偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!

ユウ

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第一章.婚約破棄騒動

11.子爵令嬢との出会い

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可愛らしい帽子には花の飾りがアクセントになっていた。


「なんて綺麗な帽子」

「ありがとうございます。大事な帽子なんです」


春が似合う様なとっても可憐で可愛らしい少女だった。
服装からして高位貴族ではない。


新貴族の方かしら?


「王宮に来ても、息が詰まりそうでお庭に出たら風で帽子が飛んでしまったんです」

「そうだったんですか、では帽子に…あら破れているわ」

「あ‥どうしましょう」

帽子に少し破れがあるのに気づき、私はソーイングセットを取り出す。


この程度なら私でも修復可能だわ。
伊達にドレスをリメイクしたり、ベアトリスの服を縫い直したりしていないもの。


「どうぞ」

「まぁ、すごいですわ。魔法みたい」

「ただ縫い直しただけです。髪の毛にピンで押さえれば飛びませんよ」

些細なことで目を輝かせ表情がクルクル変わる方だった。

本当に可愛らしい方。


貴族社会で無邪気な笑顔ははしたないと言われているけど、とっても素敵な笑顔に癒された。


「あの…よろしかったらお茶でもいかがですか!」

「え?」

「帽子のお礼を是非させてください!そうしましょうお姉様!」


――お姉様って何?
さっきから似たような言葉が飛び通いながら不思議に思っていると、後から知った。


四人の令嬢は第三王子殿下のお妃候補。


そして私の姉は第一王の婚約者である為、将来的には身内になるらしく。


彼女達は私の世話を焼いてくれたらしい。



「お姉様って昔から変なのに好かれるわよね」


邸に帰ってからベアトリスに相談すると、彼女達は貴族令嬢の中でずば抜けた魔力と実績を持つ故に多くのお妃候補の中で、特に期待されているとか。

身分だけ、血筋だけの令嬢とは違うらしい。


ただ、その所為で他の令嬢とはそりが合わず孤立しがちだと言っていた。

警戒心も強いと聞くのだが、私に対しては警戒心の欠片も見えない。


「警戒する価値もないか」

「お姉様、違うわよ」

呆れた表情をするベアトリスはどうしてため息をついているか解らなかった。


「あの天衣無縫な皆様を誑し込むなんて恐ろしい方」


そして私に聞こえないように、そんなことを囁いでいる事にも気づくこともなかった。


ただ、何時もとは違う特別な出会いに少しだけ幸せを感じ、分不相応でもあるが。



こんな私に優しくしてくださった御令嬢が幸せになれたらとおこがましいながらも願っていた。


妃に選ばれるのは一人だけ。


でも、誰が選ばれても問題はない。


むしろ、あの四人の中から選ばれて欲しいと心から願っていた数日後。



皆さんから同時にお手紙が届くようになり、その日から文通をするようになるのだった。



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