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5旅先で

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一夜明け、俺は早朝に風のエルフの村を出ることにした。
昨日の事件を起こした屑集団はあの馬鹿王子の回し者の可能性がある。


聞けば彼等は裏ギルドと呼ばれ、鎧と一緒に紋章が落ちていた。
冒険者の中で裏ギルドは違反行為を犯した犯罪者のようなものだったが、お金さえ払えば犯罪まがいな事をするそうだ。


ぶっ飛ばした時に紋章が落ちていたので、恐らく馬鹿王子が金で雇った事らしい。
この国の常識を何も知らない俺は長老にかいつまんで教わった。

人間以外に精霊や魔族が存在する。
妖精や魔獣などでも力の弱い種族は魔族のように強い種族に守られている。


今は人間と魔族が敵対関係にある…というか俺的には人間が悪い気がする。

昨日の一件と言い。
俺を召喚した理不尽な連中を見ると思うんだけど。



「シオン様、道中はお気をつけください」

「うん、ありがとう」

「シオン様の髪は人間からすれば珍しく希少価値が高いのです。いわば空腹の狼の中に最高の肉を放り込むような物」

「いや、肉に例えるなよ」


物の例えが少し嫌だな。
目立たないようにするためにも旅人を装う必要がある。


「こちらを」

「風のエルフの紋章です」

リンデロンさんから渡されたのは羽の毛様がついた紋章だった。

「我ら風の一族は鳥の一族でもありますので、フレースヴェルグが手助けをしてくださるでしょう」

「へぇ、フレースヴェルグさんって人か」

「大賢者様、人ではなくですね…」

「じゃあいってきまーす!」


「大賢者様ぁぁぁ!」


俺は手を振りそのまま風のエルフの村を後にした。


「エルフの理解者のフレースヴェルグさんってどんな人だろう」


この時俺は自分の体質を忘れていた。


昔から俺はトラブルや厄介ごとに巻き込まれる体質だった。
今回の間違えで召喚された時も同じように。



「さぁて行くか…」

穴に入り、来た道を戻ろうとした時だった。


「きゃあああ!」


「は?」


俺はつくづく不幸の星の下に生まれたそうだ。


前方に女の子が変態集団に追いかけられている。


「これってストーキングか」


とりあえず俺のルールは女子供は助けろ。
変態には容赦するなだったので。

あの下衆野郎と同じく杖をバッド代わりにした。


そして。


傍に落ちている毬栗を野球ボール代わりにして打つ事にした。


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