上 下
7 / 12

6自称治癒師

しおりを挟む



二度目による正義の鉄拳を加えた。


「おいおい、何だ?弱いな」

「貴様…自分が何をしたか解っているのか!」

「あ?女の子を追いかけまわす変態が。ストーキングは犯罪なんだよ…あ?」


胸倉を掴み睨みつける。
どう考えても中年の男が中学生ぐらいの女の子を追いかけなんて変態だろ。


「おい君、大丈夫か」

「はっ…はい、ありがとうございました」


フードを取ると…

「すげぇ美女…」

金髪に翡翠の瞳のアイドル顔負けの美少女だった。


「怪我をしているな…」

「矢で打たれて」

「大丈夫か…」

すぐに傷の手当てをしようと腕に触れようとしたら。


「え?」

手から光が灯り、傷が一瞬で消えた。


「なっ!」

嘘だろ?
傷が一瞬で消えただと?


もしかして彼女は人間じゃないのか?


「私の呪いが…腕の刺青が」

「え…」

「貴方様は治癒師様ですか」

「いやー…」


どうしたものか。


長老の言葉を思い出す。




****


「シオン様、貴方様の正体はあまり口にしてはなりません。貴方様は強大な魔力を持っておられますが人によっては害を成すと判断するでしょう。故に治癒師と名乗るのが安全です」

「治癒師?」

「魔導士の一番下の者です。主に後方支援をして傷を癒します」

「でも、俺はそんな事できねぇよ」

「いいえ、いずれ解ります」





どうしたものか。
俺は治癒師だと名乗るように言われているので。


「まぁ、フリーの治癒師です」

「やはり…」


美少女は目を輝かせるも。


「いたぞ!あそこだ!」

「もう追手が!」

「何、あいつ等?追われているのか」

やたらと武装している人相の悪い男達だな。



「邪魔するなら殺せ!」

話し合いをする間もなく剣を向けて、邪魔するなら殺す気満々だったので。


「よし杖、行くか」

クソ野郎に情けは不要。
これは正当防衛なのだから。



***

決着はあっさりついた。




「強い…」

「くっ…」

一時間後、俺は悪党を征伐した。
勿論杖と一緒に共闘してだ。


「残念だったな俺は剣道三段なんでな…お前達みたいな我流野郎に負けるかよ」

「すっ、すごい」

「お嬢さん、何で追われているんだ?」


「どうかお願いします!どうか私と一緒にマリンフェリス王国に来てください!」


「え?」




俺の行く先々はやっぱりトラブルがつきものであることは嫌という程理解した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

王子を助けたのは妹だと勘違いされた令嬢は人魚姫の嘆きを知る

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,088pt お気に入り:2,675

お后たちの宮廷革命

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:71

双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,905pt お気に入り:1,650

私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:5,701pt お気に入り:1,363

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:188

妹は、かわいいだけで何でも許されると思っています。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:2,948pt お気に入り:2,389

一途な令嬢は悪役になり王子の幸福を望む

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,033pt お気に入り:1,709

処理中です...