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第一章光の少年と癒しの歌姫
19レオの正体
しおりを挟む一時間ほど馬車を走らせた後に到着したのは宮殿だった。
「ここは…」
「僕の住んでいる邸だ」
隣国に住まうオンディーヌも知っている。
獅子宮と呼ばれ、この宮殿に住まう事が許されていいるのは。
「レグルス殿下!」
「あー、ただいま」
「ただいまではありません!今まで何所に!」
オンディーヌは固まった。
隣国の王族の名前ぐらいは知っている。
直接交流があったわけではないが、名前程度ならば。
「客人だ、旅先で死にかけていたのを拾ってしばらく食べさせてもらって住まわせてもらった」
「ご自分のお立場をお考えください!またフラフラと旅に出て」
「海が僕を呼んでいた」
「殿下ぁ!」
シクシクと泣き出す侍女はハンカチを噛みしめる。
「レグルス様はクロバー王国の王子だと言うのに」
「外の情勢を知らないといけないだろ?大丈夫、まったくバレなかったぞ」
「ああ、なんて事」
バレたら大問題であるが、気づかれないのも切なかった。
「今の国の事情を考えれば、外の情報を仕入れる方が良い」
クローバー王国は多くの問題を抱えている故に、身の安全を確保するためにも国を出ていた事を聞かされる。
「オンディーヌ、改めて挨拶させてくれ。僕はレグルス・クローバーだ」
(まさかレオがあの光の王子だったなんて)
噂だけは聞いたことがある。
クローバー王国の希望の王子と呼ばれ、光の魔力の持ち主とも聞いている。
「ご無礼を…お許しください!」
「オンディーヌ…」
「どうかお許しを!」
何故今まで気づかなかったのか。
平民にては作法が綺麗すぎるし、クローバー王国の王族の特徴があったのに。
あまりにも自然に溶け込んでいたので気づかなかった。
(レオが王子殿下…)
胸にズキンと痛みが走る。
何時の間にか共に過ごす日々が楽しすぎて、気づかなかった。
「何処の世界に王子が浮浪者の真似事をするんだい」
「手厳しいな。冒険家になって国の外を見ていたんだ…国を背負う事から逃げる気はないが」
「自分の立場を理解しているようには見えないね」
エリーの皮肉に普段ならば言い返すが、言い返そうとしなかったことから自覚があったように思えた。
「僕はただ遊んでいたわけじゃない。国を守る為に…そしてこの国の危機を救うべく打開策を探していたんだ」
「打開策?」
そもそも一国の王子が冒険者になっていたのは何故なのかとオンディーヌは疑問を抱いた。
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