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34出会えただけで幸福
しおりを挟む調味料を得た私はうはうはだった。
これで私の食生活は豊かになると思うと嬉しくなったが、人間欲が出ると底なしだった。
「せったくの調味料を使いたいな」
念願の醤油を手に入れたのだから、やっぱりあれが食べたいな。
アルベールさんのご厚意で宿を紹介してもらった私は無料で宿泊させてもらっている。
曰く…
「謝礼金もお断りになったのです!これぐらいはさせてください!」
頭を深々と下げられ断れなかった。
しかもかなりの特別待遇らしい。
「アンリ、入ってもいいか?」
「うん、どうぞ」
ベッドでゴロゴロしているとアレクが部屋に入って来た。
「あれ?どうしたの、その服」
「すまない…薬草の探索に出ていたんだ」
服もボロボロだけど顔にも傷がある。
「アレク、脱いで」
「は?何を!」
「だって服ボロボロじゃない。繕ってあげるから脱いで」
「そういうことか」
何で安堵した表情をするんだ?
私は変なことを言ったのか?
「だが、この服はもう繕えないだろ?」
「チッチッ!百姓を舐めちゃだめだよ」
着るものに関してはシビアだった。
なんせ貧乏生活を強いられてき身の上なんだから。
「貧乏貴族を舐めないでね?古着のボロを繕ってきたんだから」
ついでいえば、針仕事も元姑に押し付けられたのだから得意なんだから。
「はい!アップリケ!」
「可愛いな」
破れた箇所をアップリケで縫い合わせた。
ちなみにニコニコマークは私の自作だ。
常に笑顔でいられるように。
「ありがとうアンリ。君は本当に何でもできるんだな」
「こんなの誰だってできるわ」
「俺の知る限り女性で何でもできるなんて稀だ。君は自分の力でちゃんと生きている」
アレクの言葉は嘘がない。
だから時々驚くことはあるけど、優しさが感じられる。
だからすごく嬉しい。
「ありがとうアレク」
「何故礼を言うんだ。礼を言うのは俺だ」
もしあの時アレクを拾わなかった私はこんな風に楽しい気持ちにならなかったかもしれない。
ノームのお爺ちゃん達がいても、今ほど楽しいと感じなかった。
「何だ?」
「何でもないよアレク…」
もしあの時、神様がめぐり合わせてくれたのであるならば。
この出会いに心から感謝しよう。
アレクに出会えて私は今、とても幸せなのだから。
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