兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ

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第一章

21出世

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船の模型を嬉しそうに見るお母様にアンリの顔色が見る見る悪くなる。


「私は幼い頃は船に乗って世界中を旅をしてみたかったんですの」

「そうでしたか」

「船も写真で眺めて楽しんでいたんですの」


行動的なお母様はそのような夢を持っていらしたのか。


「その内海を越えて商売をするなんて言い出しそうだな」

「お母様ならありえるわ」


ある日当然旅に出ますなんていいかねないわ。


「とりあえず刺激をしないようにしよう」

「そうね」


二人でヒソヒソ話していると。


「何を二人で内緒話をしているの?」

「「いいえ、別に!」」


お母様に誤魔化すように笑ってその場を流した。


「マリー、孫に合わせてくれるかい?」

「はいお父様」


模型に夢中になっているお母様の邪魔をするのは忍びないと思ったお父様が我が子に会いたいと言ってこられたので隣の部屋に案内する事にした。



「あー!」

「おお、元気な子だな」


「はい、早く生まれて来てくれて。夜泣きも殆どなく」

「実に母親思いの優しい子だな。マリーも夜泣きは少なかったが」

「そうなんですか」

「ああ」


懐かしむように我が子に手を伸ばし優しく抱き上げるお父様に嬉しくなる。


「名前は?」

「シリルです」

「そうか、良い名前だ」


こうしてお父様に息子を見せることができて本当に嬉しい。


「お父様、何時までいられるのですか」

「あー…実はだな。王宮にしばらくいることになって」

「え?」

「実は国王陛下から爵位を賜ることになったんだ」

「え?」


お父様が爵位を?


「ああ、国王陛下より伯爵位を賜る事になったんだ」

「伯爵…」

通常継承以外で伯爵位を賜るには相当な功績がないとだめだ。
例えば戦場で勝利をおさめたり、戦争中に和を結んだりした場合に男爵以上の地位を与えられたケースもある。


いきなり伯爵なんて。


「実は一年前から爵位を上げると言われていたんだが断っていたんだ」

「そうなのですか?」

「ああ、伯爵位を貰えば色々と問題が起きるだろう?」


誰がなんて言わなくてもなんとなく察した。
あの二人が増長する可能性が高くなるし、子爵夫人ならばまだ良い。
伯爵夫人になれば王宮に出入りする事も多くなり王宮の社交の場で無礼を働く可能性が出て来る。


「この度も断ったんだ…そしたら」

「そしたら?」

「断るなら侯爵の地位と城を与えると言われたんだ」


ああ、国王陛下はお父様の性格を良く理解をご存じのようだ。

でも、一体どんな功績を積んだのだろうか?
一番気になるのはそこだった。


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