出ることができたが、まだ安心できない。
檣楼に上り全体を見渡しながら懐に忍ばせていた花火を使って奥様に信号を出す。
「よし、問題ないな」
奥様に解るように信号を出して、隣国に向かう手はずになっている。
「何が問題ありませんの?」
「ロビン・・・って、危ない!」
「結構高いですわね」
檣楼に上がって来るなんて度胸がある。
まぁ、親に縁を切って貰い、お仕えするお嬢様と国を出ようとする時点で解っていたが。
「何をなさってますの?」
「ビアンカ様に国境を出たお知らせと、後は迎えの準備です」
「ユーリ様の伯母上様ですわね?」
「はい、シメリス帝国の第一皇女殿下であらせられた方です」
「は?」
シメリス帝国の第一皇女殿、セレスティーナ様。
ビアンカ様の姉君であり、陰の宰相と恐れられる程の方でもある。
アシュレイ公爵家に嫁いでいるが、シメリス帝国では女性でも政治に口出す事が許されている。
「あっ…あの、ビアンカ様は皇族とは聞いておりましたが」
「あの方はシメリス帝国の第二皇女殿下なのですが嫁がれる前に、政治的な理由もあり公爵家に養子縁組をした後にウィンディア辺境伯爵家に嫁がれました」
「では…」
「はい、第二皇女殿下で、母君は皇后陛下です。ちなみに申しますと皇女様の中で一番血筋が良いですね」
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ビアンカ様の母君は侯爵令嬢で皇后陛下という高貴なお立場でございますので、皇族の中では一番血筋が良いのです。
「知りませんでした…」
「まぁ、身内ぐらいしか存じません。ですので、ステンシル侯爵家はシメリス帝国の皇族を侮辱したも同然。今後は貿易なんてできませんね?ええ、シメリス帝国の皇族は身内との絆がすごく強いのです」
「えっ…」
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本当に馬鹿な事をしてくれましたね。
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シメリス帝国は騎士を重宝する国です。
騎士として武功を挙げるユーリ様は自慢だったはずです。
そのユーリ様から騎士という職業を奪い、あげくの果てには婿養子だなんて屈辱は許さないでしょう。
あの方を怒らせたらどうなるか。
いいえ、一番恐ろしいのは第三皇女殿下です。
シメリス帝国の聖女様であらせられるあの方を怒らせたら最後、どうなるか。
自業自得ですが、何も知らない彼等は馬鹿としか言いようがありません。
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