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第二章.新たな婚約
17.頼れる仲間
しおりを挟む私をかばう様にベアトリスが前に立ち、サマンサお姉様が私の隣に立つ。
「シャリエール嬢、我がノーチェス公爵家は王族の直系ですわ。それをお忘れですの?」
「いいえ…」
「では、その公爵家の娘を罵り、侮辱し、暴行を加えようとしたことを説明してくださいませ。場合によれば牢獄行気だけでは済みませんことよ」
サマンサお姉様が睨みつけながら扇を向ける。
「伯爵家であろうとも貴女は爵位を授かっていない、価値のない女。手にかけても痛くも痒くもありませんわ」
「そんな…」
「既に傷物となっている貴女は社交界にも、この学園にも居場所はありませんわ。なんでしたら監獄で生活なさいな」
真っ青になるマリアナに容赦のない言葉を浴びせる。
「そこで関係ない顔をしている皆様も同罪ですわよ」
「「「え!」」」
関係ないと思っていた令嬢達にナウシカ様が告げた。
「マリアナ様に加担していたのであれば罪は重くてよ?第三王子殿下の婚約者に手をだしたのですから…」
ナウシカ様が脅しをかければ彼女はあっさりと裏切った。
「違います。私達は…」
「マリアナ様に命令されて」
「私達は止めました」
「何を言っているの!」
利益だけで繋がり、ちゃんとした友人関係でなかった。
我が身可愛さに自分達は逃げようとしている。
「裏切る気!」
「私達は好きで貴女にしたがったんじゃありません」
「下級貴族出身の私達が伯爵家に逆らったらどんな目にあわされるか。特にマリアナ様は私達のような者を公の場で罵倒して潰そうとするし」
「そうじゃなかったら…」
彼女達は伯爵以下の身分だった。
新貴族は旧貴族から見下されているので安易に逆らえない。
かつては第一王子の婚約者であることから、ただの伯爵家の令嬢ではすまなかった。
媚びへつらえば甘い汁を吸えるだろうという邪な思いもあったが、情を抱くことはなかったのは自業自得かもしれない。
「ざまぁないわね」
「ベアトリス!」
「これが貴女の招いたことですわ。マリアナ・シャリエール。無様でなんてみっともなくて愚かなのかしら!真面な信頼関係も築けないなんて馬鹿みたい」
流石に言い過ぎと思うんだけど。
後ろでジルベルト様や近衛騎士の方々がドン引きしているし。
「ベアトリス様、かなり惨いわね」
「ええ、どっちが悪役か解りませんわ」
ナウシカ様とアナスタシア様も冷や汗を流している。
「これでは、小説に出てくる悪役令嬢のようですわ」
「ナウシカ様、そのような小説をお読みに…」
またナウシカ様は新ジャンルに手をお出しになっていたんですか!
応援ありがとうございます!
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