百姓貴族はお呼びじゃないと言われ婚約破棄をされて追放されたので隣国で農業しながら幸せになります!

ユウ

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閑話優しき王太子殿下の苦悩②

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元より無償で長年労働を強いられていたのにかかわらず追いはぎのような扱いを受けたアンリは対価を支払われることに疑問を抱いていた。


ただし逆は別だった。


「本当に無欲な者ほど恐ろしい物はないな」

「でしょうね」

神の加護を得る人間は物欲の少ない方が多い。
現に歴代の創造神から加護を得た乙女は欲が少ないのだ。

唯一願った事と言えば自分の欲望ではない。
他者を救うための願いだった。


「どうしてだろうな…優しい人間が傷つく世の中だ」

「納得できないことが多すぎますね」


アンリが受けたこれまでの傷は小さくない。
それでもアンリが笑っているのは周りに期待をしていなかったこともある。


「本人が望まないならば聖女の地位は保留だ」


「しかし既に偉業を成しているのです。アンリ様の御身を守る為にも」

「政治的な意味ならな?だが身体的意味では問題ない…フェンリルとフレースベルグがいるんだぞ」

「ああ…」


なんとなく納得した。
伝説の魔獣と巨人族と言われる鳥族。

この双方を脅かせるのは竜族ぐらいだ。

しかも普通の竜ではない。



「とりあえずだ。隣国には少しお礼をしないとな」

「ええ…ですが、万一あの国が国民を盾にアンリ様を差し出せと言ったらどうします?」


ジェミニの恐れていることは本人が望まない形で元祖国に連れていかれることだ。


「ありえるが、その場合こちらも容赦はしない。切り捨てたのはどっちだ?」


最初にアンリを売ったのは一番近くにいたはずの領民だ。
その後はパンデミック家で事情を知らない国民はアンリを嘲笑い馬鹿にしていた。


「私はね、アンリちゃんが何所に行こうがかまわないんだ。勿論我が国にいてくれるなら嬉しいけど」


「殿下…」

「けれど、そんな勝手なことを言えるわけないだろ」


どう考えてもアンリには貴族の生活は窮屈すぎる。
後ろ盾もない状態では無駄に加護があり、過ぎたる力は危険だった。


「平民として弟一緒になれるようにしてあげたい…二人は思いあっているしね」

「そうですね」


知らぬは本人ばかりだ。
この際あの二人は冒険者としてか農民として過ごした方がい幸福かもしれない。


「私は弟にすまないことをしたと今も後悔している」

「そんな!」

「王位継承権の争いを阻止する為にすべてを捨てた弟に何もできなかった」


別に王子のママでもいいじゃないかと思った。
けれどその考えは甘いと後から知った。


国盗りを考える貴族が、兄弟で争わせようと考えていたからだ。


「あの子は優しすぎた…王になるにしても」

「はい」

「ならばせめて好いた女性と一緒になり自由に生きて欲しいんだ」


自分は無理だがせめてと願いを込めた。

その未来の為にも。


「国の恩人を守るのは当然だろう?ジェミニ…あの国をぶっ潰すぞ」

「承知しました」


心優しい王太子は時として悪魔にもなる。

すべては愛する家族の為に。


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