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84敵国認定
しおりを挟む不法入国並びに私に暴言を吐いたあの人はその後私の目の前に現れることはなかった。
強制送還と同時に、私に危害を加えようとした罪で正式に抗議をすることになったのだけど、問題はそう簡単なものではなかった。
あの王様はきっと切り捨てるだろう。
国民一人切り捨てることに違和感を感じないのだから。
問題はそうやって不法入国できたか。
アレクの調べによると国内に内通者がいて私の噂を流していたようだ。
「一枚岩ではないのは解っていたが」
「私のことを漏らして何をしたかったのかしら」
例え私が生きていても、あの国に私の価値はない。
むしろいない方が喜ぶのではないかと思っていたのだけど。
「君が相続するはずの土地や財産はそのまま元婚約者の物になっているが、法律では返還義務がある。王が命じたのであれば大問題だ」
「でも貴族と言っても名ばかりだよ」
私の存在価値は無いに等しかった。
それが地位の高い女性ならば話は変わってくるのだけど。
「君はパンデミック家と婚姻関係がない。あくまで婚約者だ…だが、調べによるとパンデミック家は書類を偽造して既に婚姻関係があるのを前提として遺産を自分達の物にしている」
「は?」
「そんな事実はない。教会にも問い合わせた…書類に関しては兄上の側近に専門家がいるからな」
知らなかった事実を聞き唖然とした。
そこまでしてお金が欲しかった?
私の思いを無視してそんな真似を。
「あの国は終わりだ。君だけの問題ではない…犯罪を平気で行ってそれを黙認する王。必要ないだろ」
その言葉は遠回しに敵国として排除することを決定的にしている。
「同盟の話が来ているが、父上は拒否している。同時に兄上が正式に王となることが決まった」
「早くない?」
「ああ…少し早いが宣戦布告だ」
新たな王となれば、あの国に一切の介入を拒否しても問題ない。
何故ならお兄様とあの国はまったくの交流もないのだから。
交流する必要もない。
「後見人としてドワーフ王国の王が名乗りを上げてくださった」
「そうなんだ…」
「正式に敵国とみなし。尚且つ元第二王子の妻を侮辱し暴行未遂事件を起こしたことを突きつける。王からの手紙にかんしては脅迫文に名誉棄損罪として訴える」
アレクがここまで怒るなんてよっぽどのことなんだとも思う。
国民は気の毒だけど、私にはどうすることもできない。
後はお兄様達に判断を委ねることにしたのだけど、数日後私達は王宮に呼ばれた後に今後の事を話し合うこととなった。
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