百姓貴族はお呼びじゃないと言われ婚約破棄をされて追放されたので隣国で農業しながら幸せになります!

ユウ

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85公に

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ずっと逃げていた。
アレクに守られていた私は、もう逃げることはできない。

今のままでいたい。

でも、私の我儘を押し通せない。

「お兄様、私は聖女になります」

「アンリちゃん…」

「アンリ!しかし…」


アレクは私の望みを解っている。
一部では聖女は素晴らしいものだというけど、そんないいものじゃない。

だって前世では聖女は魔女にされ、火あぶりになったり。
人為的な力ではないものを持っている所為で周りから異端児扱いだ。


私はただ平和に、平凡に行きたかった。
生きるに自給自足をして、その日の糧をいただき過ごす。

そんな当たり前の日常が欲しかった。


「もう蚊帳の外ではいられないんですよね」

「申し訳ない…」


私が公に出ないことであの国は私を誘拐した。
洗脳したとでも言いたげだ。

捨てたのはあの国なのに。
様々な噂が飛び通う中、ちゃんと言葉にしないといけない。


「私が聖女としての地位を得れば簡単に手を出すことは難しいんですよね」

「ああ…既に君の功績を知る者は多い。公に聖女と名乗っていないことで連中はそれを逆手に取っている」



あわよくば私をあの国に強制的に戻して聖女にして搾り取れるだけ搾り取ろうと考えているんだろう。


「あの国は君を誘拐したことで、金銭を要求している。国が崩壊したのも我らの所為だと」

「ありえません」


元より国は荒れていた。
日に日に物価の値段は上がり、重税に苦しむ国民は多かったのにギョームは常に贅沢をしていた。


パパは領民を食べさせるために重税をしないでいたけど。
彼らはそんなパパを裏切ったのだから。


「加護は私達人間の意思で得られるものじゃない。国だって一人でどうこうなるはずない」

「その通りだ」


彼らは悪が必要なんだ。
人々が敵だと判断する者が必要だった。

都合よく悪意を向けられるものが。


「あの国は我が国を悪にしてしまいたいようだ」

「民も我が身が大事なのでしょうね…」


自分達の生活が戻るならば真実はどうでもいいと考えているのかもしれない。

でも、そんな連中に身を差し出す必要はない。


「一時的でありますが聖女のお役目をいただきます」

「ありがとうアンリちゃん…」

「けれど、元という前提にしてください。私は既に人妻です」


そうだわ。
私はもうアレクの奥さんになっているので元聖女という前提で話しを進めなくてはならない。


だって聖女は独身じゃないとダメなのだから。


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