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8男の役目

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彼女いない歴18年の俺ですが。
婚約者ができました。


これってどうしたらいいでしょうか?


「マジか」

部屋に案内された俺はベッドに倒れこむ。

「ハイビスカス…」


部屋に飾られている南国を象徴する花。

「綺麗だな…」

真っ赤なハイビスカスを手に取る。

「まだ中学生ぐらいだろうに…国の為にって」

花に触れながらリリーシュを思い出す。
14歳ぐらいの女の子が国の為に尽くす姿は健気を通り越して痛々しく感じた。


いきなり訳も分からず聖女召喚に巻き込まれて魔術書の導きと杖に脅されて成り行きだったが、この世界は俺が思う以上に生きづらい世界だった。


弱いければ生きられない。
強い者に虐げられているなんて。

「強いなら弱い人を守れよ…それが力を持った人の役目だろ」


俺は早くに両親を亡くして祖父母に育てられた。
幼い頃から祖父ちゃんが言っていた。


力ある者は力が弱い人を守ってやるのが役目だ。

口癖でもあった。


でも、俺も同意見だ。

エルフの村の事に介入したのも、俺のルールがあるからだ。
どんな理由があってもあんな真似許されない。


ゴン!

「いっでぇ!」

うじうじ悩むを俺を怒るように杖が俺の頭を殴る。

「何するんだよ!うじうじ悩むなってか?」

杖は俺を突く。
痛くはないけど地味にうざい。


「あー!もういい!」

年下の女の子が困っているのに捨て置く程腐っていない。

「ようするにその呪いを解けば良くねぇか?」


リリーシュは父親を救う為、そしてあの馬鹿王子との婚約をしない為。


「女の子を泣かせるのは男として最低だよな」


俺はこの世界で泣いている人を見た。

だけど涙を流しながら戦う姿を見た。


「だったら女の子を泣かせるのが男ならその涙を拭ってやるも男だろ?」



俺の意思は決まった。


お姫様の涙を。


悲しみを蹴散らしてやる。



「行くぜ杖ちょん!」


俺は相棒にいうも。


「いででで!何で殴るんだよ!名前が気に入らないってか?」


まったく我儘な杖だ。


「とにかく行くか」


リリーシュの親父さんが何処にいるか聞かないとな。



壁に手を置くと壁が動いた。


「えっ…わぁぁぁ!」


からくり仕掛けかよ!


そして何故か滑り台のようになっていた。


俺はどうやら落ちるのに縁があるようだった。


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