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間章一奇跡の出会い
2.孤高の女王の苦悩~ジョアンナの決断
しおりを挟むノルマディア公爵家の長女として生まれたジョアンナは生まれた時から女帝だった。
王族の本家筋に生まれ、厳し教育を受け、王族と敵対する貴族派からアレクシスを守るように厳しい教育を受けて来た。
物心つく頃から血のにじむような英才教育を受け、心を凍らせて生きて来た。
同年代の令嬢は生まれながらの女王と言う一方で、何にも動じない心を持つジョアンナを氷のように冷たいたいと罵倒を浴びせる者も多かった。
彼らの言う通り、感情が欠落した部分があったが、傷つかないわけではなかった。
何を言われても感情的になるなと、徹底的に叩き込まれた故に、感情を上手く表すことができなかった。
周りは完璧な令嬢。
氷の女帝と呼ぶようになり、親子で会っても事務的な会話をすることしかできなくなった。
そんな折、ジョアンナは見つけた。
決して枯れることのない永遠に咲き続ける花を。
「その方は私とお約束がありますのよ!」
パーティーで何時ものようにしつこく、付きまとわれ苛立っていた時だった。
誰もが遠巻きに見ている中、ジョアンナを庇う様に立つのは自分よりも少し背が低く幼げな表情をする令嬢だった。
貴族令嬢としては色々と足りないと思ったが、真っ向からジョアンナを助けようとしてくれた人は初めてで興味を持った。
「ジョアンナ様のオーラ―がビンビンです!」
「まぁ…」
飾ることのない言葉で邪心の欠片もない言葉をかけるマリーの姿は新鮮だった。
心が疲弊していたジョアンはマリーがヒマワリのように思えた。
薔薇のような豪華さも、百合のような優美さもないが。
どんな時でも太陽に向かって堂々と立つ太陽の花のように。
正反対の二人は話をすると意気投合し、趣味も合うようだった。
見た目に寄らず知識が豊富で領地経営に携わっていたマリーは独創的な発想は斬新だった。
しかし合理的で理にかなっており、ジョアンナはマリーの才能をいち早く気づき、尚且つ礼儀作法が苦手なのを知り作法を教えるようになり、二人はさらに仲を深めるようになった。
マリーはただの美しい令嬢とは異なり、突拍子もない事をするが、今の王家には必要なだと思った。
常識に囚われることなく新しい風を吹かせてくれる。
今抱えている王家の問題を解決してくれると確信した傍らで姉に劣等感を感じているのを察した。
本当は姉のサングリアがアレクシスの婚約者候補だったが、本人が辞退したことにより代わりにマリーが婚約者候補となったのだ。
ジョアンナはマリーの境遇を不憫に思いながらも常に前を向く姿を見て。
己の役目から逃げ出したサングリアよりも、自ら困難に立ち向かう強いマリーこそが王太子妃に相応しいと思い、確信した。
――この方は歴代一の王妃になるわ。
型破りであるが、この勢いが国を救うだろうと自信を持って確信できたのだ。
公爵家筆頭の令嬢として。
そして、友人として守ろう。
太陽のように輝く花を枯らせまいと誓うのだった。
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