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83.大嫌いな二人~ステンシル侯爵夫人side③
しおりを挟む最初はちょっとした仕返しのつもりだった。
私が不幸なのにお姉様は他国で大切にされているのだから、馬車に少し細工をして顔に傷でも作れば社交界に出られなくなる程度しか考えてなかった。
だけど――。
私の予想は外れ、私が細工した馬車は崖から落ちてしまった。
実家の領地から王都までは崖の道を通らなくてはならならず、その日は雨が降り出し事で車輪が滑ったらしい。
御者が馬を止めようとするも間に合わずそのまま馬車に乗っていた二人は転落してしまった。
偶然が重なり、最悪な事態になった。
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二人の死亡は確定するも一人だけ遺体が行方不明になっていた。
まだ生まれても間もない姉の娘だ。
遺体は見つからなくとも助かるはずがないと思っていたが、その娘は発見された。
現場にかけてつけていた私が偶然川沿いにて布にくるまれているのを見つけたのだ。
布には血がついており、恐らく姉が落ちる瞬間まで抱きしめ我が子だけはとクッション代わりになったのだろう。
――姉の子が生きている。
ドクン!
まだ生後数か月の赤ん坊。
今ここで始末すれば誰も解らない。
幸いにもあの事故は私の所為じゃないわ。
そうよ、事故。
いいえ、神の天罰が下ったのよ!
そして生き残った娘はこれから報いを受けなくてはならないのよ。
天は私に味方をしていた。
タイミングよく、姑は国を開けているし、夫は領地にいる。
姉の娘を私の娘とすればいい。
幸いにも私と姉は姉妹ゆえに外見は少しだけ似ている。
バレたりはしない。
姑は目が悪く、気づくわけがないのだから。
姉の不幸で精神的に辛く、一人で別邸で過ごしている間に生み月が早くなったとでも言えばいいわ。
膨れたお腹からある物を抜き取る。
第二子を出産していると姑に嘘をついていた私は孤児院から適当に赤ん坊を引き取ろうと計画していたのだから。
私の計画を知るのは、私の傍付き侍女一人だけ。
外部に漏らさないように薬を盛って記憶障害になるようにした。
だけど、義母はイライザよりも姉の娘を可愛がり始めた。
イライザの面倒を見る事はあっても膝に乗せて本を読み聞かせたり、一緒に寝る事はなかった。
挙句の果てに義母は姉の娘を侯爵家の跡継ぎにと言い出すようになったのだ。
だから私は、あの邪魔な姑にはいなくなってもらう事にしたのだ。
これですべて上手くいく。
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だから奪ってやったのに!
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あの忌まわしいあれが皇太子妃となった。
どうしてなのよ!
姉夫婦が亡くなってから病気で倒れたあの姑めは死んだかと思ったのに。
この場にいるなんて!
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