今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

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間章一奇跡の出会い

3.薔薇の蕾~ロザリアが咲く時

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スペンサー侯爵家の三女として生まれたロザリアは母親が身分が低い事から義姉から蔑んだ目で見られてきた。


母親の身分が低すぎることで親族からも蔑ろにされてきたが、母親が亡くなってからはエスカレートして、義姉達はロザリアに嫌がらせをするとうになり、離れに追いやられてしまった。


父親は、多忙で邸に戻ることは少なく、それを良い事に義姉はロザリアを苛め、公の場所には出すことなくいない者として扱ってきた。

お茶会の席でも、決して前に出ないように告げ、同い年の令嬢達には、ロザリアの悪い噂を流されてしまったことで友人を作ること置出来ず、離れに籠っていた。


居場所は離れの庭だった。
何時もここに逃げて、趣味の刺繍をしている時だけが気を紛らわすことができた。

けれど、花を育てる行為は土いじりだと義姉に馬鹿にされ。
刺繍をしても、使用人の真似事をするなんて、流石生まれが悪いと馬鹿にされた。


刺繍は母親が教えてくれたので今も大切な思い出だったのに、それすらも馬鹿にされた気分だった。


けれど――。


「ロザリア様?」

久しぶりに誰かに名前を呼ばれ、驚いたあまり、噴水に落ちそうになった。

「ロザリア様!!」

噴水に落ちそうになるロザリアの腕を引き、代わりに噴水に落ちたのは招待客の一人だった。


ロザリアは真っ青になり、怯えながら謝る。

泣いてはダメだと思っても涙が流れるが、相手はただ、優しく声をかけた。


「ロザリア様、怪我はないですか?」

「はっ…はい」


誰かに優しくされた記憶はない。
使用人ですら、冷たく接されて来たのに。


ロザリアは優しく名前を呼んでくれた相手が公爵家の令嬢で、今社交界を賑わせている令嬢であることに気づく。


とはいえ、噂でしか知らないが。
一部では田舎貴族出身の令嬢だと馬鹿にされているとも聞かされていたが、ロザリアは別の思いを抱いていた。


――堂々とした令嬢。


何時も泣いて、逃げている自分とは正反対で、太陽のように強く。
月のように優しく寄り添ってくれる人だと思った。


迷惑をかけた自分に優しく接し。


「わぁー、すごく素敵なドレス!」

濡れていたドレスの代わりにまだ袖を通していないドレスを着てもらうと、マリーは大喜びだった。

母親とロザリアがデザインしたドレス。
けれど、デザインは地味で義姉にも馬鹿にされていた物だったのに…


恐々としていたロザリアにマリーは一言告げた。


「ロザリア様は織姫ね!」


マリーから聞かされた東洋の神話。
聖書や神話には詳しくなかったが、織姫の伝説に心惹かれ、自分が織物が得意な天女だと言われて嬉しかった。


誰かに認められた気がした。

これまで生まれて来てはいけない。
いてもいなくてもいい存在だと散々言われてきたロザリアはマリーの言葉に救われた。


そしてマリーは常に意地悪をして来た姉に堂々と友人だと告げ、お茶会の席でロザリアを蔑んでいた令嬢にも友人だと言ってくれた。


初めての友達。

この時、ロザリアは泣くのを止めた。

うじうじするのを止め、マリーの隣に並び立つ、完璧な令嬢になることべく誓ったのだった。


まるで薔薇の蕾が花を咲かせるような変化だった。

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