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閑話女神の怒り④
しおりを挟む加護を得たとしても一時の恩恵しか得られないことは多い。
アンリの祖先のように、継続的に加護を得ることはまれなのだが、加護を受け取る側が特別な存在と言うわけではない。
「人間はどうしてこうも変わってしまったのかしらね」
「すべてではないが、加護を欲しいが為に愚か真似をする馬鹿が増えたな」
欲望の為に他者を踏みつけ加護を持てば傲慢になる。
どんな加護でも素晴らしいことには違いないのに勝手に優劣をつける。
そういった人間は加護を授けた神々に感謝をすることはない。
「ノエル。お前のお気に入りは毎回供物を備えているらしいな」
「ええ、作物ができたら一番にお供えをしてお祈りをしてくれるのよ」
「私も美味しいご飯もらった」
「人間の信仰心…それが私達の威光にもなるのにね」
「ええ」
女神だって感謝されれば嬉しい。
お礼を言われて嫌な気はしないのだから。
アンリは一度だって祈りを忘れたこともなければお供え物を忘れたこともない。
今日無事に生きれたことを感謝しながら眠り、朝起きたら今日一日が平和に過ごせたことを感謝する。
その思いが大事なのだ。
「俺、あの人の子が気に入ったぜ。俺も加護つけよっと」
「あら?じゃあ私の風の加護もつけようかしら」
「ちょっと二人とも…」
ノエルは頭を抱えた。
勝手に加護をポンポン与えると怒られるのだ。
「いいじゃねぇか。ケチケチすんなよ…俺も美味い酒の肴が食いてぇ」
「あら?私は甘いお菓子がいいわ」
「ご飯…白いご飯食べてみたい」
ノエル以外の女神は見返りを求めながら加護をポンポンつけだした。
「ついでに馬鹿共にお仕置きしてやろうぜ」
「いいわね!」
「ちょっと虐めるぐらいなら罪にならないもん」
女神のちょっとは水害を起こして国一つ沈めることだ。
彼女にとってのちょっとは人間にとって大惨事なのだが、ノエル自身も大事な愛し子を虐め追放した男達を許す気はない。
(あの男達を見ていると思い出すのよね。特にあの屑と王は・・)
泉を睨みつけるノエルはかつて自分が愛した乙女を苦しめた男と似ていると思ったのだが…
「ノエル!早速夢渡りしろよ!」
「ちょっと私が先よ!」
「ダメ!私がご飯貰うの!」
他の女神達は勝手にアンリの夢の中に入り供物のリクエストをしようとしていたのだった。
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