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32.祖父の知られざる真実
しおりを挟むこれは一つの伝説だった。
聖騎士と、剣所の姫君が戦場に赴き帝国の強敵を打ち負かし。
人質にされていた名もなき民を救った聖なる騎士。
彼の名前はユーリ――。
「何が騎士物語だ!」
ビリビリ!!
俺は目の前にある本を破いた。
「何をなさいますか」
「何勝手の小説なんて書いているんだ!しかも何だよこれは」
「ユーリ様の武勇伝を子々孫々つ伝えるべく小説にしました」
戦地から帰ってから数日後。
しばらく静かにしていたと思えばジャックは恐ろしい事を企てていた。
何でも作家デビューを果たしたとか。
それで処女作が俺とアイリスをモデルにした悲恋物を書いていた。
最終的には結ばれるのだが…なんとも言えない。
そして第二作目は、俺とアイリスの戦場での紆余曲折を描いている。
「俺とアイリスを小説に使うな!」
普通は許可を取るものだろう。
しかし、本を出すにも金が要るのだが。
よくそんな費用があったものだ。
「ジャック、新作の挿絵が完成しましたわ!軍服をもっと豪華にしましょう」
「ロビン、君もか!」
部屋に入って来たロビンはエプロンをつけている。
エプロン周りには墨で汚れていた。
「流石ですロビン。小説の挿絵にするのは惜しい」
「当然ですわ。小説の次は漫画にするのです!そして行く行くは舞台にして…」
「お前ら俺に何の恨みがあるんだ!」
打ち合わせでもしたかのように呼吸がピッタリだ。
「おお、これは良い出来栄えだな」
「陛下!」
本を見て陛下が上機嫌にしている。
「うむ、良き働きじゃ。わしの希望通りじゃ」
「希望…陛下、もしかして」
嫌な予感がした。
「勿論スポンサーはわしじゃ」
その親指をへし折ってしまいたい。
何だその顔は。
いい仕事しましたなんて顔をしないでください!
「わしは昔から出版社を作るのが夢でのぉ…本当は作家になりたかったんじゃよ」
「初耳です」
「当然じゃ。周りに猛反対されたんじゃ…故に心の慰めは本を読む事じゃ。一番好きなジャンルはあしなが爺さんとわたしじゃ」
知りたくなかった事実。
いや、思い当たる節があった気がする。
幼い頃から教育の一環で何度も絵本を読み聞かせられた。
徳のあしながシリーズは耳が痛くなるほど聞かされ、あげくの果て成人するまで文通を強要されたな。
毎日のように。
もしかして孤児院に援助を続けているのはあしなが爺さんになりたかったのか!
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