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間章一奇跡の出会い
4.黄金の鍵~リーゼリットの一歩
しおりを挟む優しく両親に、優秀な兄に裕福な家に恵まれたリーゼリットは一族の中でも最も強い魔力を授かった。
その対価か、リーゼリットは幼い頃から強い魔力を制御できず、あげくに体が弱かった。
病弱で外に出ることができても大事なパーティーで体調を崩して失態を犯して社交界では悪い噂が流れた。
伯爵家でありながらも父親は宰相を務めていることから、周りは嫉妬を抱き。
弱いリーゼリットを叩き始めた。
それでも両親は優しく気にしなくていいと言われるも、スティール家に不幸が襲った。
祖母が病にかかり、母親も体を壊して病弱になってしまった。
スティール家の太陽と呼ばれ、陽だまりのように暖かい母が寝たきりになって噂が流れだした。
スティール家に災いを招く元凶だと。
そんなリーゼリットを守るべくフィリップは常に傍にいて盾となり守るも、その行動がさらにリーゼリットの立場を悪くしてしまった。
そんな折、大好きな本を買いに行くために久しぶりに外に出たが、本屋で体調を崩してしまい、その本屋には貴族も買いに来ていた。
その所為で悪意のある視線を向けられてしまった。
「ゲホッ…」
店の中で嘔吐してはいけないと思い耐えていた時だった。
見知らぬ令嬢にハンカチを差し出されたのは。
その人に嘔吐してしまい、周りの視線はさらに厳しものとなるが、当の本人は気にも留めてなかった。
それどころか体を気遣われ、馬車に乗せてもらい邸で丁寧な看護をされた。
今まで家族以外に優しくされた記憶はなかった。
不安定な魔力を恐れる者もいたのに、その人物はこんな自分に美しいと言ってくれた。
人と異なった異端な容姿を綺麗だと。
優しい笑顔に差し出されたリンゴジュースは今まで飲んだ中で一番おいしく、優しさがにじみ出ているように思えた。
外に出るのは怖くて、誰かと目を合わせるのが怖かった。
でも、マリーは恐ろしくなかった。
むしろ触れられた手が暖かく凍り付いたリーゼリットに温もりを与えてくれたようだった。
今までどんな優れた癒しの手の魔導士でも、リーゼリットの心を癒すことができなかったが、マリーはそれをやってのけた。
固く閉ざされた心に踏み出す勇気を与えたマリーは癒しの手を持つ人なのでは?と思うようになったリーゼリットは少しづつ元気を取り戻していくのだった。
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