【本編完結】婚約者には愛する人がいるのでツギハギ令嬢は身を引きます!

ユウ

文字の大きさ
41 / 165
第二章

8.薔薇園






ディーノの計らいにより私達は皇宮のある一室に招かれた。


「皆、楽にしてくれ」

ディーノが傍付きの侍女にお茶を用意させ、私達を持て成してくれた。


「ディーノ殿下、私達は侍女でございます。そのような」

「ここでは楽にしてくれ。その方が助かる」

「カノン、ディーノ殿下がおっしゃっているのよ」

「かしこまりました」


未だに緊張するカノンは渋々であるが頭を下げながら了承する。


「では…大丈夫か?君」

「へ…はっ…はい!」

さっきからオディールの様子がおかしい。

「オディール、貴女は部屋に戻っていてもいいのよ?私達だけでも十分だし」

「いいえ、そのような!」


やっぱりおかしいわ。
さっきからディーノを見て真っ赤になっている。


「本当に罪な男ね?また誘惑して」

「何がだ?」


意味深な事を言うシシィー様はニヤニヤ笑うばかりだった。


「けれど、貴方の配慮にはお礼を言わなくてはなりませんわ」

「別に…」

「あのまま、貴方が間に入ってくださらなければ決闘を申し込んだのではなくて



お兄様?


えっ?


「シンシア皇女殿下、皆が驚いてますわ」

「あら、そう?」


悪戯が成功した表情をしているシシィー様だったが私は頭が働かなかった。


「相変わらずだな」

「あら?お兄様も相変わらずです事。まったく帝都にもほとんど帰って来ませんでしたから父が心配してましてよ」

「僕の立場を考えてくれ」


親し気に話す二人の笑顔はどことなく似通う部分がある。


「シシィー様…」

「貴女も噂だけは知っているのではなくて?十五年前に廃嫡となり消された皇子」



まだ私が領地にいた頃で、シシィー様と出会う前の事だ。


噂では聞いたことがある。
陛下には皇后陛下を迎える前に身分が低い妃がいらしたとか。

その方は後に皇妃として迎えられるも、産後の肥立ちが悪く亡くなられたとか。


「ローレンツ第一皇子は私の異母兄妹ですわ」

「そうだったんですか…」

「これは公に知る者が少ないから口外できないのだけど…貴女達は私が最も信頼する侍女だからこそ明かします。アルシア妃は父が皇帝の座に就く前に妃として見初めた女性でした。しかし、周りからは反対されてました」

「しかし、父が皇帝の座に就いた頃には既に母のお腹に俺がいた。そんな理由もあって母を廃妃にすることで言い争いが続いたが、皇后様がまだ若い事もあったんだ」

「アルシア妃は身分こそ低いですが、皇妃としての器があったと聞きます。年若い母は補佐としても必要だと押されました」


けれど違和感を感じる。
どうして私達の耳にも入らなかったのだろうか。


正妻という扱いではないにしろ皇妃は第二夫人でもある。
しかもただの皇妃ではない。

正式に皇后に認められた皇妃となれば特別なはず。


「身分の低さ故と皇妃が皇子を生んだことが火種になりましたわ。出産して二年後、アルシア妃は亡くなりましたし」

「僕は厄介な存在だったんだ。その後に側妃…現在の皇妃にとっては脅威だったんだ」

「なっ…あの女」

オディールの目の色が変わる。
現在皇妃として名を上げている妃の名はジョバンナ妃。

皇妃として振舞っているが、正式皇妃としての実権は弱かったも噂がある。

ただし後ろ盾が皇后陛下よりも強い事から、好き放題をしている事で皇族派からは敵視されている要注意人物だった。



感想 952

あなたにおすすめの小説

文句を言わない婚約者は、俺の愛する幼馴染みを許していなかった【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
幼馴染を優先しても、婚約者アウローラは何も言わない。だから、これからも幼馴染みとイチャイチャできる── 侯爵令息トリスタンは、そんな甘い幻想を信じていた。 だが婿入りした瞬間、彼の“軽んじた態度”はすべて清算される。 アウローラは冷徹に、トリスタンの傲慢と欲望を1つずつ暴き、労働と屈辱を与える。 そして最後に残ったのは、誰にも必要とされない現実だけ。 「どうして……俺は、こんなにも愚かだったんだ」 これは愛を勘違いし、身分を過信し、自分の価値を見誤った男の終焉を描くダークドラマ。 ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。過激ざまぁタグあります。 4/1「エステルに対する殺意」の内容を一部変更しました。

【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません

ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・ それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです

藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。 理由は単純。 愛などなくても、仕事に支障はないからだという。 ──そうですか。 それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。 王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。 夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。 離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。 気づいたときにはもう遅い。 積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。 一方で私は、王妃のもとへ。 今さら引き止められても、遅いのです。

私を裏切った不倫夫に「どなたですか?」と微笑むまで 〜没落令嬢の復讐劇〜

恋せよ恋
恋愛
「早くあんな女と別れて、可愛い子と一緒になりたいよ」 不倫中の夫が笑う声を聞き、絶望の中で事故に遭うジェシカ。 結婚五年目に授かったお腹の子を失った彼女は、 「記憶を失ったフリ」で夫と地獄の婚家を捨てることを決意。 元男爵令嬢の薄幸ヒロインは、修道院で静かに時を過ごす。 独り身領主の三歳の男の子に懐かれ、なぜか領主まで登場! 無実の罪をなすりつけ、私を使い潰した報いを受けなさい。 記憶喪失を装った没落令嬢による、「ざまぁ」が幕を開ける! ※本作品には、馬車事故による流産の描写が含まれます。  苦手な方はご注意ください。主人公が絶対に幸せになる  物語ですので、安心してお読みいただければ幸いです。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました

水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。 それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。 しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。 王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。 でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。 ◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。 ◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。 ◇レジーナブックスより書籍発売中です! 本当にありがとうございます!

「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~

水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」 夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。 王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。 「左様でございますか」 彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。