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1追放された後

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ゴロゴロと転がって行く。
何所に落ちて行くか解らず全身が痛い。


「光だ!」


転がりながら落ちた先には光が差し込んだ。


「いでぇ!」


俺が落ちた先は森の中だったけど。
さっきいた暗い森ではなく光が差し込み周りには湖がある。

「何だここは?」

トンネルを抜けた先は別世界だった。

「ん?シャボン玉?」

フワフワと浮くシャボン玉が俺の前に現れる。


「白い本?」

シャボン玉の前には本が入っていた。


気になって触れると、強い光が放たれる。


「何だ…」


シャボン玉が弾かれ本がパラパラとひとりでに光。


「何だ…頭に言葉が」


――名を。


「えっ…」

頭に声が響いた。


――我が名を。


「マエストロ・グリモワール」

頭に訴える声をそのまま口にすると地面が光り出す。


「何だぁ!」

光の線が螺旋をき光を放り魔法陣が描かれる。


「何?杖?」

黄金の杖が俺の手元に来る。


「これ握れってか?」


浮いたまま杖がフワフワ浮いている。


「嫌だな。触りたくない…いだだ!」

杖が俺の頭をポカポカ殴る。

「解った!握ればいいんだろ?」

杖を握ると杖に文字が刻まれて行く。


「うわぁ!何か出て来た」

空中に文字が浮かんで来た。


「白魔導士?なんだこりゃ?」

昔はやったゲームみたいだ。
勇者ゲームであるようなものだな。


「ははっ、夢でも見ているのか…いや夢だったりして」


一瞬現実逃避をしかけたが。


「いでぇ!」

背後から何かに殴られた。

「お前!さっきから何だよ…人の頭をボカボカ殴りやがって!」

一体どうなっているんだ。
本当に意味が解らない。

いきなり変な所に連れてこられて追い出されるわ。

「本当にここは何処だよ…ん?何だよ」

杖が宙に浮く。

「ついて来いってか?」

行きたくないが、杖が怪しく光っていた。


「殴る気か」

返答はなかったが行かないとまた殴られるだろうと諦めた。



はずだったが。



「悲鳴?」


遠くから子供の悲鳴が聞こえた。


「えっ…」


背筋に凍り付くような感覚に襲われる。


『助けて!』

『誰か…魔力を奪われちゃう!』

『嫌だ…』


頭に響く声。
すると杖が映像を映し出す。

そこには小さな子供が襲われている姿。
男が子供達を捕まえ虐げる姿に村に火を放たれ悲鳴を上げていた。


「こっ…これは」


『誰か助けてぇぇぇ!』


泣き叫ぶ悲鳴に俺はいてもたってもいられず走った。


声が強くなる。


きっとこの先に村があると思った俺は無我夢中で走った。

するとそこには火の海となる小さな村。
女子供の悲鳴と殺戮が繰り返されていたのだった。



「やめろ…止めろぉぉぉ!」


俺は考えることなく突っ込んだ。


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