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第一章光の少年と癒しの歌姫

12髪飾り

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ずっと外に出る事は制限され、町に行く事もできなかった。

キャスティと婚約してから行動の制限が酷くなって外に出られる時間は王宮の庭園にいる時ぐらいで窮屈な生活を強いられていた。


(今は自由だわ…)


常に美しい振舞を求められて来たオンディーヌだが、婚約が決まるまでは比較的に自由だった。
特に、アンジェリークが活発な性格だった事もあり時折町に出て屋台で食べたりしていたのがとても懐かしい。


「オンディーヌ、どうぞ」

「ありがとう。焼き鳥大好き」


「何だい?蜥蜴の肝の方が美味いぞ」

食べ歩きをしながら店を見て楽しみ、雑貨を見て回る。


(素敵…)

出店ではあるが、それも一級品の素晴らしい品が多かった。
国境付近の町では隣国の品も売られており、王都の町よりも品物が多かった。


特に隣国では銀で作られたアクセサリーや真珠をあしらった物が人気だった。


オンディーヌの祖先はローレライ故に始祖が愛用していた真珠のペンダントや貝殻の髪飾りが多かった。


(素敵なデザイン)

一目見て素晴らしい品物だと解るも値札を見て直ぐに手を止めた。


(お値段も素敵…)


貴族ではないオンディーヌには手が届かない値段だった。


「どうしたんだ?」

「えっ…いえ」


「欲しいのがなかったのか?」


笑顔で誤魔化しその場を去るオンディーヌを見てレオは売り場を見る。


「これか…」

「お客さん、それは隣国で人気の…」

「ああ、知っている」


オンディーヌが手に取っていた髪飾りを見る。


「今ならお得ですよ?」

「ああ、だが…」

レオはその髪飾りを手に取りるも、すぐに戻してオンディーヌの後を追いかけた。





「オンディーヌ」

「はい…」


レオに名前を呼ばれ振り返ると髪に触れられる。

「これは?」

「君にはこっちの方が似合うと思ってね」


「これは髪飾り?」


「ああ、あの店のとは違うんだが…こっちの方が君に似合っている」

手で触れるだけデザインが解る程の素晴らしい細工がされている。
光に反射して輝く青い魔石がアクセントになっており銀色の蓮の花のような形をしていた。


「もらえません。先ほどの髪飾りよりも高価です」

「これは買った物じゃない…君には一度お礼をしないとと思っていたんだ。こんなものではお礼にならないが」

レオの言葉に困り果てる。
お礼なんて別にいいと思っていてもレオの気持ちがある。


「フンッ、そんな安っぽい髪飾り程度で。オンディーヌ、嫌なら捨てちまいな」

「エリー、お前は!」


背後で皮肉を言うエリーはジオルドに羽交い絞めにされていたが、婚約者ですら花一輪も送られたことがないオンディーヌは嬉しかった。


物よりもレオの思いが。


「ありがとうございますレオ」

「うん、やっぱりこの花が一番似合うな!」


ただ、その思いが嬉しかった。



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