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第二章聖女と勇者と巫女
7死刑宣告
しおりを挟む所変わってトランプ王国では、例の事件を起こした一行はクレイン侯爵家に押しかけて来た。
最初は約束もなく押しかけて来た一同を力づくで追い返そうとしたが、その中に王族もいるので無下にできずに一番狭い部屋に案内した。
「随分と仰々しいな」
「歓迎されてるとお思いですか?下手に客間に通して殺される可能性も考えてです」
「なっ…無礼な」
傍にいた子息の一人が噛みつくも。
「公の場で孫を殺そうとした人間を信用できますか…いえ、既に勘当したので無関係ですがな?今頃の魔獣に食い殺されているのでしょうが」
「オルフェス様!そのような言い方は…」
「無礼な。私の名を気やすく呼ぶ出ないわ…伯爵子息でしなかいお前は随分と偉くなったな?騎士気取りか?今さら」
「申し訳ありません」
睨まれ言葉を失う。
既に老体で杖を持たないと歩くとも難しいが、威圧感は半端ない。
「して話とは?まさかあれの行方を捜しているとは申しますまい。キャルティ様の命令であれは追放しました。既に貴族籍からも除外しておりますし…負傷したまま捨てましたので生きていますまい」
「それは…」
「例え生きていたとしても二度とこの国に戻れぬように手続きをしております。生きてこの国の土を踏むことはないでしょう…まぁ森であれのドレスの布切れと大量の血が見つかったそうです」
「なっ!」
「鑑定士もあれの者と判断しました。本当に最後まで我が家に泥を塗り、王族にもご迷惑をおかけしましたな。私も責任を取り、手続きを終えた後に王都を出るつもりです」
「待ってください前クレイン侯爵!」
「例え誤解があれど、誤解させたのが悪い。貴方達は正義の為にされたのでしょう?聖女様を苛めた証拠もしっかりあったのでしょう?ならば悪いのはあれです…違いますかな」
「それは…その」
「歌姫とて、皆様のお力でお探しになって、教育してくださいませ。殿下のお力なら簡単なはずです」
感情もなく語るオルフェスはあくまで貴族らしい言い回しだ。
彼等を悪いと咎める事もなく責任を取ると言うだけだったが、この状況でオルフェスが引退すれば彼等はどんな目に合うか解りきっていた。
「待ってください、オンディーヌ嬢は本当に…」
「ええ、例え生きていたとしても既に歌う力など無いでしょう。ですが代わりなどいくらでもいるでしょう。そうです聖女様お願いしてはいかがでしょう」
「えっ…」
「キャルティ様が聖女様の後見人を務めておられると噂で聞きましてな。私達は既に聖女様に近づく事もありませんな…責任を取らせ息子も当主の座を孫に引き継がせることになりました」
「えっ!継承させると!」
「ええ、娘の教育のできぬ愚息には当主は無理でしょう。幸いにもジルフォードは優秀ですから」
(まずい…ジルフォードは!)
キャルティは真っ青な表情になる。
現当初のブラウスはキャルティに対してもパークアイ公爵家にも友好的だが、ジルフォードは違う。
高圧的な態度であるキャルティに、パークアイ公爵家に対しても厳し目を向けているのだ。
オンディーヌが懸け橋になっていたが、例の事件で憎悪の視線すら向けている。
万一世代交代になればどうなるか恐ろしくて仕方ない。
アンジェリークと手を組めば確実に潰されるのだから。
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