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第二章聖女と勇者と巫女
8悪評
しおりを挟む数日後、オルフェスは正式に引退を宣言し、王都から出て行くことになった。
オンディーヌの無実が証明されるのオルフェスはオンディーヌに非がないわけではないと最後まで告げていた。
周りに誤解させ、敵を増やしていた事が原因と最後まで孫を庇うことなく今回の茶番劇もキャルティ側を責める事はなかった。
慰謝料に関しても支払う姿勢を見せていたが、この対応が逆にキャルティの立場を悪くさせた。
「聞きまして、前クレイン侯爵が地位と領地に財を返上して王都を出るそうで」
「いくら何でも地位も財も没収させるなんて」
オルフェスは自分で言い出したが、パークアイ公爵がそうさせたと思わせたと言う噂が流れていた。
全ては自発的にしていても、高位貴族がすべての地位も名誉も自分から手放すのはありえない事だった。
しかも体が不自由なのに使用人は数名しか連れていかず、環境も不便は田舎で行くなんて自殺行為だった。
「先日キャルティ様が側近を連れてお邸に押しかけてオンディーヌ様を呼び戻せと申されたとか」
「ですが、既に勘当していて無理なのでは?」
「ええ、なのに無理を申されたとか。できない腹いせにこんな事を命じられるなんて」
「聞けば侯爵閣下も謹慎させ、爵位をご子息に継承させるように脅したとか」
「まぁ!なんて酷い」
オルフェスがオンディーヌを庇わなかったの事に不満を持つ者は多かった。
しかし、高位貴族としては仕方ないかもしれないと賛同する者も多かった事と、オルフェスに同情した貴族もいた。
何より彼はすべてを捨てて償うと言った事でこれ以上責める者はいない。
全てを失ったオルフェスを罵倒できないからだった。
オルフェスはこれより貴族の爵位を捨て平民となる。
ただ息子夫婦は当主の座を譲っても貴族のままだが王都を離れることが決まっている。
「ですが、これまでクレイン家にあれだけ助けられて」
「公爵家が未だに権威を持てるのは誰のおかげと…」
社交界ではパークアイ公爵家への非道すぎる行動に反感を持つ者が増え続け、傘下の貴族もバッシングを受けていた。
彼等の頼みの綱は聖女しかない。
キャルティはリリーの新たな婚約者であり後見人を名乗っていたが新事実が発覚する。
聖女は清い体でなくてはならない。
その為婚約なんて論外であるという事実が解る。
リリー自身もキャルティに対して何の感情もない。
それどころかつきまとわれて困っていた事を告白し、立場は余計に悪くなるのだった。
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