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81.大嫌いな二人~ステンシル侯爵夫人side②
しおりを挟む姉の姑は、女性でありながら地位が高く。
継承ではなく、国王より爵位を賜り、優れた外交官でもあるらしく。
女侯爵の地位を得ているらしい。
早くに夫を亡くしながらも、再婚しないで子供を育てていたと。
政略結婚が常識なご時世でありながらも、我が子の婚姻を誰よりも喜び、姉のフレリアを快く受け入れているのが嫌という程解った。
「あの唐変木のワーグナーにこんな良き嫁を見つけるとは。やはり日頃の行いの良さだな」
「お義母様、ご自分で言うんですか」
「当然だ。学問を究める嫁が来てくれて本当に助かっている。新時代を築く為には教育の場を広げたいが、フレリア程の語学が堪能で芸術にも精通する女性は少ない…私の美学を理解してくれるのが嫁とは心強い」
「もう、お義母様ったら」
絵にかいたような仲の良さだった。
見せかけだけだと思ったけど、部屋に飾られている写真には三人が仲睦まじく映っている。
そして同じデザインのブローチを身に着けているのを見て嘘ではないのが解ってしまった。
「随分立派なブローチですわね?」
「これ?」
「昨年、二人で作ったんだ。私のをフレリアが作り、フレリアのを私がな!」
誇らしげにする彼女に苛立つ。
仲の良さを見せつけられて不愉快だった。
「お腹の子も元気に生まれて来てくれればそれでよい」
「ですが…跡継ぎ問題が御座いますでしょう」
「サビィーネ」
仲睦まじい二人だが、本性はどうか解らない。
特に、公爵家であるならば世継ぎ問題は大問題となるはずだ。
ならば、精神的に追い詰めてやろうとも思った。
「申し訳ありません。ですが…私も第一子は娘で、跡継ぎではなかった事を落胆されてしまっておりますの。私だけでなく、他の方も世継ぎを産めなかった事を悔やむ方は良いのです」
嘘は言ってないわ。
姑は世継ぎを望んでいるのが当然なんだもの。
義母も口はしなかったが男でないのを残念そうにしていたし。
「何だ?そんな事か」
「心配しなくても大丈夫よ。ブリチア王国と違ってカルドア王国は女性でも跡継ぎに慣れるから大丈夫よ」
「まぁ、遠縁から養子縁組をすればいいし、気にすることはないぞ」
私の目論見は外れ、無理に後を継がなくても良いと稀言われる始末。
「私は孫を抱くのが夢だったからな!」
元気に生まれさえしてくれれば良いと言い放ち私は唇を嚙みしめた。
その数か月後、姉は女の子を出産した後に。
大急ぎで公爵様は仕事を片付け邸に飛び込み、母子ともに無事であることを心から喜んでいた。
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「これを買っていて遅くなったんだ」
「この馬鹿息子が!妻の出産に立ち会わぬとは!私の旦那様は立ち会ったぞ」
何から何まで違う環境に私は憎悪が膨れ上がり、姉に抱かれている赤ん坊にも殺意が芽生えた。
――この幸せを壊してやりたい!
不幸になればいいのだと思ったのだった。
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