令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

ユウ

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間違った選択

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床に落とされた鍵がキラリと光る。


まるで用意されていたかのように周りの見回りは居なかった。

今なら逃げ出すことができる。
それに一矢報いてやることもでる。


悪魔の囁きが何度も木霊する。


  ”今度こそ行動しろ”


  ”忌まわしいあの影を殺せ”


ルクレチアの耳に絶えず囁きかける声がする。


「何やっているのお母様!」


(そうよ…今度こそ)


ごくんと唾を飲み込む。

すべてを取り返すために。
手段を選ぶ必要ないのだからこれでいいのだと言い聞かせる。


自分は悪くない。

(私から大切なモノを奪ったあの女が悪いのよ!)


憎くて憎くて仕方ない姉とその姉に瓜二つの娘。


すべての過去を断ち切りすべてを取り戻す為ならどんなことでもしてやる。


(そうよ、あの女に騙されているのよ…旦那様も陛下も殿下も!)


魔女から救わなくては。


そう思い立ちルクレチアは窓から見える月を睨みつける。


闇を照らす月の光が嫌いだった。


例えどんなに欠けても満ちて行く光がどうしても好きになれなかった。


欠けてもまた満ちて何度も輝き続ける月が大嫌いだった。


(忌々しい…ユスティーナ!!)


太陽を支えそっと寄り添う月。
思慮深く美しい存在にずっと嫉妬していた。


(今度こそ消してやるわ!)


最後の選択。


ルクレチアは自分の選択が間違いだとは思わず鍵を手に取る。


「行くわよカテリーナ」

「ええ!」


悪魔の囁きに耳を貸し、ルクレチアはその手を取ってしまった。


牢の扉を開けられ。

中から出て行く。


顔を隠した女性は笑みを浮かべる。


「‥‥馬鹿な女」


二人に聞こえないようにあざ笑うかのように笑みを浮かべる。


声は風に消される程小さな声で二人の耳に入るはずもない。


地下の牢屋から出て階段を上がって行く。


すべては思惑通り事が運んでいると女性は思った。


嫉妬と復讐に満ちた女は動かすのが簡単で、少し心の隙に付け込めば容易い。


(本当に馬鹿ね…)


背後の二人を見ながら思うのは、頭の悪い人間ほど考えることは浅はかだった。


(利用価値さえなくなれば用はないわ)



何も知らない二人を利用し女性は全てを手に入れることができると思いほほ笑んだ。






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